ACT3 某日
ACT3 某日
北公園。
ベンチには幸恵が座っている。
子供のはしゃぐ声。
幸恵の隣には見知らぬ男が座っている。
そこに、祥子が現れる。
幸恵 あ……。
祥子 ……。
幸恵 ……。
男 ?
幸恵 どうしたの?
祥子 いや、ちょっとね。
幸恵 お昼休みには早くない?
祥子 会社、辞めたんだ。
幸恵 え?
祥子 うん。
幸恵 (男に)ちょっといい?
男 ああ。
男 朋のところにいるな。
幸恵 ええ。
男、子供の方へ去る。
それを見つめる 幸恵と祥子。
祥子 子供、朋って言うの?
幸恵 朋久。
祥子 男の子なんだ。最初見た時は女の子だと思った。
幸恵 そう?
祥子 彼が?
幸恵 そう。あれからすぐ連絡取ったの。
祥子 そう。
幸恵 これからどうするの?
祥子 わかんない。
幸恵 わかんないのに辞めたの?
祥子 とりあえず後悔してる。
幸恵 そう。
祥子 でも捜す。
幸恵 え?
祥子 道標。
幸恵 ……そうだね。
祥子 あっ、また泣いてる、朋君。
幸恵 強くならなきゃ。
祥子 厳しいね。
幸恵 そばにいるから。
祥子 うん。行ってあげな。
幸恵 ええ。
幸恵、子供の方に去ろうとする。
ふと足を止めて、
幸恵 後悔もいいよね。
祥子 ……うん。
幸恵 それじゃあね。
幸恵、去る。
祥子、その姿を見つめている。
彼女の足元にサッカーボールが転がってくる。
彼女はそれを拾い上げ、
子供の方へ歩いていく。
新しい遊びを探しに。