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市長選挙
3月。
San Franciscoの市長選挙戦が行われていた。
年収100万ドルという高年棒の市長の座を求めて多くの候補者がしのぎを削って争うはずであった。
しかし、選挙戦中のある日。
無所属で市長選に出馬したモンデリーズ候補が、何者かに暗殺され屍体が海に上がった。
最有力候補であった共和党公認のビーチサイド候補に、支持率で追いつこうとしていた矢先のことであった。
モンデリーズ候補の、公約はたったの3文字。
「美しい」の一言だけ。
これが有権者の心を打った。
10万字を超えるマニュフェストを提出していたモンデリーズ候補よりも、多くの社会的な弱者の支持を集めたのである。
多くの有権者がモンデリーズ候補の死を嘆き、悲しんだ。
しかし、まさかこの一つの死が連続大量殺人の幕開けだとは、そのときは誰も気づかなかったのである。