1-1 「ようこそ、私のノヴァ研究所へ」
1=忘却の人
(X=マイナス7 Y=マイナス7)
従順な人
2=(X=マイナス4 Y=マイナス3)
契約の人
3=(X=マイナス5 Y=マイナス12)
オーフル・ノクターンの家
4=(X=マイナス4 Y=マイナス4)
ヒーローの女の子
5=(X=マイナス2 Y=6)
プライドが高い人
6=(X=マイナス6 Y=マイナス3)
水の人
7=(X=マイナス10 Y=マイナス10)
ノヴァ鉱石の鉱山
8=(X=マイナス10 Y=マイナス1)
ノヴァ研究所
9=(X=マイナス5 Y=マイナス5)
エンプティの部屋
10=空虚な男
(ノヴァ研究所と同じ)
中華屋
11=(X=マイナス6 Y=マイナス12)
カラオケ店
12=(X=マイナス9 Y=マイナス4)
ケータイショップ
13=(X=マイナス1 Y=マイナス9)
川辺
14=(X=マイナス1 Y=マイナス7)
メイドカフェ
15=(X=マイナス10 Y=マイナス9)
海
16=(X=マイナス11 Y=マイナス11)
ホテル(パーティー会場)
17=(X=マイナス7 Y=マイナス2)
バルコニー
(ホテルと同じ)
パスタ屋
18=(X=マイナス5 Y=マイナス8)
ステーキ屋
19=(X=マイナス4 Y=マイナス7)
自然の山(地下で武器精製)
20=(X=マイナス12 Y=1)
ヘイジー・タンドレスの家
21=(X=マイナス11 Y=マイナス9)
市街地
22=(X=マイナス4 Y=マイナス1)
プロローグーーーーーーーーーー
時間帯は深夜。
時期は春。
気温は穏やかで温かみがある季節。
だけど、俺が今いる状況はそれとは関係なく寒かった。それは何故か?
それは、洞窟の中に居るからだ。
湿度が高く、じめじめしてる。
気温は地上と比べて低く、
唇が青紫になるほどに。
こんなに辛い状況なのにどうして俺は来なければならなかったのか。来たかったわけじゃない。
父が…無理やり連れてきたのだ。
(父親)「私には…もう…無理だ」
父親は酷く疲れた顔だった。
飲まわず食わずで睡眠も不足してると人はこんな顔になるのかもしれない。そんな、やつれた顔だった。
(エンプティ)「置いて行かないで!」
俺は必死になって手を伸ばす。
だが届かない。
暗闇の中、ただ1つの光。
それは父の持つ懐中電灯。
父親はその懐中電灯の光をぱちっと消した。
その光はまるで親子の縁を切ったかのような音がした。
その後、父親がどうなったのか分からない。俺はただ父の持つ残り香を頼りに暗闇の中を探す。
でも、俺はここに来たのは初めてだ。だから、当然何処に向かって歩けばいいのか、進めばいいのかが分からない。それでも父親に会いたい。その一心で俺は歩き続けた。すると不思議な鉱石を見つける。
(エンプティ)「これは…?」
暗闇の中でも輝く鉱石。
俺は深海の提灯アンコウのようにふらふらと吸い寄せられる。
(オーフル)「それに触れるな」
怒鳴り声。
まさか人に会うと思わず、
その鋭い予想外の一撃に、
俺は思わず手を引っ込める。
(エンプティ)「違うんだ、盗もうとか、そういうことをしようとした訳じゃ」
俺はぎゅっと握った拳みたいに小さくなる。
(オーフル)「そんなことは気にしなくていい」
頭にヘッドライトを付けた男だった
年齢は40代後半〜50代
外見は白衣、疲れた目つき。
雰囲気こそ優しげだが、どこか狂気を含んだ顔だった。
素直に信用してもいいのか少し不安になる。
(エンプティ)「あなたは?」
(オーフル)「私の名前はオーフル・ノクターン。
君の名前を聞いてもいいだろうか?
」
(エンプティ)「エンプティ・アダムブレイト」
(オーフル)「それにしても君1人でどうした?」
小さな俺を見て、彼はそう思ったのだろう。
そして、こんな場所に1人で子供が居ることに驚いていた。
(エンプティ)「あ、あのお父さんは知りませんか?」
俺は彼が初対面ということもあり、
様子を見るように話しかける。
(オーフル)「いや、見なかったな」
彼は何も知らなそうな雰囲気だった。
その言葉に嘘は感じない。
(エンプティ)「そうですか」
俺は落胆する。
もしかしたら知ってるかもと期待していただけに残念だ。
(オーフル)「家は…何処だ?」
(エンプティ)「本当はあったと思う、でも父親が消えてしまったのだから帰る場所は…もう…」
俺は喋っていてどんどん気分が落ち込む。
それに比例するように声が小さくなっていった。
(オーフル)「家に…来るか?」
(エンプティ)「でも」
その言葉に少し心が揺れ動く。
だけど、ついてっていいものだろうか?
初対面の人間なのにとも思う。
でも、頼らないと少年である俺は死ぬのを待つばかりでは?
