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ケーヴィンのアイデア

絶魔体製造ラインの次の段階は、ケーヴィンが付与術を使って作る仮りそめの魔道具を、僕が剥奪術で絶魔体の材料に変えるというものです。


素材は、付与が素早くできて、この近所で大量に用意できるものが求められます。


木、石、砂、土、僕もいろいろ考えましたが、なかなか良いものが浮かびませんでした。

近所の木立を丸裸にするわけには行きませんし、生き物由来の素材は、付与に少し時間がかかるようです。

砂や土は、むやみに地面を穴だらけにすると、雨が降った後が大変です。

石切り場にできそうな場所は少々遠く、運ぶのが大変です。


ケーヴィンが出した答えは、「水」でした。


「そう来たか!」

「魔道具ということに気を取られていましたが、確かに水に精霊を封じることもありますね。」

「なるほど、水ならば、簡単な魔道具と水路だけで水辺から運んでこれるね。」


大きな瓶に溜めた水に、砂粒のような精霊石をさらさらと落とし、ケーヴィンが付与術を使います。

瓶の中の水がほのかに発光し、低位ながらポーションになったようです。


僕が水に手を突っ込み、剥奪術を使います。

ごく小さな精霊石を抜き取ると、残ったのは…… 確かに、例の何かです。


軽くかき混ぜると、泡だったスライムのような状態で、木や金属の魔道具の場合よりも、かなり柔らかいです。

魔道装甲をまとったイーオットが、瓶から頑丈な容器に移して、金属の板を使って圧縮していきます。

泡が抜けていくような感じで、段々手ごたえが硬くなっているようです。


「これは!」


「すごいじゃないですか、ケーヴィンさん!」


容器の形に、絶魔体が出来上がっています。

容器の形を工夫して、最初から部品として成型すれば、後で結界型に組み上げるときに、工作がすごく楽に、きれいになるでしょう。


イーオットも、ケーヴィンの肩に手を当ててほめたたえています。


「あなたが来てくれて、本当に良かったです!」


ケーヴィンもうれしそうにニヤニヤしていますが、こんな時に、気の利いた一言が何も出てこないのもケーヴィンらしいですね。


さっそく、全員でケーヴィンのアイデアを実現させていきます。


アラクレイとムクチウスは、近くの水路から水を引いてくる作業へ、ミステレンとイーオットは結界装置を通過して風穴の中に水を引き込む仕組みを整えています。

僕とケーヴィンは、引いてきた水を最下層のプールで受け、一定の量ごとに付与と剥奪を行えるようにする仕掛けを考えていました。


僕たちはみな、浮かれていたのです。

僕も、その声が聞こえてくるまで、まったく警戒していなかったのですから。



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