異変
『ただいまぁ~。』
俺は家の中に声をかける。
しかし、いつも飛び込んで抱き着いてくる麗華が来ない。
それを少し寂しく思いながら
まあ、これが普通か……
それとも
『まだ帰ってないのか?』
そういえば、家中真っ暗だった。
『のどかわいたなぁ。』
リビングに向かう悠治
当然リビングも真っ暗だったので、電気をつける。
『うわっ!』
飛びのいて、悠治が驚く。
『れ…麗華!いたのかよ。びっくりさせんなよ』
麗華がぼーっと立っていたのだ。
『………おにぃちゃん?』
麗華がこっちを向く。
手に何か持っているみたいだが
体に隠れていて見えない。
ぞくっ!!
麗華の目を見た瞬間
なぜか寒気がした。
思わず一歩下がってしまう。
『ねぇ?…おにぃちゃん?』
麗華がこっちに向かってくる。
『な…なんだ?』
足が勝手に下がっていく。
『どうして…今日……帰りが遅くなったんだっけ?』
『ど……どうしてって、と、友達と遊んでたから。』
『ふぅ~ん。……そうなんだぁ~。』
なおも近づいてくる麗華
ドスッ!
背中に固いドアの感触
『どうして逃げるの?おにぃちゃん?』
悲しそうな顔をする麗華。
そして、そのまま悠治に抱き着く。
『お…おい。麗華』
『何?おにぃちゃん?キスしたいの?』
『は?キスなんてするわけ…』
そう言った途端
あははははははははっっ!!!!!!!!!
麗華が狂ったように笑いだす。
『ど どうしたんだ?』
『どうした?なにそれ?どうしたじゃないよ!おにぃちゃん!あの女は誰!誰なの!』
『っ!!』
ドサッと床に押し倒される。
『あの女?』
『そう、あの女だよ!私のおにぃちゃんに付き纏って、手をつないで、おにぃちゃんの体温を感じたあの腐った女だよ!!』
麗華が言っているは、おそらく愛花のことだろうか?
『…あ、愛花は、お、俺のか…』
答えようとするが
『あはははは!信じない!信じないよ!おにぃちゃん!あの腐った女がおにぃちゃんの彼女なんて!おにぃちゃんの彼女はね、私。私なんだよ?分かってる?』
ぞくっ!!
目が………恐い
『れ…麗華…お、お前は妹で』
しかし、俺のこの言葉は無視される。
『おにぃちゃん。もうあの女と話さないで。ううん、もうおにぃちゃんはどこにも行かせない!さんざん我慢してきたんだよ?おにぃちゃんが、私以外の女と話すことや、一緒にいること……ずっと我慢してきた。でもね、もうやめる。もう…おにぃちゃんはどこにも行かせない!』
『れ、麗華お前何をっ!!』
バチィッ!!
そんな音とともに悠治の体がビクンと跳ねる。
な、なんだ……体がしびれ…て…
そのまま悠治は意識を失った