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 二日目にしてクライマックス?

チュン チュン チュン


 外から鳥の鳴き声が聞こえる。


 ………朝……か?……ん?なんか、甘い匂いがする……


 こんな枕あったっけ?

 そう思いながら、抱いていたものをぎゅっと抱きしめる。


 その時柔らかい感触とともに


 

 ズキッ!


 

『っ!!』


 右手に鈍い痛みが。


 その痛みで目が覚める。

 そして、自分が抱きしめていたものの正体にも、気付いた。


『うっ!』


 麗華だった。

 それも一糸纏わぬ姿で。

 つまり、裸の麗華をぎゅっと抱き締めていたのだ。


 慌てて離れようとするが、麗華にぎゅーっと抱きしめられていた。


 足も複雑に絡み合っている。


 悠治の頬がどんどん赤くなっていく。


 

 裸の麗華と抱き合っているのもそうだが、何より目に映る自分の腕も、何も着けていない。


 

 つまり、悠治自身も裸なのだ。


『んっ………う~ん…』


 

 その時、目をしょぼつかせて麗華が起きる。


 

『はれ?………おふぃちゃん………おはよう』


 

『………あ、ああ。』


 

『う~ん………おにぃ~ちゃん』


 

 すりすり


 寝ぼけているか、麗華が頬をすりすりとしてきた。


 

『ん?』


 

 そしてぱちっ、と目を開ける。


 

 俺は冷や汗が流れる。


 

 妹が……麗華が気付いてしまったかも知れないからだ。


 いや、100%気付いているはずだ。


 自分の肌に当たっているのだから。


 麗華は思案顔になり、下の方に意識を集中している…………………気がする


 

『ふふっ!』


 

 麗華が笑う。

 頬を赤らめて


 

『知ってるよ?お兄ちゃん……男の人って皆、朝そうなるんだよね?』


『い、いや……これは…』


 俺は腰を引く。


 

『大丈夫。私が処理してあげる!』


 

 妖しく笑う麗華。


 

『しょ、処理……が、学校は?』


 

 麗華は時計をみる


『まだ余裕あるよ!』


 

 どうやら学校には行くようだ。


 


 


 ……って、そんなことじゃねぇ!


 


『あ、あのさ』


 

『ダ~~~~メ』


 ちゅ


 

 麗華にキスされる。


 

『聞かないよ。お兄ちゃん……ふふ!』


 

 麗華の手が俺をまさぐり始める。


 

『れ、れいむぐっ』


 クチュ クチュ


 深くキスされる。


『んっ!………んちゅ!』

 麗華の舌が俺の口の中で暴れ回る。


『はぁ!……もう!お兄ちゃんのえっちぃ…えいっ!』


 嬉しそうな麗華の声。


 そして、二人の体は布団の中で一つになった。


 しばらくして


 

『あぅ………気持ちよかったよぅ!』


 

 肌を紅潮させて麗華が布団から出てきた。


 

『お兄ちゃん。シャワー浴びてくるね?』


 

 そのまま麗華は部屋から出ていく。


 悠治は落ち込んでいた。


 ……また、妹相手に………

 節操なしの自分の体をうらみたくなる。


 

 しかし、妹に好きと言われるのは嬉しい。


 

 でも


 

 何なんだよ!…あれは!


 

 昨日の麗華を思い浮かべる。それに、さっきの麗華も。


 

 明かに麗華は狂ってる。


 なんでいきなり

 あんな風に…………………いや、違う………か。


 


 いつも、我慢していたと言っていた。俺が他の女の子と話していることに。


 我慢が昨日爆発した。


 

 それだけのことだ。


 

 しかし爆発の度合いがデカすぎる。理由もめちゃくちゃだ。


 嫉妬?


 

 正直嬉しい。

 妹にそんなこと言われて、うれしくないはずない。


 


 しかし、本当に度がすぎる。


 それに


 

 愛花はどうするんだ?


 

 俺の脳裏に愛花の笑顔が浮かんでくる。


 


『…………ねぇおにぃちゃん?』


 

 びくっ!


 

『れ……麗華…いつからそこに……?』


『ついさっきだよ?それより………ねぇ?今、私以外の女のこと考えなかった?』


 俺は首を振る。


 

『い、いや…ただ服を着たいと思って!』


『ふぅ~ん……でも、部屋から出ないんだから、必要ないんじゃないかな?』


『お、落ち着かないんだ。服がないとけっこう心細くなるんだ。』


 その言葉に一応納得したのか


『………分かった。』


 

 麗華は俺の部屋から服をとってきた。


 俺は服を着ようとして気付いた。


 

『下はけないから、足輪とってくれないか?』


 

『………逃げない?』


 

『ああ』


 

 やっば外してくれないのかな?


 そう思ったが


 ガチャ


 

 案外あっさりと外してくれた。


 


 しかし、俺は逃げない。

 いや、実際逃げたかったが、麗華の手には銀色に光るナイフが握られている。逃げられる訳がない。


 着替え終わった後、また足輪を付けられる。


 

『待っててお兄ちゃん!今朝食をとってくるから!』


 朝食っていつ作ったんだ?


 まあ、トーストとかなら早いか………


 

 案の定トーストだった。


 

 ただ、野菜がついてたり、焼いたベーコンや目玉焼きもあった。


 

 ほんと、いつ作ったんだ?

 ところで


『………麗華……時間はいいのか?』


『えっ?』


 

 時計をみる麗華。


 

『あっ!や、やばいよぅ!遅刻しちゃう~!』


 

 ちゅ


 

 悠治に軽くキスをする麗華。


『お兄ちゃん!じゃ、私行ってくるよ!』


 

 そしてドアから出て行こうとする。


 

『ちょ!ちょっと待て、麗華!と……トイレはどうすれば?』


 

『それだよ。』


 

 麗華が指を指したのは

 ドライブ用便器


『…………………』


 

『じゃあねお兄ちゃんすぐ帰ってくるよ』


 

 バタン


 

 ドアが閉まる。


 

『…………俺ってどうなるんだろぅ……』


 

 あいつ

 本当に俺のこと好きなのか?


 悠治はひとり

 ぽつん、と残された。


 


 あっ………ゲーム。


 

 やろうと思ったが……右手が動かない。


 

 他に何か?


 

 周りを見回すと、机の上に本が


 私の夢


 どうやら、麗華が書いた小説のようだ。


 にしても、右手が痛い。


 病院に行きたい。


 それが今の悠治の切実な夢だった。



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