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異世界人の友達と日本を旅しよう  作者: マノイ
2章 上高地・黒部立山「生きる」
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10. とある人気アイドルの秘密

 アイドルは体力が必要だ。


「ほらほら、まだまだ行けるよ!」


 トレーニングルームで延々とランニング。ソロライブに向けて鋭意体作りの真っ最中。


「は、はひぃ~」

「もうらめれすぅ~」

「あらら、もうダウンか。それじゃあ休んでて。弓弦はもう少し走るから」


 後輩アイドルが弓弦と一緒にトレーニングしたいって言ってきたから、弓弦用メニューを体験させてあげたんだ。弓弦も昔はすぐにへばってたよなぁ。


「ほっし~先輩、顔色全く変えてない」

「私たちだって体力には自信があったのに……」


 このくらいで倒れてたら、弓弦と同じレベルのライブなんかできないよ。とはもちろん言わない。アイドルの方針は様々だからね。弓弦と同じ道を辿るのは修羅の道だよ?


「さて、ランニングはこのくらいにして、筋トレしようか」

「え……今走り終わったばかりですよね?」

「休まなくて大丈夫なんですか?」

「走って体が温まったから、これからが本番だよ」


 思い出すなぁ。ちょっと前までの弓弦だったらこのランニングだけで逃げ出したくなったもん。今では物足りなく感じちゃう。


「ここからは本当にハードだから、無理しない程度についてきてね」

「は……はい!」

「頑張りますぅ」


 うんうん、その悲壮感、たまらないなぁ。じゃなくて、応援してるよ。

 先輩としての威厳を見せつつも後輩の体も気づかってあげないとね。


「もう少し負荷をかけたいけど、筋肉がつきすぎるんだよなぁ」


 アイドルとして鍛えすぎるのは厳禁だ。筋肉ムッキムキのアイドルは弓弦の目指す道じゃない。これがまた難しいんだ。


「ば……化け物……」

「同じ……人とは……思えませんっ……」


 失礼な、今日のメニューは温い方だったんだぞ。


「さて、今日のトレーニングメニューが終わったわけだけど、この後一緒にご飯でも……って無理そうだね」

「ごめんなさいですぅ~」

「体が動かないですぅ~」


 可愛いなぁ。彼女たちが次に弓弦と一緒にトレーニングするのはいつになるのかな。これまで何人もチャレンジして撃沈したからね。もう少し体が出来たら是非再チャレンジして欲しいものだ。だって一緒にトレーニングするの楽しいもん。


 ふふふ、み~ちゃんと玲菜と一緒に走りたくなってきちゃった。


「それじゃあお先ね」


 ささっとシャワーを浴びてご飯を食べよう。

 がっつり食べるよー

 トレーニング後にたっぷり食べても大丈夫。


 弓弦のトレーニングはカロリーを大量に使うのだ。


「今日はここかな」


 会社から東京のアパートに戻る間にあるその店は、都心の駅付近に高確率で建てられている有名なチェーン店。


 松屋


「お、茄子と豚肉の味噌炒めあるんだ。好きなんだけど、そういう気分じゃないから悩むなぁ」


 吉野家、すき家、松屋


 弓弦が大好きな牛丼チェーン店。

 トレーニングの後は大抵どれかの店で夕飯食べるんだ。

 後輩を誘う時は違うおしゃれな店にするけどね。


「お、空いてる、ラッキー」


 券売機でささっとメニューを選んでしまおう。

 店員さんに頼まなくて良いのが松屋の便利なところだね。

 弓弦の場合、変装する必要があるから声を出さなくて良いのはありがたいのですよ。


「プレミアム牛丼っと」


 松屋は牛丼ではなくて『プレミアム』牛丼を販売している。普通の牛丼を販売している店舗もあるらしいんだけど、都会はほとんどプレミアム牛丼だね。普通の牛丼も食べたことあるけど、プレミアムの方がお肉の食感が優しい感じがする。


「プレミアム牛丼の並ですね」


 席についてチケットをテーブルの上に置けば後は店員さんが全てやってくれる。

 周りを見ると男性だらけで明らかに弓弦は浮いてるんだけど、そういうことを感じさせないくらいみんな周囲を気にしようとはしないから、居心地は案外悪く無いんだよね。ふふふ、あなたの隣に大人気美少女が座ってるんですよ~


 もう少女じゃないって言わないの!


