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蒸気大革命  作者: あさま勲
三日目
30/50

30

 クーたちは、港へは向かってはいなかった。

「港は見張られてます。いったん空港へ向かい、ヒスイ様の飛行船を使って、ソラ様の船に向かうべきだと思います。空からならば、浮揚船でも使われない限り、容易には捕らえられないはずです」

「もし浮遊船で追ってきたら?」

 ギンの言葉にクーは尋ねる。

「その際は、この汽械馬車を下ろして逃げます。その際、空と陸、二手に分かれれば、教団を混乱させることもできるでしょう」

「どうやって降ろすのさ? 普通に降ろしてたら、その間に両方捕まっちゃうじゃないか……」

「落下傘をつけて落とします」

 ギンの言葉に、クーは思わず天を仰いだ。

「だが、もし船を抑えられていたら……」

「その可能性は低いかと」

 ヒスイの言葉を、ギンが即座に否定する。

「うん。ここ統連は、それぞれの地区に独自の警備部門を持ってるからね。特に港湾地区は、他所からの横槍を嫌うよ。余所から流れてきた犯罪者を追うぐらいならともかく、港の船を勝手に抑えたりしたら、どうなることか……」

 クーの言葉に、ヒスイは頷く。

「何より、今日の教団の行動……統連に住む者たちの反感を大いに買ってますからね。汽械術師には武器を扱う者も居ますし、教団を錬金術師ほど絶対視もしてません。今の統連は、非常に危険な状態ですよ」

 空港が見えてくる。

 空港とは言っても、広い平地に過ぎない。そこに五隻の飛行船が並んでいた。

 その中に、気嚢に、錬金術の象徴、尾を食む蛇の紋章が刻まれた小型の飛行船が一隻。恐らくは、あれがヒスイの飛行船だろう。

「すぐにでも飛べるよう準備してあります。ゴンドラに、そのまま乗り入れてしまってください」

 雨のためか、それとも教団の浮遊船が降りたためか、空港には、ほとんど人気がなかった。そんな中、汽械馬車は、ヒスイの飛行船の中へ乗り入れた。

「あれ? 他に乗員は?」

 ヒスイの飛行船。その船内の人気のなさに、クーは思わず尋ねる。

「これは、そもそも、一人でも飛ばせることを前提に、お前が造ったんだろう?」

 ヒスイの言葉に、クーは思わず呆れかえった。

「王都と統連、空を飛ぶ飛行船にとっても長い距離だよ。それをギンさん一人に操縦させるなんて……」

「いえ、飛行船の操縦は、ヒスイ様と交代でやってます。汽械馬車も、人目さえなければ、ヒスイ様は自分で動かしますし……」

 ギンの答えに、クーは大きく溜め息をついて呟いた。

「錬金術師だというのに、この汽械馬鹿は……」

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