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イーオットの計画

「融合魔石の崩壊を抑え、魔力と瘴気を閉じ込めておくには、大量の紫焔鉛晶で隔離します。

しかし、今この風穴の地下にある融合魔石のすべてを固めて隔離するような量の紫焔鉛晶を集めてくるのは不可能です。」


「それで、絶魔体がその代わりになるかも、ということですね。」


「はい。絶魔体も大量に必要でしょうが、コーダがいれば、絶魔体は作ることができます。

材料となる不要な魔道具は最下層にもありますし、もっと言えば、新たに作ってもよいのではないかと考えています。」


「魔道具を、作るんですか?」


「できるだけ大きく扱いやすい材料に付与術を施して魔道具化したら、すぐに剥奪術を使うのです。回収した精霊石は、再度付与に使います。

ベルトコンベヤで付与と剥奪、脱け殻の圧縮も流れ作業でできるようにすれば、効率も上がることでしょう。」


魔道具って、何でしたっけ……


「まずは最下層の魔道具から始めて、剥奪と圧縮の作業が固まったところで、付与の工程も追加していきましょう。」


イーオットの壮大な構想を聞いたところで、回りを見回すと、みんながそっと目をそらしています。


「コーダ、済まない……」


ミステレンの唇が、謝罪の言葉の形に動いた気がします。


「アラクレイ、ケーヴィンの方はどうですか?」


「あー、声を掛ければ喜んで馳せ参じると思うぜ。どこまで正直に話しておくかって問題はあるけどよ。」


「最初はベルトコンベヤの魔道具の作製依頼ですから、問題はないでしょう。」


「ケーヴィンさんを連れてくるんですか。付与術士が風穴に近づくと、いろいろ難しいんじゃありませんでしたっけ?」


「得られるものと失うものの重さということですよ。」


それ、失うのはケーヴィンで、得るのは我々ってことになりませんか?


絶魔体製造装置の構想を高らかに歌い上げるイーオットの演説は、装置の詳細に至るまで、しばらく続きました。


気がつけばアラクレイはイビキをかいてのけ反り、ミステレンは下を向いて目をつむり、スミは姿を消しているという。

僕に気取られずに立ち去るとはなかなか……ふわぁ。


イーオットも、たいがいな魔道研究家だったのですね……



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