風穴管理者見習い
聞きたいことは山ほどありましたが、皆さんも仕事があるので、それそれに持ち場に向かいます。
僕は、最初は雑用ということで、今までスミがやっていた作業のうち、かんたんなものから引きつぎます。
スミは、みんなの前では大人しくて、ミステレンの後ろに隠れていたくらいです。
二人きりになるなんて嫌がるかと思っていたのですが、割りとあっさりと僕の面倒をみることを了解してました。
皆がいなくなると、さっそくスミの態度がなんだか変わっています。
オドオドしてうつむき加減でいたのが、腕を組んで、胸をそらしています。
目つきも、見下ろしている風です。
「どこから来たかなんて、ここでは聞かないことになってるけれど、その分は働きで見せてもらうんだからね。
ミステレンもイーオットもみんな甘々で、すぐ変な子どもを連れてきちゃうんだから。まったくもう。」
確かに、ミステレンさん、僕を拾ったときもチョロすぎる感じでしたね。
うんうん、と僕の賛同するような気配を感じたのか、スミはジロリとにらんできます。
僕とは立場が違うのだというメッセージのようですね。
「スミさんも、ミステレンさん達に助けられたんですか?」
聞いてみます。
呆れたような顔つきで、首を振っています。
「ミステレン達が、私に仕えているのよ。」
あれ?
「そうなんですか。そうすると、スミさんはここの主人の娘ということですか?」
さっきのミステレンやイーオットの振る舞いは、そんな感じでもありませんでしたが。
「私が主よ。私は、ここに住むただ一人の夢魔の一族なのだから。」