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少しずつ増えている、読んで下さっている方々に本当に感謝です。

今迄読む専門でしたが、これは本当に励みに成りますね。

稚拙な文章ではありますが、改めて宜しくお願い致します。

ドンドンドン!扉が鳴り響く。

「おい!開けろ!警備隊だ!」

「ハイハイ今開けますから壊さないで下さいな。」

ティナが出ようとする。

スタンが止める。

「ティナ、引き延ばしてくれ。」

「オーウェン裏の奴は使えるか?」

出てきた店主に聞く。

「あぁ現役バリバリだよ。」

「エレイン、その後ガワンとツェテン。ダヴィッド…」

「わしゃお前さんといるぞい!」

「家の鍵を渡してくれ。

一時間経って俺たちが来なければ湖で落ち合おう。

ポップス、ユウキに付いてやってくれ!行け!」

全員が厨房に入った時点で扉が開いた音がした。

オーウェンの声が聞こえる。

「どうしたんですか?今日は貸し切りですよ?」

「報告が有った!この店で重要参考人に似た者が居たらしい!全員動くな!」

「何かの間違いでは?今日の客は旧知の…」

「なるほどお前は重要参考人と旧知の関係と言うわけだな?」


「ユウキ何してるの早く!!」

見ると厨房の奥に穴が有ってソコから縄が降りている。

所々に輪っかに成ってるけど…

えっ?これ降りるの!?

迷ってる場合じゃない。

縄に飛び付いた!

ヤバい!!

滑った!!!

手の皮がずり剥ける様な感触!!!

痛すぎるが死にたくない一心で何とかわっかの一つにしがみつく。

まだ半分。

下だけは見ないように降りていく。

あとちょっとの時点でロープに振動が伝わったと思ったら上からポップスが輪っかを使わずに降りてくる!?

あかんやっぱりコイツらおかしい!!

下に着くとほぼ同時に着いたポップスが袖を引っ張る。

そこからはひたすら誘導されるがままに走った。


しばらくすると完全な森の中に入ったと思うと少し開けた広場の様なところに出た真ん中に家が建っているのが月明かりに微妙に照らされている。


トントントントン!ポップスが叩くと中から開いた。

「どんな雰囲気だ?」

「おいらも最後までは聞いてなかったんだけど、ムーンロゼッタってのを探してるらしい。」

「ムーンロゼッタ?」

「皆も良く判ってないらしいけど、直径30cmぐらいの薄い丸い石で文字が一杯書き込まれてるらしいよ。」

「って事は僕達じゃないってこと?」

「だねぇ。」

「警備隊ってのは警察みたいなものだよね?

つまりそのムーンロゼッタを盗んだ犯人を追ってるってことで良いんだよね?」

「違います!!!」

「ツェテンサマ!!!」

「良いのです。

あの時の反応、貴方達も追われているのでしょう?」

ツェテンがニコリと笑う。

「敵の敵は味方…でしょ?ヘタな大義名分より信じられますわ。

それに、この人達は恐らく敵には成りません。

私判りますの。」

ガワンが溜め息をつく。

「オオセノママニ!」

その返事を聞いて、又ツェテンは寂しげな顔を見せるが気を取り直したように皆を見渡す。


イタタ………

何だか落ち着いたら手のひらがまた痛みをぶり返してきた。

見ると結構ベロンといっているのを見て気持ち悪く成ってきた……。

でも消毒とかしないとあかんやーつだよね…。

破傷風とか怖いし。

染みるんだろうなぁ………。

「あーゴメン。

話の腰を折って申し訳無いけど…消毒液みたいなの…無いよね?」

「ちょっと見せて下さる?」

懐からまさに円盤の様なものをだし手に当てる……。

じんわりとした温もりを感じて見る間に表面が乾いていき…皮膚が再生していく……。

スゲエ!魔法スゲエ!異世界魔法チートやっぱり捨てがたい!!


…と、周りの反応がちとおかしい。

特にポップスとエレインがそれこそ眼を真ん丸にしてなおかつ口をポカンと開けている。

ポップスはともかくエレインさんの驚愕した顔って相当レアなんじゃないかな?

