雪の降る夜には
喫茶店、コトトイ。オレは、マスターの円騎。野坊主見たいな無精髭を生やした、強面で通ってる。
母親は、神主の家系だったって話だが、何故かこんな繁華街に喫茶店を作った。なんて言うか、懐の深い女だったから、夜逃げしてきた借金まみれの社長だの、濡れ衣を着せられたヤクザものだのを、かくまって、少しの間滞在させてやったことがよくあるらしい。
それで、なのか、この店には、変な客……情報屋だか探偵だかや、暴力団の組員だかが、よく来た。彼らは、決して母には逆らわなかったし、オレもかわいがられたが、何しろガラが悪ぃ。
オレも、いつの間にか、強面になっちまったってことだ。
母が死んで15年、よく店が持ったもんだ。まぁ、オレが仕込んだバイトの料理の腕は一流だからな、カタギの客も、寄り付くんだ。
もっとも、今日は朝から一人も客は来ていない。窓の外は、しんしんと雪が降っている。明日には、10センチは積もるだろうって話だ。
オレは、カウンターに座って、首から下げた勾玉を撫でた。母親が実家から持ってきたお守り、「悪い神様を追い払ってくれるのよ」と、オレの首にぶら下げてくれたんだ。神様がいるかどうか分からねぇ。若い頃は、そんなもん、弱い奴が信じるもんだと思ってた。
でも、な。この年になってみると、なんだか無下に否定もできねえ気分になってくる。
と、呼び鈴がカラカラと音をたてた。なんだかよく分からねぇ奴らが立っていた。
昭和の結婚式じゃねえかっていうような、黒い羽織に灰色の袴を身にまとった、枯れ木のような老人。はげ頭が、ランプの光を跳ね返しててかっている。
それから、かき氷のような真っ白な振り袖を着た、これまた白い顔の少女。柔らかい顎のラインに、ぐりぐり眼。高校生ぐらいだろうか?
別に美人てわけじゃないが、なぜか、妖精みたいだなと思った。
「ここは、喫茶店コトトイ、ですか?」
老人は、しわがれた声で言った。
「そうだけど」
オレは、できるだけぶっきらぼうに言った。
「困っている人を、一時的に匿ってくれるとか」
「場合によってはな」
「頼む……、ん」
それから、老人はオレの胸元を見た。
「おお……それは……!」
それから、少女の方に振り向いた。
「姫様、これは天啓ですぞ! ここならば、必ず身を隠せます!」
姫様と来たか……、どんな高貴なお家柄に生まれたのか知らんが、時代錯誤もいいところだ。ただ、身なりはしっかりしているから、ただの馬鹿ではない。
「ま、この喫茶店は、いろんな政治勢力が釣り合った場所だからな、でけえ暴力団でも、おいそれとは踏み込めねえよ」
オレは、あくまで無表情を貫く。優しい顔をすると、つけ込んでくる連中もいるから。
そうと決まれば、他に客も来ないことだし、店じまいだ。閉店の札を、扉の外にぶら下げる。外は、身を切るような寒さ、牡丹雪が顔にへばりついてくる。
オレは、肩をすぼめて、店内に戻った。
「ただし、三日だぞ。それ以上いたら、追い出してやる!」
「おお、かたじけない。姫様も御礼を言いなされ」
姫とやらは、少し眉をひそめた。
「なぜじゃ、わらわが、なぜこんな下﨟に頭を下げねばならぬ」
「げ、下﨟……」
初めて聞く、姫の声は、なんだか、氷に甘い水をかけて、さらに凍らせたような、そんな印象を持った。つまり、生意気な口調とは裏腹に、耳に心地よかった。
「ひ、姫。これからお世話になるお方に、そんな口をきいてはなりませぬぞ」
「なぜじゃ、わらわは貴族なるぞ。このようなもの、ただの人間……」
「姫様!」
さすがの老人も、大きな声を出してたしなめた。
「ふん! まあ良いわ。わらわとて、こんな小汚い場所に長居はしたくないからの」
