表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/237

加護の儀

十歳になって、加護の儀が行われた日。


「お父さま、こちらに手を乗せるのですか。」


「そうだ。では、発動させるぞ、コーダよ。」

親族や親しい人々、招かれたお客さまが見守る中、僕の加護の儀がとり行われていた。


小さな魔法陣が浮かび上がって、下に敷かれた羊皮紙に焼き文字が浮かび上がる。


「加護;剥奪ノ術」


羊皮紙を取り上げたお父さまの、脇に立つお爺さまの、お二人の顔つきが凍りついたように固まっている。


「何と、書かれているのでしょう……?」


お二人とも、返事がありません。


「お父さま……?」


「加護は、剥奪の術とされた。過去に無き、術である。詳細は、調べて皆にお知らせしよう。すまぬが、体調が優れぬゆえ、今日はここまでとする。」

いつもはゆったりと、自信に満ちた口調のお父さまが、早口で、硬い口調でまくしたてる。


居合わせた人々が、聞きなれない言葉に戸惑っています。

「はくだつ? どういう術なのだ?」

「過去に無いって、珍しいってことか?」


僕の腕を、一番上のお兄さまが、つかんで引っ張っていきます。

「来い。客人に、その身をさらすな。」

「兄さま……?」


後ろからついてくるお母さまも、青白い顔をしています。

「未知の術……まさか、我が一族に黒の気配が……?」

「いや、それはあり得ません」

お兄さまのつかむ力が、いっそう強くなります。

「兄さま、痛いですよ……?」


その後のことは、詳しくは覚えていません。

覚えていないのではなくて、思い出さないようにしているのかもしれません。

ほんの少しの荷物を持って、荷車の後ろに寝かされ、さらに夜を徹して運河まで運ばれたという記憶以外は。


その日をもって、僕コーダ・イグナティカは、イオタ帝国に名にし負う火精(イグナティカ)の家から、その名を消されたのです。



プロローグ部分が終わったら、もう少しまとまった量で投稿します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