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蒸気大革命  作者: あさま勲
三日目
40/50

40

何度か読み返してますが、大がかりな修正無しで辻褄合わせはできそうです。

チェックしてたはずの誤字脱字に気づき、頭抱えてますが。


2/4 執筆再開後に書いた部分、昼と夜を勘違いして話を進めてしまったので修正中です。

あまり夜という事に触れてないので簡単に修正できるんですが、コレはコレで問題のような……


 ヒスイの飛行船は、煌々と明かりを灯していたので雨の中でも目立った。対し、ラセルから借りた飛行汽は一切、明かりは灯していない。

 教団の浮揚船の目は、飛行船に向いているらしく、全く気づかれずに離陸できたようだ。

「こんな雨の中の操縦、俺じゃ厳しいな……」

 ゲンザの言葉に、ラセルの弟子は、ヘヘへと笑った。

「コイツは手足同様に扱えますぜ。離陸や離水だけなら、目を瞑っててもできまさぁ!」

 この機体の操縦には熟練しているのだろう。単に飛ばすだけならともかく、着水まで含めた複雑な操縦は、この機体に不慣れなゲンザの手に余る。

 何より、操縦器機の配置が自分が扱う飛行汽と全く違うのだ。

「飛行船から何か降りたみたい……」

 レイハの呟きに、ゲンザは機構船に目を向ける。

 飛行船と浮揚船の位置関係が変わっていた。急旋回した直後に、飛行船が上昇を始めたようだ。

 船体が軽くなったが為の上昇だ。とすれば、何かを降ろしたのだ。

「小さな飛行船が、浮揚船の真下を通り抜けていった」

 レイハには見えたようだが、ゲンザには見えなかった。だが、間もなく浮揚船が大きく旋回を始めた。つまり追跡目標を変えたのだ。

 飛行汽械の実動試験は、もっぱらレイハがやっていた。目も頭抜けて良い上に夜目も利く。レイハには、確かに見えたのだろう。

「レイハ。船の位置を教えてやってくれ」

 クーの事が心配なのはわかるが、まずは船まで案内して貰う必要がある。

「まずは港まで。街の上を飛ぶと目立つから、海岸線沿いに飛んで!」

 レイハの言葉に、ゲンザは感心する。思った以上に冷静なのだ。最短距離で船を目指せば、街の上を飛ぶ事で目立ってしまう上、教団の浮揚船に近づいてしまう。だが、海沿いを飛べば、雨で視界も悪くなっているため浮揚船からは見つけ難いはずだ。

