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採用面接

さて。

食後のお茶を飲みながら、皆でテーブルを囲んでいます。


大事な話があるとイーオットから皆に声をかけてもらっているので、僕の話を待っている状況です。


正直に言えば、夕ご飯のしたくをしながらどう話そうか考えるつもりだったので、あまり考えがまとまっていません。


まさか、「料理の手伝い」があんなにも忙しくて困難なお仕事だとは、予測していませんでしたから。


それでも、思い付くままに、語ってしまいましょう。

この人達なら、僕を受け入れてくれる気がしますし、そうでなければ去るだけです。


「色々な事情がありまして、僕は帰る家が無くなってしまいました。それというのも、僕が、特殊な術を持って生まれて来てしまったからです。

先ほど、イーオットさんには少し話したのですが、剥奪の術といいます。魔道具から、封じられている精霊の力を抜き取る力です。」


ミステレンは戸惑い、イーオットはちょっとシリアスな表情、ムクチウスはいつものように無表情ですが少し眉が動いたでしょうか?

アラクレイが口を開きます。


「魔道具から魔力を抜き出せるってことか? もしそうなら、俺達の仕事には最高の力じゃねえか。大歓迎ってもんだろ。」


イーオットが、それに続きます。


「どのくらいのことができるのか、詳しく聞いてもよいですか?」


「正直なところ、僕も自分の力をよく分かっていないんです。

魔道具から精霊を引き剥がすことはできるんですが、元には戻せません。僕は、付与術は使えないんです。

実験で魔道具を次々にダメにするなんてこと許されませんから、力のこと自体、家族にもほとんど話していませんでした。」


ミステレンが、口を開きます。


「家族にも……? それがなぜ、まだ知り合いになったばかりの我々に話す気になったんだい。」


「風穴にたどり着いたのは、何かの導きでしょう。ここでなら、僕の能力は誰にも迷惑をかけません。堂々と、力を使えます。

他の人間の出入りも少ないみたいですし、当分静かに暮らしていたい僕にはうってつけの環境です。」


一種の、採用面接ですね。

アピールすべき相手は、この人でしょうか。


「スミさん。いえ、風穴の管理者たる夢魔の一族の宰領におたずねします。

僕は、風穴にたくわえられ、封じられてきた力を、もう一度役に立たせることができるんじゃないかと思っています。

僕の力を、使ってみる気はありませんか。」


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