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蒸気大革命  作者: あさま勲
三日目

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34/50

34

これ以降、更新は遅くなります。

書きためた部分は、これで最後です。


2/13 若干修正かけました。

「船は? 浮揚船は、どうなったの?」

 勢い込んで、クーは尋ねる。

 船を降りたクーの第一声が、コレだった。

「教団の浮揚船が現れてから、港の気配が、どうにも不自然になりましたので、船はロープを解いて沖に流しました」

 レイハは、何か一言、言ってやりたい気持ちをグッと堪えて答えた。

「良かった。特別、危ない目にあったわけじゃないんだ……」

 クーは、安心したように、肩の力を抜いて呟く。

 ……この人は酷い人だ。

 そうレイハは思った。

 今みたいに言われたら、浮揚船と自分と、どちらをより心配していたのかわからない。

 だから、この人は、酷い人なのだ。

「どうやら、小回りの利く足が手に入ったようですね」

 その言葉に、レイハは考えるのを止めて、ギンに胡乱気な視線を向けた。

「ギンさん。ヒスイの付き人。大丈夫、信頼できる人だから」

 レイハの視線に気づいたのかクーは言った。

「箒で、坊とレイハが船に戻り、目の前で浮揚船を飛ばして、連中の鼻をあかしてやりましょうや」

 ゲンザは、楽しげに言うが、クーは、黙って何かを考えている。

 しばしの間をおいて、クーは口を開いた。

「ラセル先生。飛行汽を貸してもらえますか?」

「工房にあった物は、焼けて使い物にならんが、空港に置いてある機体なら使えるはずだ。それで良ければ、別に構わんぞ?」

 ラセルの言葉に、クーはゲンザとレイハに視線を向ける。

「ゲンザとレイハで船に戻って、浮揚船を飛ばして。僕は、その間に、箒でエンナを迎えに行くから」

 クーの言葉に、ゲンザは箒を指さして、ラセルに尋ねる。

「ラセル師。船に降りれるような飛行汽、持ってるんですか?」

「無いぞ。箒とやらと同じ大きさにすると、諸々の不都合が出るのでな」

 その言葉に、ゲンザが安堵の溜め息をつく。

 が、ラセルは言葉を続けた。

「が、海に降りる事のできる飛行汽ならある。そっちを貸そう」

 街の方向に視線を向けていたヒスイが口を開いた。

「教団の浮揚船が動き出したな……。どうも、この飛行船が目立ったらしい」

 ヒスイの飛行船と教団の浮揚船では、その性能が違いすぎる。飛行汽ならいざ知らず、飛行船では、浮揚船に追われたら到底逃げられない。

「ヒスイ。悪いけど、飛行船を囮として使わせて貰うよ。明後日の方向に飛行船を飛ばして、浮揚船を引き付けて欲しい。無人でも、ただ飛ばすだけなら十分できるはず」

「無人では、すぐにバレてしまうぞ。俺が舵を取って浮揚船を引き付けてやる」

 クーの言葉に、ヒスイが笑ってこたえる。

「それは……危ないよ」

「適当なところで飛行船から汽械馬車を降ろし、それで逃げますので、ご安心を」

 ギンが、クーの懸念の言葉に答える。

「エンナ様は、恐らく塔の最上階から五階層下、北側の部屋にいらっしゃると思われます。そこが、禁忌に触れたり罪を犯した錬金術師を幽閉する部屋です」

 レイハは言葉を紡ごうとする。が、声は出ない。だから、誰も気づいてはくれなかった。

「ギンさん。ヒスイは変人だから納得いくとして……」

「納得するなっ!」

 その言葉に、ヒスイは反論するが、クーは、それを無視して言葉を続ける。

「あなたは何故、僕たちに手を貸してくれるの? あなた、統連出身の錬金術師でしょ?」

「わたしが、ヒスイ様の付き人だから……では、納得いきませんか?」

「ええ、納得できません」

 ギンの答えに、クーは笑顔で答えた。

「教団に不満を持つ錬金術師は、実のところ相当数います。が、面と向かって教団に刃向かえる錬金術師はいません。なぜなら、月は錬金術発祥の地であり、錬金術師たちの聖地でもあります。が、そこへ辿り着く手段を持つのは今や教団のみ。教団の不評を買うと言うことは、聖地との繋がりを無くすことと同義です」

 故に錬金術師たちは、教団に逆らうことができない。が、教団の浮揚船以外で、月へ向かうことのできる手段を確立できた場合は、どうなるだろうか? 

 ギンは、言外に、そう言っているのだ。

「これは、美原見の家、御当主の意志でもあります」

「つまり、ソラが自作の浮揚船を飛ばし、そのカラクリを公にした場合、統連の錬金術師たちの助力が得やすくなるわけだな?」

 ラセルが口を挟み質問する。

「恐らくは……。以前から統連には教団と反目していた錬金術師たちが多数集まっています。ソラ様の浮揚船が月へ辿り着けるだけの性能があると証明できれば、同様の物を造るべく、カーボライトの提供を申し出る錬金術師も現れるでしょう」

 ギンの言葉に、ラセルは期待を込めた視線をクーに向け、そして口を開こうと……

「若旦那っ!」

 気がつくと、レイハは大きな声で叫んでいた。

 全員の視線がレイハに集まる。

「若旦那……エンナ様は、本当に今、助け出さなければ、いけないのでしょうか?」

 投稿用に書き始め、教団以外が保有するカーボライトの性能不足の納得のいく理由付けに行き詰まり、ここまで書いて目的の小説賞の締め切り日を迎えました。

 理由付けができなかったため、カーボライトの露出は控えてますが、書き直しの際は当初の設定どおり、一応、教団以外も浮揚船を持っているという設定で書き直します。

 教団以外の浮揚船は大気の有無にかかわらず最高時速は10km程度という設定なので、この世界の月との距離が地球と同程度なら、到達に何年もかかったりします。

 こういった浮揚船も、元は教団から与えられた物で性能的には大差ありませんでしたが、ある日を境に突然、性能が大幅に低下し、月との往来の手段としては使えなくなりました。

 ……という設定を当初から考えていたんですが、性能低下の納得のいく理由を最近思いついたんですよね。というか、これを書いてた当時に何故思いつかなかったのかが不思議です。

 クーの持ってる浮揚船も、カーボライトのみの制御なら性能的に大差はありませんが、蒸気ロケット推進により教団の浮揚船より格段に優れた加速性能を持ってます。

 ……宇宙における最終到達速度は推進剤の量に関わらず教団の浮揚船が圧倒的に上なんですけどね。

 ちなみに統連の錬金術師が造れるカーボライトも、性能低下後の浮揚船のカーボライトも、ほぼ同じ性能ですが、クー以外が持つ浮揚船のカーボライトは、基本的に月で造られた古いものです。

 作中では月なんて呼ばれてますが、実は二重惑星で、月側にも少数ながら人が住んでますし海も大気もあります。作中の人物は、知識として知ってる程度で、今回の物語にも関わってこないのであえて語ってませんけど。


 ここまで書いたのは、実は6~7年前なんですが、なんつーところで話し終わらせたんだよ俺……



執筆再開後、教団の設定が二転三転してますので上記の教団関係の内容は参考程度に考えてください。

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