第二話 神獣美少女たちと同居開始!
えーっと・・・自己紹介と前回のあらすじを少し・・・。
俺の名前は、天野 神、高校にこの春、入学する高校1年生の男。
昨日までごく普通に平穏な生活と春休みの限られた時間を使ってゲーム三昧をする予定だった。
だが、俺が目を覚ますと、目の前には、4人の美少女がいて、俺をご主人様と言い出した。
美少女が持っていた、手紙を開封すると、自称、神様とかなんとか、よくわからん奴が出てきて、美少女たちに、この世界の常識を教えてほしいと言い出した。
もちろん、断ろうとしたのだが、俺のお人よし母さんは了承済み、断れば俺の命がないことをサラリと言いあげ、俺はこのことを受け入れるしかなかった。
挙句の果てに、自称神様は最後にサラリと爆弾発言、美少女たちの正体がバレたらこの世界即終了というビッグなプレゼントを付けてきた。
かくして、美少女の火煉、水樹、ハクト、青葉が加わった、ある意味、ドキドキハラハラの同居生活が始まった。
美少女たちが来た日から2週間・・・
「ご主人様―!起きて―」
「んっ・・・んー」
朝から元気のよい、火煉のその声に俺は、ゆっくりと目を開ける。
「火煉・・・どうかしたの?」
「ご主人様・・・その・・・漏れる―・・・」
「火煉・・・ちょっと待って・・・我慢我慢!」
火煉の一言で俺は、急いで布団から起き焦りながらそう言い、火煉をトイレに誘導する。
「ご主人様・・・その・・・怖いから、待っててね?」
「分かってるから、さっさと済ませてこい」
俺は、そう言いながら、トイレのドアを閉めた。
「はぁ・・・」
「ご主人様―いる?」
「いるよー」
「ふぁーーー・・・」
火煉の声に答えながら俺はあくびをする。
「ご主人様、いるよね?」
「大丈夫だよー」
「ふふっ・・・」
「どうした?」
「うーん・・・何でもない・・・」
そんな、親子みたいな会話がトイレのドア越しで行われる。
「ありがとー!」
「どういたしまして!」
ジャーっと水の流れる音と共に、火煉がスッキリしたように出てきた。
火煉が床についたのを見送り、俺は自室へと戻り、また眠りにつく。
目をつむり、ウトウトと仕掛けた時、ゴソゴソと布団に何かが入ってくる感覚がして、目を開け、布団をめくる。
「えーっと・・・ハクト?どうかしたか?」
「幽霊・・・音・・・」
「ハクト・・・大丈夫だぞ?」
プルプルと震えてくるハクトに俺は優しくそう声をかける。
「でも・・・」
「分かった・・・じゃあ、ハクトが寝付くまで俺が本を読んでやる!」
「うん!」
俺が、本を取り出し、そう言うと、ハクトは顔をパーっと明るくし、自分の部屋まで手を引く。
「こうして、悪の大臣は正義のヒーローに・・・」
「スース―・・・」
本を読んでいるうちに、ハクトは眠っていて、俺は静かに布団をかけ、また自室に戻る。
ようやく眠れると思いつつ、また目を閉じ眠りにつく。
「ご主人様・・・朝ですよ?」
「んっ・・・もう少し・・・」
「ダメです!起きてください!」
「んー・・・」
「起きてください!」
水樹は、そう言うと、俺の顔に水をかける。
「うわぁっ!」
俺は、飛ぶように布団から起き上がる。
「やっと目が覚めましたね?」
水樹は、笑顔でそう言う。
「水樹・・・約束・・・」
「約束は、守ってますよ?外では使ってませんし、ご主人様の同伴ですし、人にも見つかってません」
水樹は、人差し指を立て淡々とそう言っていく。
「・・・確かに・・・」
「分かっていただけましたか?では、朝食の準備ができたので早く下りてきてくださいね?今日から、学校なのですから!」
水樹は、そう言うとトントンと軽やかな足取りで階段を下りて行った。
「2週間・・・かぁ・・・水樹の成長のスピードはずば抜けてるな・・・」
俺は、そう思いながらカーテンを開け空を見る。
2週間・・・短いようでかなり長く感じた。
水樹が言った約束とは、彼女たちが来た当日、俺は、一緒に住むにあたっての約束を彼女たちに伝えた。
【約束】
・外にでた時に、一人で勝手に各個人の特性は使わない事。
・特性を使いたくなったら、俺の同伴を得て、人に見つからないように使う事。
・寝るときは、各部屋に行き一人で寝る事。
・慣れるまで、俺の同伴なく、外を出歩かない事。
・この約束を破ったら、2週間、外出禁止!
