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蒸気大革命  作者: あさま勲
三日目

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後付で辻褄合わせがやってますが、過去に書いた部分も若干弄らないと駄目ですね……


2/3 そう思ってましたが再開以降の方が要修正箇所多くて頭抱えてます。

 ヒスイの飛行船を追尾するように、教団の浮揚船が進路を変えた。

 クーは真下を見下ろし、飛行船の高度を確認する。

「これ……汽械馬車を落としたら、落下傘が開く前に地面に落っこちないかな?」

 落下傘が開くまでには、相応の高さが必要になる。このままでは例え開いたところで、降下速度を十分殺しきれず地面に激突するだろう。ギンの提案を受けた時に、気づくべき事柄だった。

「乗員脱出用の風船があったでしょう? それを汽械馬車にあわせて作り直した物もありますから大丈夫です」

 それは確か、落下傘が仕えない低高度での脱出用に自分が考案した物だ。

 だが、ギンが汽械馬車に積み込んでいる物は、風船と呼ぶには大仰だった。何より、見覚えのある蒸気機関らしき物も見受けられる。

 どうやら、汽械馬車を即興で飛行船に改造しようとしているのだ。

「その機関、なんか見覚えあるんだけど……?」

「王都で名のある汽械術師が亡くなり、資産整理で様々な汽械が捨て値で放出されました。おかげで、良い出物が安く手に入りましたよ」

 蒸気圧で特殊な風車を高速で回し、その回転運動で推進用のプロペラを回す。蒸気圧でピストンを動かす従来の蒸気機関より、遙かに小型かつ高出力化を可能とした、ソラが考案した新型蒸気機関だった。

「捨て値って……一体いくらで買ったのさっ!?」

 外観は鉄に見えるよう特殊な塗料で塗り固めているが、素材はミスリル。材料費だけでも相当な額になる。

「一つしか出品さなかったようでしたが、この飛行船の王都と統連間の燃料代で三つは買えましたかね……」

 クーは泣きたくなった。材料費だけで、その数十倍に達するのだ。

「安すぎ……というか、工房一式、勝手に処分されちゃったんだ……あと、それは試作品で一個しか造ってないよ」

 箒に搭載している蒸気機関は、これを、さらに小型化した物である。

 毒を盛られ、なんとか一命は取り留めたが、表向きには死んだ事にして身を隠したのだ。工房に教団の手が回っていたのは知っていたが、あっさり処分されてしまうとは思ってもいなかった。

「ヒスイ様の汽械好きを知る商人が持ち込んできましたので、落札価格は、もっと安いかと。ソラ様がヒスイ様に大まかな構造を伝えていたため、なんとかプロペラを回す段階までは持っていけました。今回、これを使って汽械馬車の降下を制御します」

 一見して何の汽械か解らないよう、パーツごと分解して保管してあったはずだ。無論、説明書や分解図など用意していない。本業の機械術師ですら、一見して、これが蒸気機関だと理解できるかも怪しいだろう。

 それを中途半端な知識だけで、ギンとヒスイは組み上げたのだ。

『そいつを動かせる段階まで組み上げるのは、ずいぶん手間取ったぞ。動かして思ったが、サイズを考えたら驚異的な出力だ。それを積んだ飛行汽を作れたらと思って統連に持ち込んだんだが……まさか、こんな形で役に立つとはな。今回の一件が片づいたら、そいつを組み込んだ飛行汽を造ってくれよ?』

 飛行船の操舵席から、伝声管を通じてヒスイからの楽しげな声が届く。

「飛行汽作成に関しては、僕よりゲンザの方が、ずっと上手いよ。僕の得意分野は、もっぱら機関部だしさ」

『お前が言えば、ゲンザも言う事を聞くだろうさ。と言うか、ゲンザが姿を消さなければ既に頼んでたな』

 そうだろうね。

 クーは声に出さずに呟いた。

 ヒスイはゲンザとも親しかった。当然、ゲンザの持つ技術の高さも知っているのだ。

「浮揚船が食いついてきたようですな……」

 狭い格納庫で、ギンは気嚢を広げつつ呟いた。汽械馬車を落とすと同時に、薬品を用い、水晶を気体に戻し気嚢を膨らませるのだ。今ギンが行っているのは、その下準備である。

『全速で飛んでいるのに距離が詰まってくる。流石に飛行船じゃ相手にならないか』

 悔しげなヒスイの呟き。

「僕が舵を取る。ヒスイとギンさんは汽械馬車で逃げる準備を」

 そう言って、クーは箒を抱えて操舵室の扉を開いた。

「おまえは、どうやって逃げる気だ?」

「箒があるし、ギリギリまで飛行船に残るよ。浮揚船は一隻だけ。まずは汽械馬車に食いつかせ、それから飛行船に目標を変えさせる。ともかく、馬車の方でも囮役はよろしく」

 ヒスイたちを囮として使う意図もあるが、逆に自分が囮になる覚悟もある。

 追ってくる浮揚船は一隻のみ。二手に分かれれば相手は、どちらかに的を絞らざるを得なくなるはずだ。汽械馬車に相手の意識を向けさせた上で、飛行船が無人ではない事を機動で示し飛行船を追跡させる。