「ちょっちょっと見せてくれたまえ!!」

手の平を見較べる。

あの~出来れば結構痛いんだけどちゃちゃっともう片方も…なんて言えない雰囲気だ。

「信じ…られない…これは………。」

「魔法…じゃあ…無いんですか?」

「あんなものと一緒にするな!」

ガワンあなたしゃべれたのね。

「これは御霊の業、我民の英霊に選ばれたツェテン様にのみ許された真の癒しだ。」

「ですから違うと言いましたよね?

私は運び手。使命はこれを真に持つべき方に渡す事。

私はその器ではありません。」

「シカシ!」

あっ興奮してきた。

「取り敢えず落ち着こう。

今大声を出すのはまずい。」

「信じて貰うしかないのですが、私はこれを盗んだ訳では有りません。

私達の部族では、一人前と認められる為には村長が示す何かを成す必要が有るのです。

人に寄って成す事は違います。

ガワンの一族は元々我が部族における祈祷士の一族でした。

尊敬され、数々の厄災を祓ってきたと言われています。

が、彼の祖父が……なんと言いましょうか、ある日御告げを聞いたと言い出したのです。

それは村の近くにある遺跡に行くべし…と。

そして我が証を持ちて世を救うべし…だったかしら。

ところがその時ちょうど私が産まれる時期だったそうです。

村の中は色々な準備で忙しく、神託が有ってから出発したのは3日後の事でした。

ところが…、捜索出た者達は誰一人として戻らなかったそうです。

父は…村長は何度も捜索隊送りましたが叶わず、ある時にようやく一人息も絶え絶えで帰ってきました。

そして、彼処は呪われた場所であると…死が支配する立ち入ってはならぬ土地だと…言い残して亡くなりました。

村長は遺跡に近寄る事を禁じ、彼の祖父は死の使いとして投獄、亡くなりました。」

ガワンが後を引き継ぐ。

「俺にはどうしても叶えたい望みが有った。

その為にはただ認められるだけでは駄目だったのだ。

我が一族の濡れ衣を晴らす必要が有った。

祖父は死の使い等では断じて無いと父は常々言っていた。

村長は言った。

俺の望みを叶えたいのであれば。

祖父の無実を証明してみせよと。

その証を持ち帰ってみよと。

俺は自惚れていた。

何者にも負けない自信が有った。

だからその話を受けた。

だが……そこには死が有った…死……そのものが………。

長い旅だった…長く苦しい……だが俺は見付けた。

ある者達の助けを得て持ち帰ったのだ。」

「私に取っても長く苦しい時間でした…一年過ぎた頃より父から盛んに縁談を持ちかけられる様になりました。

ガワンは…ガワンは…もう死んだのだと……。

ですが私は待ちました。

父に必死で、本当に必死でお願いしたのです。

父は半年の猶予を下さいました。

あと少しで半年が経とうという頃…彼が戻ってきたのです!!

