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最下層の労働者たち

今の僕はっ! 剥奪する機械(キリングマシーン)なんだっ!!


自分に言い聞かせながら、ベルトコンベヤを流れてくる魔道具にひたすら剥奪の術をかけています。

剥奪! 剥奪! 剥奪! はく奪! 剥だつ! …はくだつ! ハクダツ! ハクダッ! 


砂粒くらいから大豆くらいまで、キラキラと輝く小さな精霊石が、脇に置いたバケツの中に小山を作っています。

二百粒を越えた辺りで、数えるのをやめました。


ハッ… フッ… ハッ… フッ… ハッ…

上流ではアラクレイとムクチウスがベルトコンベアに次々と魔道具を放り込んでいます。


バシャン…ガラン…… バシャン…ガラン…… 

下流では、例の作業用魔道装甲を着込んだイーオットがシンバルよろしく脱け殻を叩き潰し続けています。


何というか…… 非人間的な光景です。


カシャカシャガシャ…… カシャガシャカシャ…… 


ベルトコンベアの末端では、ケーヴィンが、片手でイーオットの背後で溜まっていく絶魔体を箱詰めしながら、隣に広げた図面に術式を書きなぐっています。


ケーヴィンの瞳は、箱の向こうに焦点が当たっているようです。 


「この装置ができあがったら…… 付与術を使いまくってやる…… ありえない回数の術を使ったら、誰にも到達できないレベルに…俺は…なれる……」


アラクレイは、何と言ってケーヴィンを連れ込んだんでしょうか。


剥奪術マシーンとなっている僕の姿が、目に入っていないのでしょうか。

すでに、そんな理性さえ失っているのでしょうか。


この、呪われた地底の牢獄の輪廻に、自ら這入ろうとするなんて……


とまあ、ウンザリして妄想をしたりしていますが、一応皆さん、自発的に取り組んではいます。

スミというか、ババ様との交渉の結果です。


アラクレイは、この仕事の報酬として茶虎丸の精霊石を受け取り、正式に自分のものとします。前払い状態だったわけですね。

風穴から生まれた財貨は、いかなる形であれ、勝手に処分できないそうで。

ですよねー。


イーオットは、この後生まれてくる精霊石を財源に、工房の拡張と実験用の素材の調達を。

ミステレンは、どこぞの町の孤児院?か何かの改修を。

ムクチウスは、ウシとヤギとニワトリを。


絶魔体製造プロジェクトが上手くいって、例の兵器を安定的に隔離できることになったら、それぞれ、二年ぶんの給金に匹敵するボーナスを約束されているのです。


僕ですか? 僕が得るものは……

隔離前に、兵器の秘密をできるだけ、です。


うっしゃー、やりますよー。

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