イーオットの発見
本日、2投稿目です。
次に、水筒。
何かの生き物の皮からできているのでしょうか?
土精が封じられていて、中に入れた液体から、水以外の成分を選んで凝縮して、捨てられるようにしてあるみたいです。
旅先で、泥水からでもキレイな飲み水を作れるという魔道具のようです。
一瞬で精霊を抜き出せましたが、やっぱり石はできませんでした。
細々した魔道具なら触れるだけで抜いていけるので、流れ作業的に処理する方法を工夫してみることになりました。
大した魔力の残っていない、棒や傘やランプ、カバンなどを、ミステレンが、僕に向かってほい、ほいと軽く投げてよこします。
僕が、受け取った魔道具からすばやく精霊を抜き取って、横に立っているムクチウスの足元に積み上げていきます。
ムクチウスは、それをまとめて同じくらいの大きさになるよう、押し固めていきます。
元の素材が何であれ、同じ物質になってしまうみたいですね。
イーオットは、ムクチウスが塊にした抜け殻を、壁際に積んでいきます。
いち、に、さん。いち、に、さん。
慣れるにつれて、ペースはあがってきましたが、みんな無言になってきました。
「私には肉体労働はあまり向いていないと思うんですが、どうなんでしょう。」
手を止めたイーオットが、腰をさすりながら沈黙を破ります。
「そうは言っても、お前さんは物を投げるのもえらく下手くそだからなあ。ここでは、あまり術を使うわけにもいかんし。」
ミステレンと交代するわけにもいかないようです。
「イーオットさんは、ムクチウスさんが使っている鎧は扱えないんですか?」
「扱えないことはないんですが、この鎧は、魔力の大きさに応じて出力が上がってしまいます。
私だと、ちょっと力が強すぎてしまうんですよね。」
「ま、今の作業なら何かを壊してしまうような心配もないんじゃないか。
ムクチウス、イーオットと作業を交代してもらってもいいかい?」
「うむ。」
いつものように、短い返事です。
ミステレンの指示に従って、ムクチウスが鎧を脱いで、イーオットが着込みます。
イーオットは細身なので、鎧を着ているというより、鎧の中に入っていくという感じですね。
確かに、イーオットが鎧を作動させると、動きが大きく、荒くなっています。
少し移動しようとしただけで、ムクチウスの三倍くらい動いてしまうようです。
四苦八苦しながら、なんとかいい位置に付きました。
僕が精霊を抜きとった抜け殻を、イーオットが手元で圧縮します。
そっと力を入れているような素振りですが、ムクチウスのときよりも明らかに小さく圧縮されています。
ギィン、と先ほどまではなかった音が鳴っています。
「んん?」
イーオットが手元の塊を眺めています。
「どうしました? 力をかけすぎて、何かありましたか?」
「ちょっと、これを見てください。」