何じゃこの小娘は。さすがのオレも、あっけにとられてあいた口が塞がらねえ。
まだ、学校へ通う前のガキなら分かる。だけれど、こいつぁどう見ても、10代後半だぞ。最近の女子高生とかは、みんなこうなのか? 少なくとも、オレが高校のときにわらわ言葉を使う奴はいなかったぞ。
「こぎたねえってのは、あんまりじゃねえかい? お嬢ちゃん?」
オレはようやく、この娘に説教を食らわせようと試みるまでに回復した。確かに建物は古いが、念入りに掃除をしている。最近は禁煙にしているから、壁にへばりついているヤニの量だって増えていないはずだし……。
「まあ、良いわ。下民の家が奇麗であろうはずはないからの。喉が渇いた、飲み物はないのかえ?」
「あんだってぇ!」
さすがのオレも、ブチ切れそうになる。
「すまぬ、ご主人。何か飲むものを出してくれ」
老人は、はげ頭をぺこぺこと下げた。年上の人間に頭を下げられてしまっては、オレも恐縮する他ない。オレは、小娘とは違って教育を受けているんだ。
「……」
オレは無言で、コーヒーメーカーを操作する。ほどなくして、香り高い、黒い液体がカップに注がれた。
どうせ、このわらわ娘には飲めまいと、ほくそ笑む。
姫と老人は、テーブル席におとなしく座っていた。……、何と姫は、椅子の上に正座している。
「お嬢ちゃん、椅子の座り方も知らんのか?」
言いながら、オレはコーヒーを二人の前に差し出す。
「わらわは、この椅子という奴は嫌いなのじゃ。全く、毛唐の文化に毒されおって」
謎だ。現代文明の少女は、オレの時代のそれから大きく進化したのか? はっ、そんな馬鹿なことあるはずがない。
こいつは、相当世間知らずな、良家のお嬢様だぞ。それが、何で逃げているのか分からんが。
「ふむ……、変わった香りのするお茶じゃな。漢国のお茶は、わらわも好きだ」
「へえ……」
コーヒーが好きとは、以外だったな。舶来品は毛嫌いしそうな感じなんだが。
姫は、カップに口を付けた。
「な、なんじゃこれは……」
カップから口を離し、苦虫をかみつぶしたような顔をした。思った通りの反応に、オレはにやけるのを禁じ得なかった。
「こんな苦いお茶があるか! どういう煎れ方をしているのじゃ!」
姫は、コーヒーカップをソーサーの上に叩き付けた。勢い余って、コーヒーが姫の手にかかる。慌てて、老人が手ぬぐいを懐中から取り出す。
つまり、姫はコーヒーというものを知らなかったわけだ。
「それは、お茶じゃなくてコーヒーだぜ」
「なんじゃ! そんな毛唐かぶれのものが飲めるか! もう良い! 水を持って参れ。それから、食べるものを!」
「そんな態度じゃ、作る気になれないな」
「な、何じゃと」
姫の顔は真っ赤になっている。
「姫様。ここはお城ではございません。このお方は、家臣ではないのです」
老人が、低い声でたしなめる。姫は、老人を睨んだが、彼はひるまなかった。
「ふん」
姫は、下を向いて黙りこくった。決して頭を下げる気はないらしい。
老人は、困った顔をして、上目遣いにオレを見た。老人にこんな顔をさせるのは、オレのモットーに反する。
「……、しょうがねえな」
オレは、ポットからグラスに水を注ぎ、冷蔵庫に入れてあったサンドウィッチを、姫の前に無造作に置いた。
「なんじゃ、これは?」
姫は、せっかくのサンドウィッチを見下したように眺め、その後背もたれにふんぞり返った。つくづく馬鹿にしている。
「サンドウィッチだ。知らないのか、まさか。どういう生活をしてるんだ?」
まさか、毎日宮廷料理を食べているとでもいうのか。それとも、蝉みたいに樹液を吸ってるとか?