 統連は、さして大きな島ではない。飛行汽ならば、港までなら目と鼻の先だ。

「見えた。あそこ!」

 港に出ると同時に、レイハは灰色の海を指さす。ゲンザには全く見えないが、レイハには見えているようだ。

「さっぱり見えないんだが……いや、見えた!」

 機体を旋回させつつ、ラセルの弟子が言った。もう、ゲンザにも船が見えた。

「飛行船が……」

 飛行汽が船へと向かいだした事で、レイハの興味はクーに戻ったようだ。飛行船に視線を向けたレイハが、愕然としたように言う。

 ゲンザも飛行船に目を向ける。彼方に見える飛行船は、浮揚船の体当たりを浮け、破片を撒き散らしながら砕けていった。

「坊は、箒で飛んでるはずだ。飛行船の中には、もういないさ」

 船に視線を戻しながらゲンザは言う。

 今は、そう信じるしかない。

「海が荒れ気味なんで、手荒い着水になりますぜ!」

 ラセルの弟子は、そう叫ぶと、機体を着水させた。

 着水と同時に機体が大きく揺れ出すが、船の、すぐ真横に機体を付けてみせた。

「いい腕してやがる……」

 波のある海上で、ここまで船の近くに飛行汽を着水させるのは相当な腕が必要になる。

 感心しているゲンザを尻目に、レイハは主翼に飛び乗ると、その上を駆け抜けて船へと飛び移った。

「ゲンザさん、早く船へ!」

 レイハに急かされ、ゲンザも船へと飛び移った。

「健闘を祈りますぜ!」

 ラセルの弟子は、そう叫ぶと再びプロペラを回す。

 船から離れていく飛行汽に、ゲンザは大きく手を挙げ挨拶すると、船内に飛び込み、隠し船倉にある浮揚船に向かった。

「どうやって浮揚船を出すんですか?」

「カーボライトの制御で、そのまま浮かび上がる。甲板や船橋は、下から押し上げる力には弱く作ってある。浮かび上がるだけで壊れるはずだ」

 そう言いながら、ゲンザは木槌で、甲板や上部構造を固定する杭を外していった。これで、甲板や上部構造物は極めて崩れやすい状態になる。

 ゲンザが浮揚船にはいると、機関には既に火が入っていた。

「まずはカーボライトを制御して、船を宙に浮かす」

 そう言うと、両手を広げ、左右にあるカーボライトの操作盤を掴んだ。カーボライトの制御はゲンザの方が上手い。

 木が軋む音が、船殻を通じ浮揚船の中に伝わってくる。ゲンザは不安を感じ躊躇するが、浮揚船自体は、全く軋んではいない。

 機関のみならず、船体も丈夫なミスリルで作ってあるのだ。この程度で壊れるはずなど無い。そう思い出し、ゲンザは笑った。

 この船体は、クーの要望通り、自分が極めて堅牢に作り上げたのだ。飛行汽械は軽量化のため華奢で脆いという常識は通用しない。

 そして、一気に船体を上昇させる。

 不完全なカーボライトが出せる速度は、最大でも人が小走りで走る程度の早さだ。だが、巨大な金属の固まりである浮揚船、その重量を垂直方向に、その早さで動かす力は驚異的な物がある。

 甲板、そして上部構造物を壊し、浮揚船が船外へと姿を現す。

「船外発光石、点灯させます!」

 レイハは叫ぶ。

 外部に取り付けられた幾つもの発光石が発光し、ここに浮揚船が在る事を周囲に知らしめているはずだ。

 だが、それで良い。

 ギンやヒスイ、そしてクーが教団の浮揚船を引きつけて時間を稼いでくれたのだ。今度は、自分たちが教団の相手をする番なのだから。

 カーボライトの制御板を固定すると、ゲンザは機関部へ移動した。

「機関部、いつでも行けるぞ!」

 操縦席に着くレイハに向かって叫ぶ。

「まずは、目一杯、目立って気を引いてやります。それに、速度を出さないと、たぶん舵が利かないし……」

 舵で風を切り裂くことで機体の向きを変えるのだ。まずは、風と言えるだけの風圧を舵に当てる必要があり、そのためには船体を加速させなければならない。

「機関、全開!」

 レイハの返事を待たず、ゲンザは機関を全開する。

 燃料は質の悪い粗製水晶だ。だから出力をあげるには、こうするしかない。

 教団の浮揚船は、間違いなく食いついてくるはずだ。

秘密兵器は、不完全なまま実戦投入される。B級映画の基本ですね。

ちなみにクーの汽械式浮揚船には武器なんか積まれてません。

クライマックスに入ったし、あと少し……とか思いましたが、この小説を何年も前に投げた時も、もうクライマックスのつもりだったんですよね。

執筆再開して、クーというかソラの年齢が、もう少し上がりました。ギリギリ二十代のつもりが三十路に突入と変更しましたので、そのうち年齢に触れた箇所を修正します。

月や教団、錬金術に関する設定も、だいぶ固まってきました。

そもそも書き始めた当時は、錬金術なんて蒸気機関で宇宙船を飛ばすための理由付けで、細かな事は、なんにも考えてなかったんですよね……


2/4 ソラの正確な年齢が内容に関わってくるでも無し、修正は楽な物でした。

物語としても重要な問題でも無し、年齢あげる必要は無かったかも知れません。

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