第五話、死人と笑顔。
私は車で運ばれる身体について行く。
と言っても、この場合は“憑いて行く”の方が正しいか・・・。
まぁ、そんな冗談を言っても、さっきまで入っていたからだが焼かれるというのはなんて悲しい事なのだろう。
彼に触れたことは覚えていても、彼に触れた感覚はない。
私は見つめることができても、彼の瞳に私は映らない。
それが、とても寂しくて――――――――――。
―――●―――●―――●―――●―――●―――●―――
“ピーーーーーーーーーー”
私の体を焼くために、スイッチが押された。
皆が、私のために泣いてくれる。
それは、なんて嬉しい事なんだろうか?
身体が焼かれたためか、透けていた身体が、さらに薄くなっていく。
『あぁ、私 消えるんだなぁ・・・』
私は咄嗟に、そう思った。
もう見ることができない彼の顔が、涙で濡れている。
『最後位は笑って欲しかったなぁ―――』
そう思ったけれど、私は我慢して彼に向かって叫ぶ。
「大好きだよ、 龍也!!」
「ありがとね、 龍也!!」
それが、場に似合わない位の大声だったとしても、これは私の葬式なんだから―――。
あぁ、私・・・死にたくなんてなかったよ。
皆の“幸せ”を願っても、 私は“幸せ”になることができない。
大好きな龍也を残して“逝く”なんて嫌だよ!
そんな願いも叶わないのなら、身体と一緒に“思い出”も消えてしまえばいいのに。
でも、そんなことをすれば、大切な時間も大切な人も、すべて忘れてしまう。
私は絶対に忘れたくなんてないよ。
たった一度だけの人生でも、あなたは悔いのない相手だったから。
だから、そんな私の為に笑ってよ、、、 最後の一回だけでいいから、、、
みなさんは、どんなクリスマスをお過ごしですか?
楽しいクリスマス?悲しいクリスマス? さて、どんなものでしょうか?
私は今回、一つの幸せの形を書きました。
人によっては幸せではないと思うかもしれませんが、
私は誰かを想って死ねることは幸せなことだと思います。
そんなことを感じ取ってくれたなら幸いです。ありがとうございました。