夢魔の島の男たち
ドアを開けたら、廊下でした。
何部屋もあって、平民の住まいではないようですね。
食べ物の匂いがして、人の気配のあるドアを選びます。
開けると、広めの明るい部屋に、三人の男がいて朝食を取っていました。
「おう、起きたか、ボウズ。」
ヒゲを生やして、荒くれた感じの男が言います。
「僕はコーダと言います。助けていただいて、ありがとうございます。」
「お早う、コーダ君。こっちに来て、一緒に座るといい。お腹が空いているだろう。」
柔らかな口ぶりで、女性がさわぎそうな、ちょっといい男が、手招きをしています。
もう一人は、静かな感じでだまったままですが、目付きはおだやかで、大きな草食動物のような雰囲気の人です。
僕のために、パンとサラダを皿に取り分けてくれています。
ぎゅぐぐぐ。お腹が鳴っていますね。
すなおに、食卓に着きます。
「みなさんの、お名前は何というのでしょうか。」
イスを引いてくれた男の人が、まとめて紹介してくれました。
「私はイーオット。そっちの乱暴者がアラクレイ、こっちの静かなのがムクチウスという。
コーダ君は、住むところと仕事を探しているんだって?」
「はい、事情がありまして、もう帰る場所はないのです。」
「ああ、ご飯を食べながらでいいよ。」
「それじゃ、えんりょなく、いただきます。」
ムクチウスが、木の椀に入ったスープも持ってきてくれました。
うす味ですが、肉やあぶらがあって、体が温まります。
「簡単な話だよ。ここに住み込んで、仕事をする気はないかい。」
「僕には、あまり力はありませんが、何かお役に立てるんでしょうか。」
この料理は、ふつうの市民が食べているものよりも上等な気がします。
ふつうの市民の大人よりも、すぐれた何かを提供しなければならないのではないでしょうか。
アラクレイが、ニヤリと口元をゆがめて、悪だくみのように語りかけます。
「ここは、夢魔の島だ。夢魔の島は、言うなれば精霊のゴミ捨て場だな。
ここで働くにゃ、余計なことを考えない、えんもゆかりも無い人間の方が、向いているんだ。」