 レイハとゲンザが汽械式浮揚船を飛ばすまでの間、教団の浮揚船を引きつけ、なんとか時間を稼ぐ必要があるのだ。

「時間稼ぎのために、まずは汽械馬車に注意を向けさせ、それから飛行船を追跡させるのか?」

「それができれば、理想的なんだけどね……」

 ヒスイの言葉にクーは答える。

 そして上手く雨空に紛れ箒で賢者の塔まで行き、エンナと合流する。

 時間稼ぎに関しては十分可能と考えているが、問題は賢者の塔に辿り着いてからだ。すんなりエンナと対面できるとは思えない。

 エンナが捕らえられていた場合、塔の錬金術師を説得し解放させる以外、クーには術がない。いっそ、浮揚船で乗り込んだ方が、事は、簡単に運んだかも知れない。

 いや、いまさら遅い。

 クーは心の中で呟いた。

 それに浮揚船では目立ちすぎて、エンナの元に辿り着く前に、教団の浮揚船に目を付けられてしまう。エンナとの関係は別段隠してなどいなかった為、エンナが人質として有効だという事は、すぐに気づくだろう。

 ゲンザとレイハが汽械式浮揚船を起動した場合、教団の浮揚船は恐らく、そちらに向かうだろう。そうなれば、上空での追いかけっこが始まるはずだ。

 レイハはクーを迎えに賢者の塔まで迎えに行くと宣言した。レイハの性格から、必ず実行しようとするはずだ。そうなれば、統連上空での空中戦が行われる。

 教団の浮揚船相手の空戦は、汽械式浮揚船の性能をアピールするには格好の機会になるだろう。

 そこまで考え、クーは大きく顔をしかめた。

「何か問題でもあるのか?」

 飛行船の操舵をクーに譲るべく、座席を離れながらヒスイはたずねる。

「いや、僕は汚い人間だな……って思ってね」

「自分の歳を考えろ。(ナリ)はガキだが、おまえは相応に年期を重ねた人間だ。純粋なままである方がおかしい」

 鼻で嗤いながらヒスイは言った。

「まあ、そうだよね。エンナとの婚約だって、元は身内に錬金術師が欲しかったからって理由だったしさ」

 そして、エンナの気を引こうと統連に通う内に、そう言った思惑は薄れていった。だが、ソラだった頃から一貫して、エンナに抱いていた感情は恋愛感情では無かったと思う。

「僕って、一体、何なんだろうね……」

 思わず、クーは呟いた。

「お前は、お前以外の何者でもない。ソラと名乗ろうとクーと名乗ろうとな。(ぼん)と呼ばれようと若旦那と呼ばれようと、やはり、お前は、お前だろう?」

 操舵席に着きつつ呟くクーにヒスイは、そう言うと頭をクシャクシャと撫でる。

「子供扱いしないでくれるかな?」

「今の(ナリ)はガキだろうに。だが、俺の兄貴分であったソラである事には変わりない」

 憮然と言うクーに、ヒスイは楽しげに笑うと、操舵室から出ていった。

「兄貴分って程、敬意は持ってなかっただろ?」

 クーは小声で呟くと、小さく笑った。

 だが、ヒスイの言うとおり、自分が自分である事には変わりないのだ。他者からの評価に振り回される事はあっても、やはり自分は自分以外の何者にもなれない。

 だから、自分として行動を全うするしかない。

『ソラ様、浮揚船との距離が詰まってきていますので、そろそろ汽械馬車を降ろします』

 伝声管越しのギンの言葉に、クーは後方確認用の鏡に視線を向ける。

 距離は、ずいぶん詰まってきている。そろそろ潮時だろう。

『ソラ、合図をしたら、思い切り左に梶を切るんだ。解ったなっ?』

「了解!」

 ヒスイの伝声管越しの声に、クーはワケもわからず答える。が、この飛行船の操舵に関してはクーよりヒスイの方が詳しいはずだ。ならば従おう。

 飛行汽械の専門家だからこそ、クーはそう判断した。

『舵を切れっ!」

 伝声管越しのヒスイの言葉に、クーは左に梶を切った。

 数秒後、飛行船は右舷に強烈な横風を浮け、左へと急旋回した。

『風を待ってたのか……』

 思わずクーは呟いた。自分には、風まで読めなかったのだ。

 教団の浮揚船は、飛行船を追尾するように進路を変えるが、風を利用した飛行船ほど小回りは利かないようだ。詰められた距離が開いてゆく。

『馬車を降ろす。そのまま直進しろ!』

 浮揚船が、真っ直ぐ飛行船を追尾し出すと同時に、再びヒスイの声が伝声管から届く。

 直後に、飛行船が上昇を始めた。

 汽械馬車が降りたため、船体が軽くなったのだ。

 クーは操舵桿を直進で固定すると、下方確認用の床の扉を開けて、降ろした汽械馬車を確認する。

 気嚢の展開は無事成功したようだ。

 雨の降る薄暗い空の下、気嚢に吊された汽械馬車が、甲高い蒸気機関の駆動音を立てて飛び去っていく。教団の浮揚船の真下を通り抜け、その進行方向の真逆へと。

「ワリと優秀な錬金術師だって事は、知ってたんだけどね……」

 操舵士としても、ヒスイは優秀だった。修練を積めば機械術師としても才能を発揮できるだろう。

「さすが、僕の自慢の弟分だ……」

 クーは楽しげに呟いた。

 教団の浮揚船は、直下を飛び去っていった汽械馬車を追尾するべく、大きく旋回を始めた。

 予想通り、教団の浮揚船の旋回性能は飛行汽以下だ。

 これならなんとかなる。

 問題は、賢者の塔の錬金術師たちだ。

箒は蒸気タービンエンジン搭載の超小型有人飛行機でした。ここにアップし始めた段階では無かった設定です。

タービンエンジンは結構、甲高い音で五月蠅かったような……

最後まで書いても修正作業が結構残ってますね。

落下傘云々の問題も、高度を考えたら開く間もないじゃないとか色々問題がありますが、なんとか説得力のある説明や回避策を考えてます。

最後に、作中で雨が降ってた事をキレイに忘れてましたよ……

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