3話:雑多な流れ
「へぇ公正は九州出身か、にしては焼けてないな。」
「おいおい、九州民は全員焼けてるってどんな偏見だよ。」
「確かに!ほとりくんは都心だっけ?」
「実家はねー。何度か転校繰り返して東の方はだいたい見たかな。芽栗とむずきちゃんは同県だっけ?」
「うん、そうだよ。でも出身校までは違うから、さっき偶然だねって話してたの。」
「そうそう。地元も離れてないし、こんな可愛い娘いたらウチでも話が聞こえそうなもんなのに、って!何でむずきだけ『ちゃん』付け!?」
「ははは!そりゃ厳選なる審査の結果って奴だろ!」
「良二の言う通り、芽栗は芽栗で充分。でも俺は良二の地元に一度行ってみたいな。」
「ラーメンか?雪か?」
「ラーメンだ。」
現在、入学式終えての移動中。俺を中心に四人と会話を回していた。
さすがにこの人数を体育館に集めると入学式といえどコソコソと話し声がそこら中から聞こえ、『こうちょうせんせいのおはなし』もあまり聞こえなかった。(この学校の意識の低さも多分に含まれるだろうが)
そんな中でも聞こえた単語を繋げると
「自らの脅威に対し己の精神的戦意を~」
や
「今こそ失われた大和魂から~」
や
「本当の死とは肉体的破損ではなく戦闘意識の喪失であり~」
など
少々、殺伐とした前時代的御高説を頂いていたようだ。
「で、この後って何をするんだっけ?」
「分からん、さっき説明があったと思うんだがまるっきり聞こえんかった。」
「だよねー。」
少し歩いた先は華美ではないが物々しい装飾のなされた暫定トンネルが現れた。
「なんだあれ?トンネル?」
「あれって…地下シェルターの入り口じゃないかな?」
前、二クラスが壁になって奥が見えないが、成る程確かに下に人が降りていっている。
「この分だとしばらくは暇だなー。」