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ダンジョンに眠る

本日、二度目の投稿です。


地上に上がると、村人たちが遠巻きにこちらの様子をうかがっていました。


「詳しいことは我々にも分かりませんが、村長は無事です。お疲れなので、中で休んでいるだけです。

 魔物の群れは、地下深く、精霊の里へ通じる道へと入っていきました。すぐに出てきて暴れるようなことはないはずです。みなさん、ひとまず、うちに帰って普段通り過ごしていただいて大丈夫です。また明日、村長からお話があることでしょう。」


かいつまんで説明して、解散して大丈夫だと伝えておきました。


村長が魔物たちのいけにえか何かにされたんじゃないかと恐れていたようで、地下の詰め所で寝ていることを説明したら、家族らしき人たちが急いで確認しに行きました。

村長、家族に愛されているんですね。


お店はどこもやっていなかったので、食材だけ分けてもらって、僕達もダンジョンの中に泊まることにしました。

そういえば、厨房もベッドも作ったんでした。


アラクレイが村長さんの家族の分も一緒に料理してくれたのですが、アラクレイが魔物の行列の先頭に立っていた光景が忘れられないみたいで、魔物の軍勢の将軍みたいな扱いを受けてました。

あの軍勢を率いていたのはむしろ村長の方だとアラクレイは何度も言っていたのですが、信じてもらえなかったのです。

実際、村長がダンジョンマスターなんですけどね。

これから、だんだん受け入れていってもらえばいいでしょう。


村長の奥さんや娘さん、僕より小さい息子さんたちと、簡単だけれど美味しいアラクレイの料理を楽しんでから、解散ということになりました。

村長たちは家族で一つの部屋に泊まり、アラクレイも適当な部屋を選んで寝転がっていたので、僕は例の思い出の部屋で寝ることにします。


「この部屋は、コーダが昔住んでいたところと同じ作りなの?」


一人になったら、アビスマリアさんが話しかけてきました。


「昔っていうか、まだひと月もたってませんけどね。」


「へー、ずいぶんいい部屋に住んでたんじゃない。」


「まあ、そうですね。今では、もう戻れませんけど。」


今頃、実家ではみんな、どんな風に過ごしてるんでしょうね。

僕がいなくなっても、全然変わらないで、同じような日常が続いているかもしれませんけど、父様や母様は、ちょっとくらいは、寂しがったりしてくれてるんでしょうか……

僕は、仕事を見つけたり、お金を稼いだり、仲間もできたりして、何とか暮らしていますよ……


「家出してきたの?」


「いや、家を出されてしまったんですよ。僕の、例の術のせいで。」


「ふーん。珍しい術だとは思うけど、役に立つのにね。」


「僕も、ちゃんと術のことを、説明してこなかったですし。使い方によっては、怖い術ってことなんでしょうね。」


「あのイジュワールさえ、封じちゃったんだもんねー。そんな能力者、手元に置いておくだけで危険視されちゃうのかな。そういえば、よかったの?」


「何がですか?」


「イジュワールって、この国では、結構重要な役どころだったと思うんだけど。」


「あれだけ力を持ってるんですもんね、影の支配者とか言われても納得はしますよ。でも、今解放したら、きっと僕らみんな一瞬でやられちゃいますよ。」


「そうねぇ。あたしでも、イジュワールを上手に制御する自信はないわねぇ。しょうがないか。」


「そうですよ。しょうがないんですよ。ふわぁ。もう、眠くなっちゃいました。」


「今日も、色々あったもんね。でもホント、あたしは、風穴を出られてよかったわ。」


あんたのおかげよ、そんなことをアビスマリアさんが言っていた気がしますが、もう僕は半分以上眠ってしまっていました。


あ……、ケーヴィン、ちゃんとご飯、食べたかな……



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