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魔道兵器

本日二投稿目です。


「お前は! こないだ反省しろと言われたばかりだろうが!!」


絶魔体の殻を抱えて僕の上に覆いかぶさったアラクレイが、声を荒げています。


「ああ、光弾は、絶魔体の殻で防げたのですね……」


「確証なんかねえよ! この馬鹿タレが」


そうは言っても、ムクチウスも殻をかかげて立ちふさがっており、その陰でイーオットがミステレンを抱えて金属の糸だったものを振りほどいています。


金属の糸が一瞬で剥奪できたかわりに、本体は絶賛稼働中です。

どうやら、この魔道兵器は丸ごとが一つの魔道具ではなくて、たくさんの魔道具の部品で構成されているようです。

ならば!


風精の力でアラクレイを吹き飛ばすようにして、下から滑り出ると、魔道兵器の上に飛び上がります。

先ほどからの思念が発せられている場所。

機体の真上に膝を突き、両手を張り付けます。


「申し訳ないけれど、お別れです!」


制御部と思しき辺りに対して、剥奪!!


ズオォッ。

深く、密度の高いイバラの中に手を突っ込むような感触。

今は簡単な仕組みしか動いていないようですが、もともとは無数の精霊と巨大な術式を組み合わせた、高度な機能があったのでしょう。


全部を剥奪しなくていい、活発に動いている部分だけで! 探って、探って、絞って、絞って……!!


次から次へと収束し浮かび上がっていた光弾を、アラクレイやムクチウスが絶魔体をかぶせて抑え込んでいるのが、視界の外側にぼんやりと映っています。


あ、一発の光が、防ぎきれずに放たれそうです……


体を傾けて…… ああ、肩を打ち抜いて…… い、痛いです……


機体の中に、目ではなく感じたいくつもの光の糸の塊。

それらをつなぐ、中心点を、「剥奪」。


そこまでで、機体は動きを止めました。


「コーダ、この大馬鹿野郎が……」


「ああ、今日は意識を失ってませんよ…… 痛い、ですけども。」


転げ落ちた僕を、アラクレイが受け止めています。

ミステレンさま、治癒術、よろしくお願いいたします。


「なんとまあ、呆れたものじゃ。」


ババ様が、目を丸くしているようですね。


「この、大バカ者が」


あれ? アラクレイと違って、なんだか冷たい声に聞こえますね……


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