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蒸気大革命  作者: あさま勲
三日目
32/50

32

 ヒスイの飛行船は、ゆっくりと空へと昇ってゆく。その操縦桿を握るのは、持ち主であるヒスイ本人。

 設計者であるクーから見ても、無駄のない見事な離陸だった。

「妙だな。こんな雨の中、飛行汽が飛んでいる……」

 ヒスイの呟きに、クーは窓に目を向けた。

「あれ、ウチの箒じゃないか!」

 思わずクーは叫ぶ。

 だとすれば、乗っているのはレイハしかいない。あんな奇妙な飛行汽を飛ばせる者など、クー自身以外にはレイハしかいない。

「レイハか?!」

 ゲンザも叫ぶ。

「ヒスイ! 箒に近づいて」

「やってみるが……期待するなよ! そもそも速度も小回りも、断然、あっちが上だ。それにコイツには、例の紋章が刻んである。教団と勘違いされて逃げられるかも知れんぞ!」

 飛行船は、どうやっても飛行汽ほど迅速な機動はできない。

 飛行船は大きく弧を描きながら、船体の向きを変えた。

「悪いが、今はこれが精一杯だ!」

「わかってる」

 ヒスイの言葉にクーは応える。

 今は雨も降っている上、風も強くなってきた。こんな状況で、空を飛ぼうという事、自体が間違っているのだ。

「あれ? レイハは?」

「どうやら降りたようです。ラセル師の工房のようですね……」

 ギンの言葉に、クーは窓から身を乗り出して確認する。確かに、燃える工房の近くに、箒が降りていた。

「あそこに降ろして!」

 クーの言葉に従い、飛行船は、ゆっくりとラセルの工房へと降りていった。

 窓から身を乗り出したまま、クーは大きな声で叫んだ。

「レイハー!」

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