7. プラムの場合
「プラム様、お美しゅうございます」
ただいまみんなでお買い物中。
試着室から出てきたプラム様の圧倒的実力に思わず様付けしちゃった。
「や、やめてください」
照れたプラムが可愛い。
プラムはドワーフなんだって。
ドワーフだから背が小さいのかと思ったら、どうやらあちらの世界はドワーフだからと言って小さいわけではなく、プラムが例外的に小さいだけだと涙ながらに語ってくれたので罪悪感が半端ない。
胸の豪華さに触れようとすると、
「む、胸のことは触れないでくださいっ!」
と、恥ずかしがって顔を真っ赤にして胸を揺らして訴えかけてくるのでご褒美、ではなくシェルフに聞いたところ、これもプラムが例外的らしい。シェルフの目が怖い。
何事にも積極的なミカンとは対照的に、おっかなびっくりな性格。
何かしてあげると申し訳なさそうな表情になるし、丁寧な物言いなのでまだ壁があるのかなぁと思ったけど、仲の良いミカンやシェルフにも同じなのでどうやらそういう性格、口癖らしい。
むしろ照れ屋で人見知りなプラムがこんなに早く人に慣れるのをはじめて見たって2人とも驚いてた。
すっごい嬉しいけど、何がきっかけだったんだろう?
正直、セクハラめいた扱いをしたことがあるような無いような感じだったので、やりすぎたかなー嫌われてたらどうしようーと少し不安に思ってたんだよね。
反省してる。
けど、照れるプラムが可愛すぎるのでまたいじっちゃいそう……
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そろそろ夕方なのでお買い物も終わり。
色々と買いたいものはあったんだけど、服を揃えるだけで今日は終わりかな。
みんな可愛いから思わず服選びに熱中しちゃった。
三人は前の世界では旅をしていて実用性の高い服ばかり着ていたので、服でオシャレをするっていう感覚は無かったみたい。そのせいか、三人とも機能だけしか考えないで選ぶんだもん。勿体ないなぁ。
プラムなんてほとんど露出の無いぬっくぬくな服ばかり選ぶけど、春先でもう夏物が支配しつつある時期なのにどこでそんな服見つけてきたの。この先暑くて苦労するよ?そのときはまた買いに来て着せかえっこすればいっか。
帰りに甘いものでもって思ったけど、夕方近くなので軽くシェーキにしようっと。
プラムはなんとなく甘いもの大好きなイメージがあったんだけど……
「べたべたするです……」
甘すぎるのは苦手だったみたい。ちょっと予想外。どんな食べものが好きなのかな。
「私は酸っぱいのが好きです」
「酸っぱいのかぁ。向こうではどんな酸っぱい食べ物があったの?」
「苦手な人が多いみたいで、あんまり酸っぱいの無かったです。だから旅の途中に酸っぱい木の実を取って食べてました」
うーん、だとするとレモンあたりが好きなのかなぁ。確か家に1個レモン残ってた気がするし、夕食の時に勧めてみようっと。
「ーーーーーー!!!」
す、すごい。レモン丸かじりで極上幸せ顔なプラム。
「もっと!もっとください!」
「ええ?ご、ごめんね。今日はそれ1個しかないの」
あ、目に見えて落胆してる。
「今度買ってこようね」
「はい!楽しみです!」
こんなハキハキした性格じゃなかったような気がするけど気にしないでおこう。
「今なら、プラプラの演奏がノリノリで楽しいよー」
と、ガツガツと夕飯を食べていたミカンからそんな情報がぽろっとでてきた。
「そうなの?」
「うん、プラプラは気分次第で演奏の雰囲気がガラっと変わるんだけど、特に今みたいに気分が高揚してる時だと、かなり楽しい演奏になるんだよー」
「へぇ~、ってそういえばプラムは何の楽器担当なの?」
「こっちの世界だとなんていうんだろう、こう、いっぱい叩くやつでー」
「はい、ドラムです」
あ、ヘブンから戻ってきた。
ドラムなんだ。こんなぽわぽわ、わたわた、たわたわした小動物っぽい娘がドラムって想像つかない。後で見せてもらおうっと。
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夕飯の後はお風呂タイム。
プラムはお風呂が大好きで、いつもじっくりたっぷり入ってる。
お風呂というか、暖かいのが大好きで、お昼は日向の縁側に座ってぬくぬくしていることが多い。
ぽけ~っとした蕩けるような幸せ顔がたまらなく可愛いの。
ちなみに、私が一緒に入ろうとすると涙目でプルプル震えるんだよね。なんでだろう。もちろんそれでも突入するけどね。
そんなプラム、最近は漫画に興味津々。
目をキラキラしながら毎日漫画を沢山読んでる。
夜遅くまで読んでるらしくて、朝起きてくるのが遅いこともしばしば。
ミカンほど病的では無いと思ってたので、気にしてなかったんだけど、ふとプラムの部屋に入ってみたら大量の漫画の山ができていて、少し頭を抱えちゃった。
まだ1週間程度なのに一体いつの間に。そしてどこで手に入れたのか……
今度、どんなジャンルが好きなのか聞いてみようかな。