嬉しかった…生きていた事が何よりも嬉しかった。

彼は証を村長に差し出しました。

誇りに充ちた顔で。

村長はそれを掲げ命じました。

奇跡を起こせ!…と…。

何も起きませんでした…。

そして村長は石打の刑を…命じました。

神聖なる試練にゴマカシを使ったとして。

私は…見ていられなかったのです。

彼が皆に嘘つきと詰られ石をぶつけられるのを。

彼は唇を噛んでひたすらに私を見つめていました。

嘘つきなんて有り得ない!私は気付くと彼の元へ駆け寄っていました。

父が何か叫ぶのは聞こえましたが耳には入りませんでした。

彼が握りしめている証を私は握り、祈ったのです。

気付くと彼と私はそこから何キロも離れた場所にある聞いたことの無い遺跡に居ました。

彼は血だらけでした。もう駄目かと思いました。

私は祈りました。

すると声が聴こえたのです。

力を貸そう…と。

そして証を導く者に渡しなさい…と。

さすれば光は広まり借り物ではなく貴女の力と成るでしょう…と。」


フゥーと誰かが溜め息をついた。

「つまり、持つべき方を探しているのですね?」

「はい。会えば判ると。」

結構気が遠くなる話だな。

って言うか持つべき方ってテンプレ的には僕の気がするな…。

自分から言い出すのは恥ずかしくて絶対嫌だけど。

重すぎて嫌だな。

取り敢えず違ったらメチャクチャ恥ずかしいし会えば判るって言うなら黙っておこう。


「守備隊を動かせる程の権力の目を掻い潜って?」

「奴等は絶対に駄目だ。」

「疑うわけでは無いですが根拠は?」

「ゴブリンどもがいる軍隊がこれを守っていた。」

「なるほど。」


「もう一時間経ったよ?」

あぁそう言えば。すっかり話に聞き入ってしまった。

エレインはツェテンに向き直った。

「私はあなた方は我々と来るべきだと思います。

それは渡す相手を間違えるととんでもない事に成りかねない。

正直御二人で成し遂げられるとは思える難易度の使命ではない。

我々を護衛に雇うとお考えに成っては?」

「はい…私はもう覚悟を決めています。」

ガワンを見る。

「俺は…俺の意見は知っているはずだ。

だが、命令には従おう……姫。」

「言いたい事は有るが今はその時ではない。

宜しく頼む。

では少しゆっくりし過ぎてしまった。

湖に向かおう。ポップス?」

「大丈夫。誰も居ないよ。」

「行くぞ。」


………うん今更言い出せないよね………

判ってる…我慢できるよ……。


広場からの小路の一つに入っていく。

いつの間にか空は曇っているらしく辺りはまさに真っ暗闇だ。

暫く行くと前を行くエレインにぶつかる。


その時…

「誰?」

ポップスが唐突に小声で問う。

「……襲撃!」

そう言うとピュッという音がする。

「グッ!ミツカッタ!! ハヤク エングンヲ!!!」

森の中でピーッ!!と笛の音がする!!



「ここで少ししゃがんで待っていてくれ。」

エレインが言う。

「ポップスは準備を!」

ザクッ!!

まるでキャベツを切るような音がしたあと、何かが倒れる音がした。

「気をつけて!もう一人居る!!」

またポップスの声。ガサガサという音が離れていく。

ピー!とまた笛の音が響く。

ガワンが立ち上がる雰囲気がする。

「追うな!この闇では危険だ!!」

「来て!!見付けた!!!」

街の方からピーピーッと笛の応える音がした。

「取り敢えず3人共こちらへっ!

舟に乗って盾を構えろ!」

僅かに揺れる水面を確認出来るとおぼろ気ながら舟が見付けられた近くに人影も見える。

舟に乗り込むと連続で揺れる。

息を飲む音でツェテンだと判る。

「恐らく真ん中辺りに盾が置いてある筈だ!!」

なるほどひんやりした大きめの四角いものが底に有る。

持ち上げると急に軽くなる。

「私が持つ」。

ガワンの声だ。

「誰!?」

緊張感が走る。

「俺だ!」

マルコス!!

また揺れると隣にまた一人座った。

何だか本格的なカレー屋さんに入った時の様な香りがする。

きっとサリナだろう。またピーピーッと笛の音がする。

木々の間から松明の明かりが見える。

「換わってくれ。」

ガワンの声だ。

「来てるよ!」

「判ってる!!」

松明の明かりが漏れて来ているおかげで少し見える。

半径20m程半円状に木々が切れていて、

その奥にポツポツと松明が見える。


「ポップス乗れ!

重しも上げておけ。」

ポップスが飛び乗る。

マルコスは水の中に入って舟を押さえている。ヒュッ音がすぐ上ですると木々の間からちょうど出てきた松明が落ちる。

グエッ!!

キン!!火花が散る!!その後すぐにグエッという音とドサッと倒れる音が続く。

時々ヒュッという弓を射る音が響く一方で森の方からもヒュッ!という音が聴こえる様に成って来た。

手の平がどうの言ってられない。

ここからが本番だ。

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