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風穴の秘密

反省会の料理は、ムクチウスが作っていました。


菜園の主だけあって、野菜を中心に、木の実やイモなどを使った料理が多いようです。

炒った木の実と合わせたサラダ、あっさりとした澄んだスープ、根菜のシチュー、雑穀を混ぜたパン。

シンプルな味付けの中にも個性的なスパイスの隠し味があり、起きたばかりの僕にも優しい食べ物です。


「相変わらず、おめえの料理はパンチが足りねぇなあ。」


向かいに座っているアラクレイがつぶやきますが、隣のスミがわき腹の肉をつまんでみせると、静かになったようです。

アラクレイの肉体は鍛えられたものですが、食べるのも豪快なので、多少はそういうこともあるのでしょう。


「ミステレンさん、魔力を与えないといけない魔道具のほかに、魔力を内蔵している魔道具というのがあると言っていましたね。」


「やっと起きてきたと思ったら、もうそんな話をしてる。ちゃんと反省している?」


スミが、脇から茶々を入れてきます。

む。


ミステレンは、別の考え方のようです。


「スミ、大した説明もなしに、いきなり現場に連れて行った私たちも反省すべきだね。魔力を内蔵している魔道具は、もっと危険度が高いんだ。詳しくとなると……」


イーオットが話に入ってきます。


「私の出番ですか? 昨日からの調査結果と合わせて順に説明しましょうか。」


「いや、手短に頼むぜ。」

アラクレイが話の腰を折ります。


「分かりました、それでは要点だけ…… コーダは、融合魔石を知っていますか。」


「書物で読んだことはあります。太古の技術で作られた、ものすごく密度の高い魔石ですよね?」


「はい。超高密度であるがゆえに、通常の空間に置いた場合は、あっという間に魔力と障気を放出しながら崩壊していきます。そして、風穴の下層には、融合魔石を内蔵した壊れかけの魔道具がいくつもあるのです。」


「……それって、ものすごく危険な存在ですよね?」


「そもそも風穴が作られたのは、それらを封じておくためだったとも言われています。今はまだ、魔道具が壊れるような状況にはなっていませんが、万が一魔道具が壊れた時には、内部の融合魔石がどうなるか。」


「あれ? 風穴は、その時に備えて作られたのでは?」


「本当に抑え込めるか、実際に試されたことはないのですよ。それに、風穴の中が魔力と障気の嵐で満たされることになります。

最悪の事態を避けるための、シェルターのようなものでしかありません。

 それに、現在大量に置かれている魔道具は、後の世の人間が風穴の力に目を付けて持ち込んだものです。風穴の製作者が今のような使い方を想定していたかは、分からないのです。

大量の魔道具が、融合魔石の魔力と障気を浴びた時に何が起こるかは、正直言って予測不可能です。」


えええ…… なんか重大な打ち明け話じゃないですか、それ……?


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