「むかごは? 白瓜は? ヤマメの塩焼きはないのか? 芋田楽もない? なんて場所だ!」
姫の口から出たのは、高級なフランス料理などではなかったが、結構珍しい日本食だった。オレは、母が作ってくれた料理を思い出した。
「んなもん、喫茶店にあるあるかよ!」
「もう、良い。寝る! 寝殿へ案内しろ」
なんだかわけが分からないが、寝ておとなしくしてもらった方が助かる。
「客が寝泊まりする部屋は二階だ。オレについてこい」
オレは、店の奥にある扉を開き、二階へと続く階段を登った。上気した顔の姫が、後ろからついてくる。桜餅みたいな顔色だ。
客室の扉を開けると、姫はオレを突き飛ばして、部屋の中に駆け込んだ。
「しばらくこの部屋に入ってくりゃるな!」
姫は、この期に及んでまだ尊大な態度を改めない。そもそも、この部屋のホストはオレだ。
「いい加減にしろ! 追い出すぞ!」
オレは怒鳴った。姫は、ベッドの上に座って上目遣いにオレのことを見てきた。その目の湿っぽさ、微妙な視線の揺らぎに、なんだかオレの気勢はそがれてしまった。
オレは、それでも怒りを込めてドアを閉めると、店に戻った。
老人が、所在無さげにテーブル席に座っていた。
「ご老体……、何だあのお姫様は。どういう育ち方をしてるんだよ!」
「すみませぬなぁ。何せ、人里にはほとんど来たことかなくてな」
田舎の地主の娘ってとこか。老人は、結局姫が口を付けなかった、冷めたコーヒーをすすった。
「む……、この豆は、ブルーマウンテンですな?」
「ちげえよ。モカだ、モカ。あんたも相当味音痴だな。でも、コーヒーは飲めるのか」
「ワシも、家老という役柄、都会にも良く出てきますのでなあ」
老人は、カーテンの隙間から外の景色を眺めた。
「それより、姫に食事を作ってくださらんか。姫は日本食しか食べないのでな。あ、それから氷菓子があれば……」
「氷菓子? シャーベットのことか?」
「姫は、温かい和食も好きですが、それ以上に冷たいものも好きでなぁ」
「ったく、世話が焼ける」
オレは、キッチンに戻った。和食と言っても……、昨日夜食べた大根の煮付けと……、後は、蕎麦でもゆでるか。
姫のいる部屋に料理を運ぶ。右手でお盆を持ち、左手でドアをノックした。返事がないので、足で軽く蹴飛ばして開ける。
姫は、ぼんやりと天上を見つめていて、オレが入ってきたのに気づくのに、たっぷり五秒はかかった。
「なんじゃ、そなた。断りもなく入ってきおって!」
「ノックしたが、反応がなかったんでな」
姫は、お盆に乗った温かい料理を見て、お腹を鳴らした。
「な……、別にわらわは……」
オレが何も言っていないのに、赤面する。オレは吹き出した。
「何がおかしい!」
「お前の態度が笑えるんだよ。腹減ってるんだろ?」
「ちっ」
姫は、歯を食いしばってそっぽを向いた。
「食べる食べないはお前の勝手だが、ここに置いていくぞ。ああ、夏に食べきれなかったアイスクリームが冷凍庫の中に入っているから、どうぞご随意に」
盆を床に置くと、オレはさっさと部屋を出た。
しばらく食器を磨いたり、コーヒーを飲んだりしていると、階段を降りてくる音がした。気づかれない程度に振り返ると、姫は冷凍庫からアイスを取り出し、また戻っていくのだった。
結構かわいい奴だなと、不覚にも思った。
ぼんやりと新聞を読んでいた老人が、突然立ち上がった。
