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蒸気大革命  作者: あさま勲
三日目
35/50

35

何年ぶりかで続きを書きました。

ラストまで、あと一息なので、できるだけ早く書き上げてしまいたいと思ってます。

 クーはレイハに視線を向ける。

「今、助けなきゃいけない。じゃないと僕が一生、後悔すると思う」

 その言葉に、レイハは俯く。

 無神経は当人にも自覚はあるが、クーは馬鹿ではない。レイハが自分に想いを寄せていた事には気づいていた。

 無論、子供の身体になった今でも、その想いが変わっていない事も。

「若旦那であるソラ様は、亡くなった事になっています。その許嫁がエンナ様である事は教団も知っているかも知れません。ですが、わたし達に対する取引の材料に使えると思っていないかも知れません」

 だから、危険を冒してまでエンナを助けに行く必要はない。レイハは、そう言いたいのだろう。

「そうかも知れないし、違うかも知れない。そこまで解らない手前、最悪の事態を考えるよ。何より僕は、今回、自分からエンナに関わってしまった」

 今回、統連に足を運んだだけであったのなら、教団の注意を引きつけてしまったとしても、エンナに類は及ばなかったかも知れない。

 だが、こういった事態を考慮せず、エンナに事の真相を伝えてしまった。

「何より悪い事に、今朝方けさがた、我々はエンナお嬢様を刺激していまいました」

 ギンがヒスイを横目で見ながら言う。

 エンナが捕らえられているのは、ほぼ確定している。ギンは、そう思っているらしい。

 クーの耳に、レイハの大きな溜め息が届いた。

「皆に、そんなこと言われたら、わたしも反対できないじゃないですか……」

 レイハは呟くように、そう言うと、大きく息を吐いて顔を上げた。そして意を決したように言葉を続ける。

「わたしは、若旦那が大好きです」

 クーには、その言葉に対し、驚きはなかった。レイハとは長い付き合いだ。このタイミングでの告白も予想の範囲だった。

「レイハの言葉と意味は違うと思うけど、僕もレイハは好きだよ。ゲンザも好きだし、同じ意味でエンナも好きだ」

 ソラだった頃から考えた事など無かったが、思えば今まで恋愛感情とは無縁だった。エンナとレイハ、どちらが好きかと問われても答えられない。

 どちらも等しく、好きという気持ちには変わりはないし、その中にゲンザを加えても答えは同じだ。

「若旦那は酷い人ですね……」

「ゴメン……」

 レイハに言われ、クーは謝る。謝るぐらいしか、できる事はない。

「いいですよ。酷い人なのは昔から知ってましたし……でも、わたしは若旦那が大好きです」

 涙を拭いながらレイハは言い、クーに歩み寄ると膝を折って抱きしめた。

「僕って、酷い人だったんだ……」

 クーは呟く。そのように思われてるなんて、考えもしなかった。

 抱きつくレイハの身体が震えるのを感じた。どうやら笑ったようだ。

「ええ、酷い人です。ですが、いい人ですし、そんな若旦那が、わたしは大好きなんです」

 エンナではなく、レイハが捕らえられたとしても、クーは同じ行動を取る。そう言おうかと思ったが、クーは別の言葉を口にした。

「ありがとう」

 レイハがクーから腕を解いた。もう、泣いてなどいない。

「では、エンナ様を助け出す算段を立てましょうか」

 そう言いながら、レイハはクーから離れる素振りを見せると、油断したクーの唇を素早く奪う。

「……え?」

 驚くクーに、レイハは笑ってみせる。

「わたしのファーストキス……ではありませんよ? ファーストキスは、何年か前に寝ている若旦那相手に済ませてますからっ!」

 レイハの言葉に、クーも笑った。

 大丈夫。もう、いつものレイハだ。

続きを書くために、最初から何度も読み返したり、他の書きかけ小説も読み返したりしてみましたが、これを書いてた当時の自分は体言止めがマイブームだったようですね……

前回の引きなら告白に話が繋がってくると考えたわけですが、クーの恋愛感情について当時は深く考えてませんでした。

賞の締め切りもあり、ここで投げたのも今なら何となく理解できます。

冷却期間を置いたため、客観視できるようになり続きは書けそうですが、ちと冷却期間が長すぎましたね……


推敲に入って、以後の時間の流れがおかしな事になってる事に気づきました。

順序自体はあってるんですが、この場面は、まだ午前中なんですが、執筆再開時に夕方だと誤解してしまったのが原因かと。

そのへんを修正していきます。

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