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いったん出直し

本日二投稿目です。


「俺も、ここから連れ出してくれ! 必ず、役に立つぞ!」

「吾輩の力は、まだ衰えておらぬ、古の力ぞぉ!」

「どんな魔道具にだって、なってみせるわ。この器から、解放してくれるなら!」


火事場の刑務所のような喧噪の中、アビスマリアさんが一喝してようやく収めます。


触れて念じるだけで、石となって抜け出してくる精霊達。

周囲の魔道具を触れて歩くだけで、十数粒の精霊石が集まりました。

とはいえ、まだ三百点以上あります。


それに、深く考えずに剥奪をかけてしまいましたが、そびえたつパイプオルガンが抜け殻となったあと、ギシギシ、メリメリと音を立てていました。

たまたま支えとなる壁は魔道具ではなかったので持ちこたえていますが、大型の品物に剥奪をかけたら、自重で崩れてしまうものもあるでしょう。

そんな場面を、ウラカータ達に見せるわけにはいきません。


「今夜、再び参ります。その時までに、皆さん、お気持ちを固めておいてください。」

アラクレイに目配せして、いったん出直すことにします。


精霊石は、絶魔体で作った箱の中にしまい込みます。

風穴から持ってきた石や、帝都までの移動の途中で手に入れてきた石と合わせると、百粒以上あります。

人に知られたら、何事かと思われるでしょう。


ちなみに、アビスマリアさんとサー・エリクには、探知除けのために、専用の箱を用意しています。

人のいない場所ではたまには外に出す約束になってますが。

ただ、アビスマリアさんは箱の中からでも外の様子を把握していて自由に話しかけてくるので、それはそれで謎の技術です。


ボタクリエ商会の馬車に乗って、いったん宿まで戻りました。

もう鍵も受け取りましたし、場所も覚えたので、日が暮れた後に、出直します。


倉庫街に着いた後は、ケーヴィンに作ってもらった、うろこ状の絶魔体を織り込んだフード付きのマントをまとって走っています。

ほとんどの探知を無効化できるうえに、直接かけてくるような術式も消滅させる機能があります。


ただ、術で生まれた衝撃波や熱は打ち消せませんし、丈夫なガラス程度の耐久力しかありません。

それに、自分の精霊術の発動も乱されるという大きなデメリットがあります。


「このマントを身に付けていると、肉体の力だけで行動しなきゃならないんだよね。」


ケーヴィンが説明していたときのことです。


「コーダ、お前、修行にちょうどいいから、人目のない場所ではいつもこれ着とけよ。」


アラクレイが、俺いいこと考えた! という顔つきで言い出した時のことを思い出してしまいます。

それ以来、人通りのない街道では、強化も加速も回復もできない状態で、延々と走らされてきたのです!


といっても、絶魔体に触れながら術を使うことにも、結構慣れてきましたけどね。

アラクレイにばれないようにしなくては……。


さて、倉庫に到着しました。

周辺に人影、術式の発動なし。

手付も払っていますし、不法侵入してるわけじゃないんですけどね。


さ、回収を始めましょうか。



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