第四話、私とあなた。
―――――11月24日0時6分28秒、岡本志保 死亡、、、
私は死んだ。
私は死亡宣告をされた。
母も父も泣いている。
でも、そこに彼の姿はない。
私の彼の姿は、そのどこにもなかった。
今の私から見えるのは、父と母と医者と、そろそろ冷たくなってきているであろう私の身体だけ。
でも、これは私が望んだことだからいいの。
私のこんな姿、彼に見せることなんてできないもの。
私の魂の抜けた身体なんて、何の意味もないもの。
彼が見てくれていたのは―――――――――――――――。
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彼は母からの言葉で、私に会いに来てくれた。
静かに手を合わせ、静かに頭を下げ、静かに席に戻る。
大好きだった彼は、なんだか妙にやつれて見える。
歯を食いしばり、涙を堪えて、それでも瞳は濡れていて。
なんだか、とても切なく感じる。
手を伸ばして拭ってあげたいけれど、絶対に触れることはできなくて。
ごめんね、 私の所為で泣くことになってしまって。
ごめんね、 あなたに本当のことを言わなくって。
許してね、 あなたよりも早く死んでしまったことを。
忘れてね、 こんな私のことは―――――。
大好きだったよ、 たった独りだけのあなたのことが。
幸せだったよ、 あなたの傍に居ることができて。
ありがとね、 一生分の幸せを私にくれて―――――。