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異世界人の友達と日本を旅しよう  作者: マノイ
1章 富士宮「出会いと再会」
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6. ミカンの場合

 3人が一緒に住むようになってから最初に行ったのは、日本社会に慣れること。

 社会のルールもそうだけど、まずは身近な様々な道具の使い方を覚えてもらわないとね。


 一番早く順応したのはミカン。

 説明したことをすぐに理解して、積極的に使ってみて特徴を覚えてる。

 例えばTVや電気などのリモコン。


「弱って書いてあるからこれを押すと弱くなるのかなー」


 それもちゃんとリモコンに書いてあることを理解してどうなるか予測して試している。

 異世界人から見てこんなに簡単に理解できるものなのかなぁと思ったけれども、残りの2人が後ろでカチコチと固まっているのを見るからに、ミカンが特別なんだと思う。

 電気のコンセントを説明した時も、すでに刺さってるコンセントを試しに抜き差ししちゃうかもしれない、と思ったけれどやらなかったし。


「だって抜いたら動いてる何かが止まるんでしょー。危ないからやらないよー」


 興味本位に行動するだけじゃないのがすごい。もっと後先考えず突っ走るタイプかと思ってたんだけどね。


 ミカンは色々なものに興味を持ち、吸収し、数日後には問題なくこの世界で暮らせるようになっていた。


 特に好きなのは自転車。半日も経たずに乗りこなしたのはかなりびっくり。似たような乗り物は向こうには無かったって言ってたのに。自転車に乗れるようになってからは、ほぼ毎日自転車で外出している。かなり遠くの方まで出かけているみたいだけど、それにしては出てから戻ってくるまでの時間が早すぎる。交通ルールを守ってるのか心配。


 また、自転車だけではなくて外出すること自体が大好きらしい。

 お母さんと車で買い物に出かけようとすると必ず着いてきて、車の中から外の流れる景色を見てイヌ耳をパタパタさせながら楽しそうにしている。そしてスーパーに着くとわたしの腕をとってあちらこちらへと連れまわす。


――――――


 思えば出会いの日から一晩明けた翌日。どういうわけかミカンにすごく懐かれてしまった。


 家の中でも外でもわたしの後についてきて、座っているときはぴったりとくっついてくるし、外出するときは腕を組んでくるのだ。


 正直可愛すぎて辛いです。


「トモちんーあれ何ー?」


 わたしの腕を組みながらつぶらな瞳をこちらに向けて小さく首をかしげるイヌ耳っ娘。

 いつも懇切丁寧に手取り足取り教えてあげています。


 わたしに懐いてくれたミカン。

 外に出て動き回るのが大好きで、いつも楽しそうに新しい発見をしてはしゃいでいる。

 見た目はわたしと同い年くらいなのに、中身は小学生の男の子みたい。

 野球とかサッカーのこと知ったら、一緒にやろうって連れ出されそう。

 小学校の校庭に連れていったら自転車でずっとぐるぐる走り回っている。

 こっちの世界は狭いところばかりだったので、広くて気持ち良いらしい。

 体を動かすのが好きならアスレチックとかも好きそう。

 ふふふ、年の近い弟みたいな妹ができた感じ。

 100%の笑顔ではしゃぎまわる姿が可愛いなぁ。

 耳がパタパタ動いているところなんて最高!


 さて、今日もまた汚れて帰ってきたのでスポーンと脱がしてお風呂に








 という未来になると思ってたんですよ、ええ。

 そりゃあスラっと健康的な体で落ち着きなく動いているワンコ姿を見たらそう感じちゃいますよ。


 なのに。


「やった、やっと倒したー」


 どうして。


「うわ、3時間もかかっちゃったよー」


 こんなことに。


「ちょっと戦闘バランスが厳しすぎるんじゃないかなー。適正レベルを超えて挑んでるはずなのに相手の即死技の効く確率が高すぎるから運ゲーになってるじゃんー。1人は即死防御装備で耐えられるけど、睡眠攻撃の頻度も高くて生き残っても寝てることが多々あるしー。せめて即死防御装備がもう1個あれば大分楽なんだけどなー」


