報酬と退職金
もともと茶虎丸を報酬としていたアラクレイは、退職金代わりとして換金しやすい小さな粒を中心に受け取っています。
元々傭兵で腕も確かですし、交渉事や手配にも長けていますから、どこへ行っても食い扶持に困ることはないでしょう。
イーオットは、研究対象としたいもの、工房の拡張に使えそうな石を中心に選んでいるようです。
ムクチウスは、石自体には興味がないので、ケーヴィンに付与を頼んで、出来上がった品と家畜を交換してもらう取引先を探していくようです。
ケーヴィンは、今回の案件にかかわったこと自体が報酬とも言える契約だったわけですが、比較的実用性の高い石を多少もらったのと、ムクチウスから受け取る形の報酬もあるので、村にいたのでは到底稼げない額の収入になったのは確かです。
付与術の方も、普通では試すことのできないようなことも自由にやっていたので、相当な経験値となったはずです。
僕ですか?
すでにサー・エリクをいただいていますし、木の精霊の種の石も受け取りました。
もう結構ですという話をしていたのですが、アビスマリアのお守りの費用を持っていけ、と言われると断り切れませんでした。
街でこれの存在が明らかになったら、と思うと、色々な意味でお金を使う場面も出てくるかもしれませんね。
目立たず、換金しやすそうな石を十粒受け取っています。
これだけでも、何年間か暮らせます。
あ、あと、皆さんには話し忘れていましたが、実は、まだほかにも石を持っています。
あの魔道兵器の制御部から剥奪した精霊石、です。
僕の約束していた報酬は、封じる前に、「兵器の秘密をできるだけ」でした。
これは、正当な報酬なのです!
というわけで、それぞれに今後の方針が固まったところで、行動も導かれてきますね。
「私とムクチウスは、留守番役をしましょう。」
「じゃあ、俺はケーヴィンについて行って精霊石や魔道具を売りさばく交渉役だな。」
「スミと私は、街に暮らすための準備が必要だね。住まいを見つけて、入学の手続きをしてくる。学校に通い始めたら、当分こちらには戻らないと思うから、イーオット、ムクチウス、よろしく頼む。」
さて、僕はどうしましょうね。
スミと一緒に庶民の学校に通って、成り上がりの無双ごっこでもしてみましょうか。
それとも、イーオット達とここに残って、晴耕雨読っていうんですか? 料理や菜園の運営を習いつつ、例の兵器の研究をしていくというのも逆に新鮮ですね。
「そういやコーダ、お前さんは、俺の下で修業をしてみるって言ってなかったか?」
ああ、村の行き帰りに、そんな話をしていましたね。
「お前さんにはいろいろ素質があるからな。鍛えぬいたら、面白いことになると思うぜ!」
あれ?