「……、どうやら追っ手が近くまで来たようだ」
「はぁ? 忍者でもないのに、気配でも感じるのか?」
「そう、奴らの気配は強烈じゃからな。わしは……、おぬしのいる長机の後ろに隠れている。姫も、降りてこないじゃろう。しらばっくれてくだされ、頼みましたぞ」
老人は、重心を落とした独特の歩き方で、カウンターの後ろに隠れてしまった。
ほどなくして、店のベルを鳴らす音が聞こえてきた。居留守を使うが、そうすると、激しく扉を叩き始めた。曇りガラスの向こう側に、複数の人影が見える。
オレは、思い切り扉を開けた。
「馬鹿やろー、ドアが壊れ……」
オレは、そいつらの異様な雰囲気に、面食らった。
辺りは薄暗く、街灯が灯り始めている。雪はほとんど止みかけているが、時折、白い粒がフワフワと舞い落ちている。
男が二人、立っていた。一人は、毒々しい紫色のスーツを身にまとった、恰幅の良い男。その顔は、釣り上げられて破裂しかけた深海魚のような顔をしていた。
もう一人は、細長く背の高い奴。緑のスーツで覆われた、トノサマバッタのようだと思った。
「ほほほ、無礼であろう。このお方をどなたと心得る……、この都市の支配者、ヒカリゲ様なるぞ!」
トノサマバッタが、甲高い声でまくしたてる。
「何だいったい。最近は時代劇が流行っているのか?」
「ほほほ……、これだから下々のものは困る。人間どもで金持ちは、みなヒカリゲ様を崇拝しているのだぞ」
これはヤバい、相当頭がいっちゃっている奴らだ。スイッチが入ると、何をするか分からんぞ。
「ボク自ら赴いたのよ……、まさか逆らおうなんて思っているんじゃないでしょうね?」
ヒカリゲとかいう奴が喋りだす。野太い声にオカマ言葉ときた。
「逆らうもなにも、あんたが何しにきたのか分からねえんだが」
「とぼけるでない、下﨟が! ここに、小娘とジジィが来たはず。おとなしくヒカリゲ様に渡すのだ」
「……、知らねえな。帰ってくれ、警察を呼ぶぞ!」
「あひゃひゃひゃ、このボクに逆らうつもり? 本当にいいの」
「何度でもいう、帰れ!」
ヒカリゲとかと、トノサマバッタは顔を見合わせ、歪んだ笑みを浮かべた。それは、数々の人間を陥れ、国の中枢に上り詰めた中世の貴族もかくやという気色の悪い顔だった。
「ならば、貴様はここで死ぬ。全身の血液が沸騰してな!」
ヒカリゲは、両手のひらで印を組むと、何やらわけの分からない呪文を唱え始めた。その脇で、トノサマバッタがにやけている。
こいつら、何をするつもりだ。
ヒカリゲの手のひらが輝き始める。
「ヒヒヒ、これでお前は……」
だが、ニタニタと笑っていたヒカリゲの顔が、驚愕の表情に変わった。
「な……、その勾玉はまさか……、破邪の勾玉!」
オレの胸元を見ると、勾玉が白く輝いていた。
「し、しまったぁ……」
ヒカリゲは、口や鼻から血を吹き出した。そのまま、地面に両膝をつく。悪臭が漂い始めた。
「ヒ、ヒカリゲ様!!」
トノサマバッタは、ヒカリゲの身体を揺さぶった。
奴は、うなだれて、ほとんど意識がない。眼球がブルブルと震え、舌を出している。
「くっ……、まさかこんな結果に」
「おい、あんた大丈夫か……」
マジで、救急車とか呼ばないといけないレベルだろう。
トノサマバッタは、ヒカリゲの身体を引きずるようにして、雪の積もった道を進み始めた。逃げるのか?
