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蒸気大革命  作者: あさま勲
三日目

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 資料を手渡すと、シルバは、早々に自室へと引き上げていった。

 塔の食堂。そこで朝食をとりながらエンナはクーのことを考える。

 今日、クーは自分のところにやってくるだろうか? そう考えるが、昨日の事を思い出し、今日はクーは来ないだろうと思った。

 ヒスイの汽械馬車。その改造をするといっていた。どこかの工房を借りてやるのだろうが、その工房の場所を、聞いておけばよかったと、エンナは後悔する。

 もう、専属の仕事は終わった。次の仕事を見つけるまでは暇だ。蓄えができたので、常に需要のある粗製水晶や、発光石の精製でしつつ日銭を稼ぐ必要もない。

 クーといれば、退屈しないですむし、それに、クーから、すべての話を聞いた訳じゃない。まだ、クーに話すつもりがあり、そして、まだエンナが聞かされていない話があると思う。

「あの、エンナ師?」

 徒弟の少女に話しかけられる。

「はい」

「エンナ師に、ご面会したいという方がいらしてますが」

 その言葉で、真っ先に頭に浮かぶのは……

「クー君ですか?」

 勢いよくたずねるエンナ。そのエンナに、徒弟の少女は気圧されたようにこたえる。

「ヒスイ様とおっしゃる、美原見の本家の方ですが……」

 エンナは大きく溜め息をつく。

 ヒスイが、最初、難色を示した汽械馬車の改造。それに、ギンの耳打ちを受けて、あっさり同意したのは、こういう事だったのか。

「お引き取り願うよう、申し上げましょうか?」

 クーと一緒にいるところを、何度も見られているので断りにくい。それに、以前ほど、印象を悪く感じることも無くなった。

「そう言うわけには、いきませんから……。今から、そちらへ向かいます」

 そう言い、エンナは立ち上がった。

 別に構わない。クーから、すべての話を聞くまで、次の仕事を探す気はない。そして、今日は、たぶんクーは来ない。

 どうせ暇なのだ。それに、以前のように、ヒスイを嫌っているわけでもない。

 それに、もう少し、ヒスイの事も知ってみたい。何度も顔を合わせているのだが、ヒスイの事は、よく知らなかった。だから、今回は聞き手に回るのは止めよう。そうエンナは思った。

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