明日から頑張る
スミは何者なのでしょうか。
思うところは色々ありますが、好奇心猫を殺すといいます。
何も分からないまま謎の中心に踏み込んでいいのは、子ども向けの読み物くらいでしょう。
「ミステレンさん。明日から、お仕事をこなしながら少しずつ実験をしていきたいと考えてるんですが、どうでしょう。」
「そうだね、ババ様もああ言っておられたことだし、許されたということでしょう。」
ババ様、ですか。
普段のスミとは別人格ってことなんでしょうね。
「ちなみに、ヌシというのは、大物の魔道具のことですか?」
「まあそんなところだね。彼らに会うのは、もう少し色々な魔道具を見てからにした方がいいかな。コーダ君は、街で普通に売っているような魔道具しか見たことがないだろう?」
お抱えの魔道具製作者が作るものは、色々扱ったことがありましたが……
「ここには、使用者に与える負荷が大きい魔道具も多い。世間では、呪いの品と呼ばれているようなものだ。」
なるほど、そういうのは触ったことありません。
あ、術者の魔力が足りないと精気を吸われて命に関わることもあるという装備の訓練をしたことはありますね。
体の小さな僕でも怪力を出せるという「獣の鎧」みたいな魔道具でしたか。
魔力を供給し続けないとものすごく体がだるくなるので、だるくならないように魔力を送り込みつつ、魔力がなくなりかけてだるい振りをするという、何か微妙な気分で魔力をコントロールをしていた覚えがあります。
人間よりはるかに大きな猛獣を素手で叩きのめせるので、好きな人ならたまらないんでしょうけどね。
「そうですね、まずは普通のお仕事を覚えつつ、僕の術も確かめて行きたいと思います。上層の魔道具なら、精霊を抜いてしまってよいですか?」
イーオットが手を挙げます。
「それなら、私がしばらく実験に付き合おう。」
順当ですね。
というか、他の人にその役目を譲る気なんてないでしょうね。
さて、明日からがんばりますか!