「まて……、どうする気だ?」
五メートルほど進んだ後、トノサマバッタは恨みがましい目をこちらに向けた。
そして、火が消えるように、フッ、と姿を消した。
「な……」
目の錯覚かと、辺りを見回したが、奴らの姿はどこにもなかった。ただ、引きずった跡が、降り積もった雪の上に残されているだけだ。
冷たい風が吹いた、オレは凍り付く。
がたがたと震えながら、店内に戻ると、姫と老人が立っていた。
「ありがとうござりまする」
老人の顔はにこやかだったが、オレは笑う気には慣れなかった。姫は、無言で腕組みして仁王立ちだ。
「あいつらは、何だったんだ?」
「ヒカリゲとは、都市にたまった人間の欲望が生み出した、新たなる神です。いわば、成金の福の神ですな。我が姫を、連れ去ってコレクションに加えようとしていた」
「……、確かに、それっぽい奴らだったが。それで、あんたらの正体は?」
「わらわは、人間から雪女と呼ばれている」
まるで、ラフレシアの花畑が目の前に広がってしまっているかのごとき、仏頂面だ。なぜ、こう不機嫌なんだ?
「今年、初めて城から出て、人里に降りてきてあいつに見つかったのじゃ。あいつの軍勢はたくさんで、ここに逃げるのがやっとであった」
「雪女って、そんなもの信じるかよ!」
「それは、そなたの勝手じゃ。さて、ヒカリゲの結界も弱体化したから、間もなく城から迎えが来るじゃろう」
いつの間にか、カウンターの上に甕が乗っていた。黒地に青い釉薬をかけた、なかなか立派なものだった。
「なんだ、ありゃあ」
「あ、あれはわらわからの御礼じゃ。ありがたく受け取れ」
姫は顔を真っ赤にしている。目を合わせようとすると、背けた。なるほど、御礼などとガラにもないことをしようとしていたから、仏頂面だったのか。
オレは、甕の中を覗き込んだ。みぞれ状の液体が入っていた。
「これは?」
「水じゃ」
「水?」
「雪女が与える水じゃぞ。本来、決して人の手に渡ることはないものじゃ」
「そうかい」
オレは、疲れ果てて、カウンター席に座り込んだ。今までも、ヤバいことはあったが、今回はしんどかった。なんせ、相手は妖怪だ邪神だ、意味不明の方々なのだ。心がどこかへ行ってしまいそうだ。
また、扉を叩く音がした。先ほどとは違い、まるで粉雪が降り掛かるように微かな音。
「な、何だ」
恐怖で、びくりと背筋が伸びる。
「大丈夫ですじゃ。我らの味方じゃ、開けてくだされ」
老人の言葉を信じる。好々爺然としているが、こいつも多分妖怪だ。逆らうと面倒くさそうだ。
扉を開けると、五月人形のような風袋をした、美少年が立っていた。
その背後には、なんだかわけの分からない影のようなものが複数うごめいている。こいつも化け物だ。
「クロウ!」
とたんに、満面の笑みになり、抱きつくのではないかという勢いで飛び出す姫。
「姫、敵の結界が弱まり申した。今のうちにお連れ申し上げます。こちらのお方は?」
少年は、訝るような目でオレを見た。
「我らを匿い、ヒカリゲを追い払ってくれたお方です」
と、老人。
「それは、かたじけのうございます」
少年は、頭を下げた。
「い、いや。オレには何がなんだか」
姫は、少年に手を引かれて、扉の外へと歩き出した。その後に老人が続く。彼らの姿は、次第に薄ぼんやりとなっていく。
「本当に、ありがとう」
姫が振り返った。オレに向けて、初めての優しい笑顔だった。
そして、一陣の風が吹き、完全に姿を消した。
姫がくれた甕というのは、不思議なものだった。汲めども汲めども、氷水がつきないのだった。しかも、とびきり美味しい。
「これで、店の水道代が浮くかな」
オレは、グラス一杯の氷水を飲み干したあと、愉快な気分になるのを禁じ得なかった。