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そして出頭する

ニングルムに属する者による、破壊工作。

ニングルムは強力な執行機関だが、同時に、他では生かせぬ力の持ち主が集まっている場でもある。

その存在に救われたという思いの強いシュッツコイにとっては、想定しない事態だった。


確かに、イジュワール様の不在と、タイミングが近すぎる。通信網を分断し、混乱を招いたうえで、狙いを定めて魔道具を破壊したということか。


「副隊長、どう考える。」


「情報が余りにも不足していますが、強力な破精の術が使われたとなれば、そのような使い手を我らが把握していないはずがありません。

そして、勇者……蘇生の……秘術ですか。私は弁えませんが、帝室の機密に関わる魔道具を、破壊されたというのですか。」


ソチモワールも、掴んでいる情報は断片的なようだ。


「そのような報告が、上がってきておるのだ。儂も、そのような術や魔道具が如何なるものかは知らぬ。古い文献を当たらせてはいるが、何せ機密度が高いうえに、その魔道具が最後に使われたのも百年以上前の話じゃ。

 元々設置されていた教会は魔物の襲撃で破壊され、復旧されることもなく魔道具は倉庫に収められていたという。それが、魔道具化してあった倉庫ごと術で破壊されていたのだと。」


副隊長は、シュッツコイと顔を見合わせる。


「倉庫ごと、ですと? ふうむ。魔道具を破壊する術の遣い手は、隊員でなくとも何人もおりますが、入れ物ごと魔道具を破壊するとなると、ごくわずかな者しか難しいでしょうね。」


「そうだな。直接魔道具に触れずに破壊するだけでも、難易度はかなり上がる。物置の中の魔道具となると、俺が魔剣を使ったとしても、頑丈なものならば破壊しきれんな。」


「物置……? いや、破壊された倉庫は、数百点の大型の魔道具を収納した、それ、そこに見えるボタクリエ商会の本館に匹敵する大きさのものと聞いておるぞ。」


「いや、倉庫を破壊するといっても、ドアや窓を破壊すれば侵入には十分であろう。警備体制によっては、壁や天井の一部を抜くという工作も考えられなくはないが。それ以上に破壊するというのは、どういうことなのだ。」


「うーむ。儂も、そう思うのじゃがな。報告の内容はな……。」


「長距離の術式で、壁抜きの狙撃で破壊して見せたということか?」


「いや、倉庫は、壁も柱も溶け崩れたように潰れていたそうじゃ。」


ソチモワールとシュッツコイは、あまりに現実味のない報告内容に、眉間にしわを寄せつつも首をかしげるばかりである。


「仕方あるまい。潔白を示す証拠もないが、そなたの口からせいぜい釈明してみるほかあるまい。」


「そうだな……。ニングルムが機能を失っていることだけでもこの身ではあがなえぬ失態だが、身内の不始末だとすれば、我らの手で始末を付けさせてもらえまいか、寛恕を願うばかりだ……。」


二人とその付き添い達は、悄然としたまま官房長のもとへ向かうのであった。



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