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囚われのミステレン

「ミステレン!」


イーオットの声は、緊迫した気配を伝えてきます。


走り込んだ僕の前には、小さな家くらいある巨大な魔道装甲が数体、うずくまるように並んでいました。


か、カッコいい……!!


思わず見とれて魔道装甲の前で立ち尽くします。


よく見れば、腕や足は外されていて、ほかにも留め金のようなものがたくさん露出しているところからすると、外装も失われているのでしょう。


溶けて歪んでいたり、傷だらけの部分もたくさんあります。


無意識のうちに近づいていた僕を、イーオットが慌てて手で制します。


「気を付けて、コーダ。まだ完全な起動はしていませんが、我々の行為は敵対的なものと取られてしまったようです!」


見れば、一体のそばに絶魔体の部品が積み重ねて置いてあり、ミステレンがその魔道装甲の手元に、金属の糸のようなもので縛られて捕らわれているのです。


物語絵本の、悪の騎士感ですね。

そして囚われのミステレン……


「壊れていて、稼働しないのだと思っていましたが……」


「戦術稼働はできないと伝えられていて、今もまだ待機状態のはずなんです。

武装は全て解除されているはずですが、武装とも呼べないような仕組みでさえ、我々には十分な脅威ということですよ。」


そういえば、さっき聞こえた思念は、警備活動とかなんとか……


「イーオットさん、スミを呼んできてください。風穴で、これに対する何かの権限を持ってるとしたら、ババ様くらいのものでしょう。」


「そうですね、まだ完全な攻撃態勢というわけではなさそうです。刺激せず、待っていてください。」


イーオットが、走り出しました。


「コーダかい? 巻き込まれないよう離れているんだ。こいつはまだ、私を殺すつもりはないようだ。」


そうは言ってもですね、僕には聞こえているんですよ。


「接続要請に回答なし…… 四度目の要請を行います…… 防衛活動開始まで、四十五秒……」



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