絶縁
と、いうわけで、僕は、火精家から、完全に縁を切られてしまったのです。
お母さま、お父さま、これまで育ててくれてありがとうございました……。
そして、今日から! 僕は自由! フリーダァーーム!!
「わあぁぁぁ!! わあぁぁぁぁぁ!!!」
思わず声に出して叫んでしまった。二回も。
はしたないですね。こほん。
いやもう、我が家の教育方針のどれほど厳しかったことか。
精霊術分野と貴族としての礼儀、教養、戦いの術、戦争の知識、商経済、経営そのほかそのほか、順番に挙げるだけでも、めまいがしてきちゃいます。
特に僕は、変わった術を持ってるであろうことがバレていたので、念のため、もしかしたらって、あの優秀な兄さまたちよりさらに広い範囲をカバーさせられていたんです。
父さまと、父さまの選び抜いた先生方の目をごまかして、能力の限界まで努力している姿を演じてみせるのに、どれほど苦労したことか。
それにしても、死んだことにされてしまったのはちょっと想定外でした。
僕の「はくだつ術」って、そんなにも危ない術なんでしょうか。
少なくとも、僕が今までに試してみたところでは、そんなに危険があるようには思えないんですが。
僕が知らない帝国の歴史の裏側に、何かこの術にまつわる闇みたいなものがあるんでしょうか。
それはさておき、今日から僕は孤児の平民「コーダ」として一人で生きて行かねばなりません。
僕は小舟に乗せられて小さな川に流されたようで、川岸に引っかかった気配で目が覚めたのです。
とはいえ、我が父さまも僕が行き倒れることを望んでいるわけではないようで、ちょっとした日持ちする食料も積んであり、このあたりも人里離れた山中や沼地というわけではなさそうです。
早速、人の気配がします。




