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蒸気大革命  作者: あさま勲
三日目
41/50

41

前回の話を書いた際、統連の島の大きさを決めました。

直径十キロ強ほどの島で、利尻島ぐらいの大きさですが平らな島です。

 間一髪だった。

 あと少し、飛行船から降りるタイミングが遅かったら、脱出が間に合わず箒を壊されていただろう。

 クーは高度を上げつつ箒を旋回させる。

 教団の浮揚船の図体(ずうたい)なら、死角も多いはずだ。それに箒は小さい。だから見つかり難いだろう。

 そう期待しつつ、クーは港へと視線を向ける。

 薄暗い海上に明かりが灯るのが見えた。明かりは、垂直に上昇、静止すると炎と蒸気の白煙を吹き出しつつ統連の中心に向けて加速を始めた。

 やった!

 クーは声に出さず喝采する。

 間違いなく汽械式浮揚船だ。

 十秒ほど遅れで、轟音がクーの耳に届く。昨日のラセルの昇宙汽械、その実験の轟音には及ばないまでも、この音は統連全域に響き渡るはずだ。

 蒸気推進器から吹き出す炎は、決して大きくはない。燃料である水晶の質が悪いため、推進剤である水が炎へと変われるほどの高温まで、十分加熱できていないためだ。

 それでも、汽械式浮揚船は驚異的な加速で統連上空を飛び抜け、洋上で大きく旋回を始めた。

「やっぱり、舵の効きが良くないな……ゲンザの言ってたとおりだ」

 だからカーボライトで姿勢を制御し、推力に任せ無理矢理、飛んだ方が良いかも知れない。だが、レイハは風を切って飛ぶのは上手いが、カーボライトの制御は最低限の事ができる程度だ。

 だが問題はない。加速性能では汽械式浮揚船が上であるという確信は持てたのだ。

 教団の浮揚船が、汽械式浮揚船へと向かい始めた。

 ようやく、時間稼ぎに付き合わされたのだと気づいたのだろう。

 クーは統連の街を見下ろす。

 教団の浮揚船が、統連上空を飛び回っていたのだ。人々に気にするなと言う事自体、無理がある。

 教団の浮揚船がやった事は、多くの人々が見ただろう。そして、つい先ほど初飛行を迎えたクーの汽械式浮揚船も。

 なぜ教団が、統連まで浮揚船を寄こしたのか、既に気づいた者もいるはずだ。

 自然と笑いが込み上げてくる。

 クーは雲の切れ間から見える青い月に視線を向けた。

「近々、そちらに窺いますね?」

 クーは小声で月に挨拶する。そして賢者の塔へ向かった。

 賢者の塔の屋上は、今回の騒ぎを見物するには一番の場所だ。そして、そこに立ち入る事ができる錬金術師は、塔に住まう高位の錬金術師たちに限られる。

 屋上には、二十人を超える人影が見えた、その内の数割でも、汽械式浮揚船の可能性を信じてくれれば目的は果たせる。

 風は確かに吹き始めている。世の中を変える大きな強い風だ。

 それをクーは今、全身で感じていた。

汽械式浮揚船は教団の浮揚船より加速に優れ小回りが利くとクーに言わせてしまいましたが、実際、空戦を書くに至って絶対、コレ小回り利かないよと……


ちなみにクーの汽械式浮揚船のモデルのモデルはキャプテンフューチャーのコメット号です。

実際、モデルにしたのは宇宙英雄物語のフォーチュナー号ですが。


2/4 作中の時間をズラしました。

修正前は夜ですが、修正後は昼過ぎぐらいです。

さて、ここで疑問が出て来ます。

この時間帯、月は見えるんでしょうか?

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