 なってしまったんだろうか。




 ミカンは立派なゲーマーになってしまいました。




 ある日、ソファーでもたれかかってきたミカンにイヌ耳ついて聞いた時のこと。


「異世界にはミカンみたいなイヌ耳の人って沢山いるの?」

「これはイヌ耳じゃなくて獣耳だよー」

「え?ケモミミ?」

「なんか発音が違う気がするけど……そう、獣耳だよー。向こうには犬はいないなー」

「ふーん、そうなんだ。鳥の獣人とかもいるのかな」

「……えーと、えーとー」


 あれ?何か変なこと言ったかな?


「獣人は獣人だよー。鳥のとかそんなのないのー」


 イヌ耳、ネコ耳、ウサ耳、バリエーションが無いなんて……


「すごいがっかりしてる表情が気になるけど怖いので聞かないねー。それで最初の質問の答えだけど、獣人は結構多いよー。獣人は戦争で結構生き残ったから、大きな街に行けば1/4くらいは獣人じゃないかなー」


「1/4!?そんなに多いの?」


「うん、この街みたいにみんな同じ種族なんてところは向こうにはほとんど無いよー。だからこの街の混ざってない感じがすごい不思議な感じなんだー」


「ふーん、そんなこと感じてるんだぁ」


 不思議だね。アメリカ人とか同じこと感じてたりするのかな。

 こういうカルチャーギャップ、面白い。


「トモちんの言ってる『獣人』ってどんな感じなのー?」


 ここでわたしは最大の失敗をしてしまった。

 3人と出会う直前、丁度プレイしていたRPGがラスボス戦直前まで辿りついていた。

 パーティーメンバーにネコ耳キャラとウサ耳キャラが居たので紹介がてらクリアしようと思ってプレイしたんだけど、


「な、な、なにこれ……面白そうー!!!」


 以来、ゲーム漬けの毎日です。


――――――


 流石にずっとゲームばかりやってるわけではなく、みんなで一緒にご飯を食べてTVを見る何気ないひと時ももちろんある。

 というか、わたしが無理矢理そういう団らんの時間を作った。

 せっかく仲良くなったんだからみんなで同じ時間共有して楽しみたいじゃん。


 ミカンはゲーム以外への興味はまだあるようで、特にTVで歌が流れると食い入るように見はじめる。

 手がピクピク動くのが可愛いけど何の動きなんだろう。


「ミカンって歌聞いてるとき手を動かしてるけど、何で?」

「歌を聴いてると弾きたくなってくるのー」

「ひくって何を?」

「あれー?言ってなかったっけー?私たち向こうの世界では旅芸人だったんだよー」

「旅芸人?」

「そうそう、3人で楽器弾きながら歌ってたんだー」

「へぇー!そうなんだ!聞いてみたい!」

「ホントホント!?じゃあ聞いて聞いて!」


 とはいっても夜もそれなりに遅い時間だったので、翌日聞いてみた。

 ミカンはギターに似た楽器を弾いて飛び跳ねながら歌っていた。

 あれ?どこから出したんだろう?




「いただきまーす」


 ミカンは好き嫌いがあまりない。

 だいたいなんでも食べるけど、生の玉ねぎが苦手らしい


「うーん、なんかあのシャリシャリって食感が気持ち悪いのー」


 分かる気がするかな。わたしも玉ねぎはトロットロに火を通した方が好きだから。

 串カツの玉ねぎとか苦手そうなので、食べさせないように気をつけないと。


「そういえば、たまねぎといえば、新玉ねぎの時期だ。お味噌汁にするとトロっとろで美味しいんだよ」


 このときはピンと来てなかったミカンだったけど、翌日食卓に出てきたそれを飲んだ瞬間、


「ふぉおおおおおおおおおおおおおお」


 と耳をピンと立てて大喜びしていた。大好物が増えたようです。犬に玉ねぎ。いやいや犬じゃなかったか。


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