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異世界人の友達と日本を旅しよう  作者: マノイ
4章 群馬「やりたいこと」
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15. 秋葉原 前編

 サービスエリアで一悶着あったものの、高速バスは時刻通りに東京駅に到着致しました。皆様は高層ビルの群れに驚いているご様子。バスから降りた後も呆けたように東京駅前のビル群を眺めていらっしゃいます。


 硬直が解けた皆様をお連れしてJRの改札内に入ります。非常にありがたいことに、山宮様が全員分のSICカードを用意してくださいました。皆様に使い方を説明して実演して見せますが、最初に挑戦したシャモア様が雑にタッチしてゲートに阻まれてしまったからか、皆様恐る恐る通過していらっしゃいます。御影様ならこのご様子を見て微笑ましいとお思いになりそうですが、私の場合は自分の説明が不十分であったのかもしれないと後悔の気持ちで一杯です。


 日曜日の混雑している東京駅の構内を進み、山手線乗り場へと向かいます。私は東京駅を利用したことがございますので、迷うことはございません。何事もなく秋葉原駅へ移動し、電気街口から外に出ます。駅構内からすでにアニメの広告を沢山見受けられる点から、秋葉原に来たという実感が沸きますね。


「皆様、秋葉原に到着いたしましたが、これからのご予定は?」


 私は皆様が秋葉原で何をする予定であるのか聞いておりません。事前に確認致したのですが、はっきりとした回答を頂けなかったのでございます。


 それまでキョロキョロと周囲を見渡していた皆様ですが、私の質問を受けてお互いに顔を見合わせて頷いております。


「それでは12時にここに集合でござる。解散!」

「え?ちょっ……」


 シェルフ様の合図と共に皆様バラバラに散ってしまいました。これでは皆様の面倒を見るという御影様からのご依頼を達成することが出来ません。なんということでしょうか!


「私を撒くために頑なに行き先をお答えにならなかったのですね……」


 このままでは私に託された仕事が失敗で終わってしまいます。それは許されないことでございます。何としても皆様と合流してトラブルが起きないようにしなければなりません。御影様の信頼に応えるのです。




 まずはミカン様からです。ミカン様はゲーム好きですので、秋葉原にもゲームに関する何かを求めていると思われます。単純にゲームショップに向かっているのでしょうか。他にゲームに関するものと言えば……ゲームセンター?後は同人ゲームでしょうか。いえ、同人ゲームは無いでしょう。ミカン様がお持ちのゲームはどれも著名で人気のある作品ですから、同人ゲームはミカン様の趣味嗜好とは少し外れているような気がします。となるとやはりゲームショップかゲームセンターですが、どちらもわざわざ秋葉原に来てまで行くようなところでは無いような気がします。


 ……いえ、ミカン様はそれほどネットを活用しないタイプ。秋葉原でしか売ってないゲームや秋葉原にしか置いてないゲーム筐体があると勘違いしてもおかしくありません。近場から順に当たってみましょう。ミカン様が向かった方向はゲーマーズのある方面ですか。


 ゲーマーズや大通りを渡った先にあるゲームセンターに寄ってみましたがいらっしゃいませんね。この探し方で本当に出会えるのかが不安に思えてきました。スマートフォンで検索しましたが、ゲームショップがこれほどまでに多いとは思ってもいませんでした。もう2~3軒確認して空振りでしたら探し方を変更する必要があるかもしれません。


 次はソフマップですね。アミューズメント館が近くにあるようです。青いお店…あ、ありました。あれ?店の前で大きなイヌ耳が特徴のあの方が佇んでおります。隣でシェルフ様も何か慌てたようにミカン様に話しかけていらっしゃいます。まさかすでに何かトラブルを起こしてしまったのでしょうか。


「どうされました?」

「二夜殿!?」


 シェルフ様は少し青ざめた表情で私を見つめています。見つかるとは思っていなかったのでしょう。ミカン様はうつむいていらっしゃるため、表情が分かりません。


「ミカン様?」


 お名前を呼びかけると、ミカン様はゆっくりと顔を上げてこちらを向いてくださいました。その顔はまるでゆで蛸のように真っ赤で顔から火が出そうとはこういうことを言うのかと感じております。


「根古っち~~~~!うわああああああああああん~」


 突然ミカン様に抱き着かれてしまいました。両腕が背中まで回され、私の胸元に顔を強く押し付けてきます。ミカン様、痛い、痛いですっ


「ど、どうなさったのですか」


 痛みに耐えながらも、頭を撫でて落ち着かせようと試みます。そういえば御影様からミカン様はイヌ耳を撫でられるのがお好きと伺っております。イヌ耳も撫でてみましょうか。おおっふわふわで気持ち良いですね。これは御影様が気に入るのも分かる気がします。ああ、止まらないです。


「ね、根古っち~?」


 はっ!この気持ち良さは危険です。自重しないとなりません。


「申し訳ございません、手触りが心地良くてつい長く撫でてしまいました。ミカン様はもう大丈夫ですか?」

「うん~ごめんね~」

「一体何があったのでしょうか?」


 その問いを受けてミカン様はまた顔の赤さが濃くなったように見えます。本当に何があったのでしょうか。


「この店にゲームを買いに来たの~」

「はい」

「秋葉原のお店でしか手に入らない特典が欲しかったから買えて嬉しかった~」

「はい、それはようございました」


 なるほど、ゲームの特典目当てだったのですね。確かに富士宮では手に入りにくいものですね。


「それで、他にも何か買おうかな~って思ってゲームを見て回ってたんだけど~」

「はい」

「店の中に~」

「はい」

「気になる文字が~」

「……文字、ですか?」

「これ以上は言えない~」


 ううん、言えない文字。どういうことでしょうか。全く意味が分かりません。


「シェルフ様、どういうことかお教え願います」

「その……つまり……その文字は……」


 シェルフ様も言いにくそうな表情です。異世界の方々には受け入れられない言葉があったりするのでしょうか。




「『PCゲームソフト』でござる」




 そういうことですか。ゲームという言葉に釣られて、あの階に突入してしまったのですね。それは何と言いますか大事故と言いますか……


「…………っ!」


 またしてもミカン様は私の胸元に顔を埋めてしまいました。それほどまでに恥ずかしかったのでございますね。この話は御影様には秘密にしておきましょう。きっとミカン様のこのご様子を見られなかったことを心から悔しがるような気が致しますので。


「二夜殿は冷静でござるな」

「はい、私はそのような商品を販売するお店でバイトをした経験がございますので」

「うええっ!?」


 シェルフ様のこの驚き方はレアかもしれません。これも御影様には秘密にしておかなければ。ちなみにバイトですがお客様がお店に入りにくくなるという苦情が入り、すぐに辞めることになりました。レジでタイトルを読み上げたのが悪かったのでしょうか……


「シェルフ様はミカン様のように動揺しておりませんが、大丈夫なのでしょうか」

「大丈夫でござる」

「……ネットで普段からその手のサイトをご覧になっているからでしょうか」

「なんで知っているでござるか!?」


 何故でしょう。御影様のご依頼で仕事をしているにも関わらず、御影様にご報告できない内容が次々と増えてしまいました。


実際に間違えて突入する人っているのでしょうかね。


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