 松屋のメニューは牛丼モノ以外にも多少割高な定食モノがあって、そっちも美味しい。弓弦が特に好きなのは豚バラ定食かな。豚生姜焼き定食も捨てがたい。松屋の豚バラは脂も多いんだけど甘くて食べやすくて美味しいんだ。キャベツたっぷりのサラダがついてくるのも良い。脂ギトギトな口の中をさっぱりさせるのも良いけど、敢えてゴマドレッシングをたっぷりつけて徹底した濃厚さで攻めるのもあり。


 ゴマドレッシングといえば、一時期無くなってすぐに復活したことがあった。人気があるのかな。

 牛焼肉定食は少しお肉が固めなので苦手。


「お待たせしました」


 今日は玉ねぎが程よい感じで火が通ってる。やったね。来店する時によって玉ねぎの火の通り具合って違うんだよ。ほとんど生じゃないの?って思う日もあればドロドロで食感が無い時もある。今日は中ぐらいで一番弓弦が好きな火の通り具合だ。


 まずはセットでついてきた黒胡麻焙煎七味を全体に満遍なく振りかける。黒い七味なんだけど、普通の七味よりも辛くない気がする。その代わりに香辛料の香りが良いかな。


 そしたらその上に紅しょうがをたっぷり乗せる。これが味と歯ごたえにアクセントが出て良いんだ。


 ここに卵をかけるのもアリだね。

 あ、卵と言えばそもそも最初から卵が乗ってる『ネギたっぷりプレミアム旨辛ネギたま牛めし』も美味しいんだよなぁ……


 おっと、今は目の前の牛丼に取り掛からないと。

 牛丼の食べ方はもちろん。


「はぐっはぐっはぐっ……ごくんっ……はぐっはぐっはぐっ……ごくん……はぐっはぐっ……」


 無心になって一気にかきこむ。

 お肉、あま~いタレ、白米、ほんのりピリ辛、アクセントの甘酸っぱいシャキシャキ紅ショウガ……箸が止まるわけがないでしょう!


 あ、ラッキー、今回のタレの量、弓弦の好みだ。


 牛丼屋で有名な追加オーダーと言えば『つゆだく』だけど、松屋では行くたびにつゆの量が違うから、追加しなくてもほぼつゆだくになってることがある。今回は底の方に少し溜まる程度でご飯の下の方も少しタレの味がついている状態だ。


「ふぅ~」


 ご飯を一気に食べ終えて、小さく一呼吸。

 さて、最後に……


「ずずー」


 うん、これこれ、この味が良いんだよ。

 松屋では牛丼にも定食にも無料でついてくる『味噌汁』

 薄味でワカメが入っているこの味噌汁は、松屋こだわりの逸品で賛否両論あるみたい。残している人も結構見かけるもん。弓弦はこのコストを抑える中でも味を良くしようと頑張った感のあるこの味が大好きなんだよ。


 よし、食べ終わったからさっさと出ようか。

 こういう店はさっと来てさっと食べてさっと帰るに限る。

 お店も『ごゆっくり』とは口では言いつつも回転率が命だろうしね。


 あ~今日も美味しかった。

 トレーニングの後の牛丼は格別だ!


 みんなと一緒にどれだけ美味しいものを食べても、牛丼だけは止められない。

 弓弦が重度の牛丼好きってバレたら、みんななんて思うかな?


伏せ丼とかやらせたら荒れるだろうなぁ。

いや、シャモアちゃんならやりかねない……

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