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異世界人の友達と日本を旅しよう  作者: マノイ
1章 富士宮「出会いと再会」
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10. 富士宮市役所

「今日は富士宮を案内するよ。出かける準備して」


 3人と出会ってから1週間半。

 サブカルに浸かるくらい日本社会に慣れてきて、車での外出もスムーズに出来るようになった様子。

 となるとやはりわたしの愛する富士宮市の名所を紹介しないと。


「そういえば3人とも旅してたんだよね。そっちの世界でも名所巡りってするの?」

「うーん、あまりピンと来ないかなー。新しい街に着いたら一通り店の場所や売ってる内容を調べるくらいだねー」

「そうなの?立派な城とか、綺麗な花が咲いているところとか、見てまわらないんだ」

「向こうの世界の城は戦いが多いので実用性重視の武骨なものが多いです。それに、美しい木々があるところは大体貴族が私有地にしてます」


 それはつまらなそうだなぁ。


「良い風景は無くても、大きな城下町の賑わいはかなりのものでござる。特に市場は活気があって、いるだけでワクワク出来るでござる」


 ほう、人が多いとワクワクできる、ね。いつか渋谷に連れて行こう。

 あのカオスっぷりを見ても果たしてワクワクできるのかな。

 わたしも行ったことないから分からないけど。


「じゃあ街の外は?旅をしてるなら山越えの時に見晴らしの良い場所を通ったりしない?」

「山は危険なので通らないです。かなり実力のある冒険者が力試しに挑むことがあるくらいです。普通の旅人は時間をかけてでも迂回して安全な街道を通ります」


 そういうものなんだ。


「それに、街道だって魔物に襲われる可能性があるから、防護魔法のかかっている馬車の中で寝ているのが普通なんだよー」


 移動中の景色すら楽しめないなんて面白くない。

 もしかして車の中でキラキラした瞳で外を見てたのは、車が面白かっただけじゃなくて、移動中に外が見えることの新鮮さに喜んでたのかな。


「それじゃあ観光って言っても何に興味があるのかまだ分からないね。まずは有名どころを中心にお勧めスポットに連れていってあげる」


「やったー」


 お、喜んでもらえそうだ。気合い入れないとね。

 運転はお母さんだけど。


――――――――


「というわけで、まず最初の観光地はここ、わたしの家です!」


 意味が分からず混乱しているミカンの顔もまた可愛いね。


「ええと、『観光地』っていうのは、その土地特有の風景や食べ物などに関係する土地のことだったと理解しているのでござるが」


 さすがシェルフ。ネット中毒なだけあってすぐに『観光』についてスマホで意味を調べたんだね。


「その通り!わたしにとってはここがそうなんだ。玄関を出て見える富士山、この景色がすばらしい!」


 富士山大好きなわたしとしては、家から見える富士山を外すわけには行かない。

 実際、目の前には畑が広がっていて障害物が少なくて、綺麗に見えるんだよ。

 今日巡るのはもちろん富士山が綺麗に見えるスポット。


 黒田の方の茶畑や、小学校の校庭、あそこの坂下から見上げる富士山も外せない、道路脇に車止めて綺麗に映る場所は100箇所以上知ってるし、公園で子供が遊んでいるところを見守っている姿も重要だし、ああ、季節ごとに連れてきたい場所も沢山あるなぁ、あそこの藤の花とか、他にも。


「……(じー)」


 お母さんのこの視線は怒ってるやつだ。


 仕方ないので富士山巡りは諦めます。

 でも諦めない。いつか、全部連れて行くんだからねっ!




 今日の富士山巡りは諦めたはずだけど、最初の名所は実は隠れた富士山絶景スポット。

 目的地の通り道にあるので立ち寄るくらい良いよね。


「それでは最初の名所、『富士宮市役所』です」


「市役所?」


 名所というには目立たない建物なんだよね。

 7階建ての建物なのでそんなに高く無いし、色合いも形も特徴無い。


「この建物が『名所』でござるか?確かに車が多く止まってるでござる。周りの建物より高いけど、特別な場所って感じはしないでござるが」

「ふふふ、いいからついてきて」


『富士宮市役所』

 大通りから少し外れたところにあり、かつ、街の中心部である富士宮商店街からも歩くにはやや遠いところに位置している。駐車場はそれほど広くないものの渋滞するほどではなく、いつもほどよく埋まっているイメージがある。混雑する道路ではなく脇道に逸れたところにあるのは入りやすいと思う。


 外見はぱっとしない普通の建物だし、中も普通の市役所でカウンターの向こうでせわしなく職員さんが働いている。2階より上で何をやっているかは正直良く知らないけど、別段何か特別な作りだったりイベントがあるわけでもない。


 きっと全国どこにでもあるようなそんな普通の建物。

 それが富士宮市役所。


 そんな普通の市役所のオススメは、最上階の巨大なガラス張りの展望フロア。


 実は富士宮には高い建物がほとんどない。そして、富士宮市役所は富士宮市内でも低いところに建っている。つまり、展望フロアから何が見えるのかと言うと。


「どう!すごい景色でしょ!」

「「「おおー!」」」


 立派な富士山の全景を見ることができちゃうんです。


 良かった~喜んでもらえた!

 富士宮だとどこでも富士山を見ることできるけど、障害物に邪魔されずに全景がくっきりと見えるところって案外限られてるんだよね。


「これはすごいでござる。富士山はここまで立派な山だったでござるか」

「もともと綺麗な形をしているとは思っていましたが、こんなに迫力があるなんてどうして今まで気づかなかったのでしょうか」

「うわーうわー、すごいー」


 そうなんだよね、場所や天気や時間や季節。

 少し違うだけでも全く違う良さを感じることができるのが富士山のすごいところ。


 この感覚をどうしても知ってほしかったんだよ。

 ホント、気に入ってもらえて嬉しいな。


「あれー?この部屋はお店ー?」


 おっとミカンが見つけちゃったか。


「うん、牛丼屋さんだよ。今日はちょっと時間早いからまた今度食べにこようね」


 わたしはあんまり実感が無いんだけど、有名なチェーン店。

 こんなに景色の良い店舗は他には無いらしく、人気なんだってどこかに書いてあった気がする。


富士山の高さは3776M

富士宮市役所の高さは37.76Mらしいです。

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