この約束を元に、初日は、俺同伴の社会見学をし、ある程度、社会でのルールを一通り教えた。
初めて、外に出かけた時は、ハラハラドキドキでいっぱいだった。
火煉とハクトは、買い物行けば、お菓子類をその場で開け、食べ始めるし、水樹と青葉は見た目が大人っぽいことから、男に絡まれ、力は使おうとするしで、もうボロボロだった。
そんなこんなで、暮らしていき、4人は、少しずつ世間の常識を覚えて言っている。
そして、2週間、火煉たちを見て分かったことがある。
水樹と青葉はかなり覚えがいい。
言われたことを直ぐに有言実行する、世間で言えば優等生タイプ。
その逆で、ハクトと火煉は、その場で駄目だと注意すれば聞くのだが、見ていなかったら危ない感じのまだまだ子供でやんちゃタイプである。
こうして、2週間一緒に暮らしていき、社会のルールや自炊を母さんと一緒に教えて、今に至る。
もちろん、母さんは彼女らの正体を知らない、とある人が来て、彼女らを一時的に預かって欲しいと言われたと、母さんからは聞いた。
「神?起きたら、火煉ちゃんとハクトちゃんを起こしてきてー」
「うーん」
母さんの声に、返事をしながら、俺は、自室を出る。
元の家が狭かった為、俺たちは引っ越すことにした。
家と土地は、自称神様が、母さんに手紙を渡していったらしくすぐに引っ越しすることが出来た。
おかげで、普通の家に住んでいたのに、今では、5LDKの立派な3階建ての家に住むことになった。
コンコンッとドアを叩き、俺は火煉の部屋に入る。
「くーくかー・・・」
火煉は、気持ちよさそうに、ベッドに包まり、眠っている。
「火煉、起きろ、朝だぞ?」
「んー・・・ご主人様・・・もう朝?」
火煉は、そう言いながら、ゴソゴソと起き上がる。
「早く、着替えろ、今日から学校だぞ?それと、今日からはご主人様じゃなくて、名前で呼んでくれ?周りから妙な反応をされそうだ・・・」
「うん・・・分かった・・・神―・・・これでいい?」
「よし!じゃあ、次はハクトだな」
俺は、そう言い、ハクトの部屋の前で、火煉の部屋に入った時同様、ノックをし入る。
「ハクトー!起きろー!朝だぞー」
「んー・・・みゅにゃみゅにゃ・・・」
「はぁ・・・やっぱり火煉同様にはいかないか・・・じゃあ・・・」
「ハクトー!早く起きないと、お前の朝飯全て俺が食べるぞ!」
俺が耳元でそう言うと
「それは・・・だめ・・・」
そう言いつつハクトは起き上がり、俺を豪快に投げ飛ばした。
「いてててて・・・」
「ご飯・・・ハクトの・・・」
「分かった、食べないから、早く支度して下りてこい・・・」
俺は、ハクトにそう言いつつ、ハクトの部屋から出て行った。
「おー・・・痛かった・・・って、俺も早く制服に着替えないと!」
自分がまだ着替えていなかったのを思い出し、俺はもう一度、自室に戻り、真新しい制服に袖を通した。
「おはよー!」
着替えと準備をし終えた俺は、リビングのドアを開ける。
「あっ・・・ご主人様・・・おはよう・・・ございます・・・」
「おっ!今日は、青葉がお手伝い当番か?」
「青葉ちゃんも皆もよくやってくれて、私大助かりよ!」
「はははっ」
手慣れたように料理をする青葉と母さんを見て、母さん馴れるの早くない?と思いながら俺は、笑顔で笑う。
「ご主人様・・・鮭もう少しで焼けますので、座って待っていてください」
青葉は、そう言いグリルをジーっと見つめる。
ドタドタドタと二つの足音が駆け下りてき、リビングのドアが開く。
「神―これどうやって履くの?」
「ご主人様―これの付けるとこどこ?」
2人は、そう言いながら、俺にタイツとリボンを渡してくる。
「えーっと、ハクトのリボンはここにこうつけるんだよ?火煉のそれは・・・おーい水樹―いるか?」
「はーい・・・どうされました?」
「これの履き方を火煉に教えてやってくれ」
「招致しました」
ハクトのリボンを付けながら、水樹にタイツを渡し、脱衣所で着るように言う。
「鮭、焼けました・・・」
青葉は、そう言いながら、エプロンを外し、皿をテーブルに置く。
「皆ーそろったか?」
「「「「「はーい」」」」」
母さんも交じって返事をする5人。
「よし!じゃあ・・・」
「「「「「「いただきます!!!!!!」」」」」」
皆で、手を合わせ朝食開始、ずいぶんと賑やかになったものだ、少し前まで母さんと二人暮らしだったからな・・・。
食べ終わって、歯磨きをそれぞれでして
「「「「「行ってきまーす」」」」」
そう言って、俺たち5人は、今日から始まる学校へと足を進めた。
劇的に変わった俺の平穏生活だが、これはこれで・・・と思う俺がいたのだが、これから始まる、高校生活と私生活があんなに波乱万丈になろうとは、俺自身予想していなかった。