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取り敢えず思ったのが運動部でよかったわ。

3人とも荷物を持っていて、しかも二人は僕よりも身体が小さいのに…最初は余裕かと思ったけどペースが全く変わらないままずっと歩く。

いや…ポップスはマジで凄い…スキップで周りを回ってみたり、やれ格好いい木を見付けただの花を見付けただの…倍ぐらいの運動量じゃないか?

しかも半径5m以内に人が居れば話かけなければいけない呪いにでもかかっているようだ…。

とは言え明るい性格と絶え間無いお喋りは正直助かったと言えなくもない。

少なくとも今日に関しては。


小人族らしく、実は人間で言う成人らしい。

非常に軽装で小袋をいくつも持っている。

趣味は地図集めらしくて自作の地図を色々見せてくれた。

彼に関して言えば子供がそのまま大きく成った感じだろう。

歳を聞いたらわからないと答えられた。


ドワーフはダヴィッド…さんらしい。

基本笑ってる顔が想像出来ない。

流れの木彫りの彫刻家の様な感じで行く先々の村でそれを行商の様に売っているらしい。

人間に比べると長命なドワーフでもいい歳らしい。

歳を聞いたら睨まれたから諦めた。

怖いんだもん。


スタンさんはよくわからない。

基本無口で聞き役に成るタイプなのだろう。

だが目元がとても優しげだ。

目尻にシワが入っているのは苦労の証だろう。

ポップス曰く弓の名手で獲物さえ居れば飢える心配は無いらしい。


何でもこの3人は昔の仲間に会いに行く最中だそうだ。

ポップスが嬉しそうに言った。

元々仲間で色々行動していたのだが、全員が成人したタイミングで一度別れたらしい。

そして5年後にまた会おうと約束したそうだ。


そうこうしているうちに道沿いの空き地にて足を止めた。ここで一晩明かすらしい。

野宿かぁ…。

ってあれ?どうしよう?


マゴマゴしているとスタンとポップスは荷物を置いてを森に入っていく。

ダヴィッドと二人きりに成るのはちと辛い。

追いかけようとすると。


「何処に行くんじゃい?」

「あ、いや、何か手伝うことでも無いかと思って…」

「フン!邪魔に成るだけじゃ。大体ここに戻っても来れんだろ。役立たずは役立たずらしく大人しくしとれ。」

「あ、はい…すいません…。」


しばらくするとポップスが枯れ木を拾ってきた。

火打ち石の様なもので火を付ける。

僕には横で見ているしか出来なかった。

するとダヴィッドは荷物から木を取り出して削り始めた。

ポップスも何やら小袋をひっくり返し始めたので、僕もここで初めて手持ちの荷物を確認し始めた。


先ずはポケット。

ほとんど何もない。

ハンカチやらティッシュやらは途中で無くなってしまったんだろうか?

財布を持ってきても使いようがないけれど、せめてポケットに入っていたものぐらいは持ってこれたら売ったり出来たろうに…。


ナップサックの中にはプリントと筆記用具…も無い…あータオルもちゃんと転移されていれば使い途有ったのになぁ…ってか何も入って無いし!!

変わり?に石がいつの間にか入ってた…いつこんなもの入ったんだろ?

ってか召喚のルールおかしくないか?


とガサガサ音がしたと思ったらスタンが帰ってきた。

あっ!いつの間にかポップスが火に鍋をかけてる。

いつの間に…。

両手でキジを掲げる。

僕が動物園で見たことがある奴より一回り大きい気がする。

凄いな一時間も経ってないんじゃないか?


その場で手早く解体していく。

こらご馳走だと思ったら半分は干し肉に成るように燻しておくようだ。

それでもパン?の固い奴みたいなのに肉入りの汁物が付いて少し薄味ながらも美味しいご飯が食べれた。本当に感謝だ。


徐々に暗くなってきたと思ったらいきなり真っ暗に成った。

えっ?ここで寝るの?無理じゃね?

「あの…ここって魔物とかって大丈夫なんですか?」

「魔物?」

「ゴブリンとかオークとかドラゴンとか…」

「この辺りはどちらかと言えばレイスだねぇ。

そう言えばおいら聞いたんだけどさ、この辺りだった気がするよ?

なんか夜中にお皿を数える声がするんだって……」

「ポップス止めんか!

下らん話は。そんなものたまたま誰かが近くで皿を洗ってただけに過ぎん!」

「森の中で?」

「そうじゃ!」

「真夜中に?」

「そうじゃ!!!」

「真っ暗な所で?」


ダヴィッドは応えずに荷物の所から斧を持ち出した。

「冗談だって!!冗談だってば!!!

嫌だなぁ。ダヴィッドじゃないよ。ちょっとユウキを驚かそうと……。あれ?目が怖いよ?ねぇゴメンなさい!!!もうしません!!!スタン助けて!!!」


なんだか力が抜ける。

「魔物?はこの辺りには出ないよ。もう一本南の道沿いなら有り得なくは無いけれど。

この辺りで気を付けなければいけないのは野生の兎ぐらいかね。」

えっ?逆に怖い…共食いしたり増えたりするんじゃない?

ひきつった顔をした僕を見てスタンが笑う。

「冗談だって大丈夫だよ。

それぐらい安全だってこと。まぁ野生動物は居るけどむしろ人間の方が恐いぐらいかな?

ちゃんと交替で見張りは立てるしね。」

「まぁ恐~い兎が出たらポップスに任せるとするわい。」

「あーそう言う事言うんだ!!

それじゃあ樹にシーツがかかってたらダヴィッドを起こすとするね!!!」

「何だと!?」

「何だよ!!」

「ハイハイそこまで。」

スタンが笑いながら間に入る。

なんとな~く何が有ったのか判る気がする。


それにしても何故あんなに自信満々で安全だと言えるんだろうか?

まぁ信用するしかないんだけど。

僕は何番目なんだろ?1人は嫌だな。

「ポップスとタッグで3番目に頼むよ。

最初に休むと良い。」

まぁダヴィッドと一緒よりは間が持ちそうかな?

正直クタクタだし助かった。

毛布はダヴィッドが貸してくれた。

風呂入りたいなぁ。

せめてシャワーいや、水浴びでもしなきゃベタベタで眠れそうに………が最後の記憶だった。


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