試運転
さあ、はじめよう!
ケーヴィンがレバーを倒すと、水槽の一つに水が溜まっていきます。
ムクチウスが発見した湧き水から汲み上げているそうです。
満タンになったら、自動で次の水槽に切り替わるようになっています。
このあたりは、ケーヴィンの付与術で制御されています。
最初の水槽に、ケーヴィンが付与術をかけています。
いろいろ試したところ、どんな内容の術でも絶魔体の材料としては問題ないことが分かっているので、単純な魔道具化です。
ほんの少し魔力を与えると、光ったり、温かくなったり、固くなったり、泡立ったり…… いずれも、生活の中で使われている魔道水ですね。
器の魔道具は高価なので、普通の庶民は計り売りで魔道水を買ってきて使うのです。
この水槽は、中で小さな波がたくさん起こる術のようですね。
洗濯や食器洗いに使えそうです……が。
剥奪。
大きなレバーを動かすと、水槽ごと回転して中身が圧縮装置に流れ込みます。
どぷん。
圧縮装置では、五角形と六角形のパネル状の絶魔体を成型していきます。
よく知りませんが、イーオットによれぱ、五角形と六角形の組み合わせで球形に組み上げることができるそうです。
ぐるぐると回転する水槽たちに、ケーヴィンと僕が次々と術をかけています。
五分ほどで、ケーヴィンが根を上げました。
「ぐはぁ。これで、何枚ぶんだ?」
「すごいですよ、もう三十枚もできあがってます。このペースなら、一時間で三百六十枚ですよ。」
「いやいや、ムリだから!」
「魔力の回復するお薬とか使いますか?」
「それ、飲み続けるとかヤバイ奴だから!」
ですよねー。
装置としては、完成といえるようです。
しかし、思っていたとおり、付与術の方が問題ですね。
「こんな普通の魔道水でいいなら、魔道水を作る魔道具を使っちまえばどうなんだ?」
アラクレイが言います。
あ、それもそうですね。
「中身がなんでもいいなら、風穴の中にも何かあるだろう。」
確かに、困った効果を帯びるようなものでも、剥奪するだけなので問題ないですね。
ミステレンに相談すると、「それなら、ちょうどいいものがあるよ」と。