そんな最悪の妄想が脳の片隅で蠢いてる。
(オーフル)「餌で釣るって訳じゃないが…」
そう言って彼はポケットから何かを取り出す。
(エンプティ)「飴だ!」
カラフルな包み紙に閉じられて可愛いデザインのそれは、
子供の好奇心を刺激する。
(オーフル)「食べる?」
彼は飴を差し出してくる。
(エンプティ)「うん!」
俺は渡されたものに何の疑問も抱かずに飴を舐める。
それは柑橘系の甘酸っぱい味だった。
彼には少しかわいらしい一面があるのだとこの時思った。
(オーフル)「おいしいかい?」
穏やかな顔で彼は聞いてくる。
(エンプティ)「とってもね!」
俺はこの時、彼に笑みをこぼす。
(オーフル)「こうみえて局長をやっているんだ。
偉そうに聞こえるだろうが、金はある。
心配しなくていい、良かったら来ないか?」
彼は自信満々に語る。
その言葉はとても希望に満ちていた。
(エンプティ)「ついてっても…いいんですか?」
俺はつい、甘えるような声を出してしまう。
(オーフル)「あぁ、来ても構わない」
最初に見た狂気を感じるような顔とは少し違う。
穏やかで、とてもやさしい表情だった。
(エンプティ)「父が見つかるまで…お世話になります」
頭を下げて、何もない俺なりに礼を伝える。
それしかあげれるものがないから。
俺はこうして彼の居る研究所へ招待されることなるのだった。
研究所にたどり着く。
外見は幾何学模様のテクスチャで、
形状は螺旋で上に登っていくような感じだった。
全体的に白で統一されてるように見えた。
近未来的なデザインで、何処かわくわくした。
ここで何かが始まる。
そんな風に思えて。
(オーフル)「ようこそ、私のノヴァ研究所へ」
彼は両手を広げて俺を歓迎してるようだった。
(エンプティ)「ここが…研究所」
少年だからなのか、見上げるととても高い。
壮大な何かに見えた。
(オーフル)「外にずっと居るのも寒いだろう。
春とはいえ、冬が後ろにずっと張り付いてるからな」
(エンプティ)「確かに、その通りですね」
俺は彼の言うことになるほどと頷く。
(オーフル)「ここに入るにはカードキーが必要なんだ。いずれ、君にも渡そう」
そう言ってオーフルは首にぶら下げている自分の名前が書かれたカードキーを取り出す。
そして、壁に貼ってるパネルにぴっと当てると扉が開く。
(エンプティ)「すごい、ねぇ、やってもいい?」
普通の人ならば、別に面白くもなんともないだろう。
でも、俺にとっては初めてで、やってみたい。
そんな好奇心があふれ出た。
(オーフル)「構わないよ」
彼は穏やかな顔でカードキーを差し出してくれる。
俺はおもちゃを手に入れたような気分ではしゃぐ。
(エンプティ)「開く、開くよ、これ!」
俺は何度も扉の開け閉めを行う。
普通の人ならば苛立つかもしれないが、
オーフルはそんなことを気にする様子はなかった。
何度やっても彼の表情が変わらないと分かり、
何だか余計に安心できたからこそはしゃげたのかも。
俺はそう思えた。
(オーフル)「さぁ、中に入ろう。
暖房が効いてるから暖かいよ」
オーフルは俺を押し出すように中に入れる。
(エンプティ)「もうちょっと…」
俺は名残惜しそうに扉を見る。
(オーフル)「君はもう、ここの住人なんだ。
いずれ出来るさ」
オーフルはそう言って微笑む。
早々に切り上げたかったんだろうが、
そのことを表に出さないのは知性を感じる。
(エンプティ)「そうなんだね!」
俺はそう言われて受け入れた感じがして嬉しかった。
そうして、ノヴァ研究所に入る。
中に入って余計にこの研究所が広く感じる。
螺旋階段になっていて、俺は1歩ずつ進む。
2階フロアにたどり着くと、
床がガラス張りに成っていた。
(オーフル)「どうしたんだ?」
彼は心配そうに尋ねる。
(エンプティ)「したが丸見えなんだ、床が近くに感じられて怖いんだ」
俺はガラス張りの床に恐怖していた。
(オーフル)「大丈夫だよ、心配しなくてもね」
オーフルは穏やかに伝える。
(エンプティ)「でも、床が近いんだ、とっても怖いんだ。死んじゃうよ!」
俺は漠然と恐怖を感じて、そのことをオーフルにぶつける。
(オーフル)「大丈夫だ」
それでも彼は力強く訴える。
(エンプティ)「どうして?どうして大丈夫だなんて言いきれるのさ、床に落ちたら人は死んじゃうでしょ!?」
俺は恐怖からか、声が強くなる。
(オーフル)「平気さ、だって、私たちは立ってる。
そうだろう?」
彼は穏やかに伝える。
(エンプティ)「あ…」
俺はその言葉に少し安心感を覚える。
確かに俺たちは床の上に立ってる。
死ぬことはないんだ。
そのことに気付いて、嬉しくなる。
(オーフル)「ほら、これ」
彼はポケットに入ってる飴を差し出す。
(エンプティ)「ありがとう!」
それはさっき洞窟で貰ったのと同じメーカーの飴だ。
味はブドウ味、芳醇な香りがとてもよかった。
(オーフル)「落ち着いたかい?」
オーフルは穏やかに伝えてくる。
(エンプティ)「うん!」
俺はガラス張りの床のことなんか遠い彼方に吹っ飛んだ気がした。なんてことのないことに俺は恐怖してたんだと思うと、次第に何だかばかばかしく思えてきた。
(オーフル)「さぁ、中に入ろう」
彼は柔らかな声で俺のことを案内する。
(エンプティ)「うん」
俺はその言葉に押されて、部屋に入る。
研究室は綺麗に整理整頓されていた。
ごみが落ちてなく、
書類もきちんとファイルに収められていた。
風が舞い込んだとしても、
部屋は変わらないだろう。そんな風に思えた。
(オーフル)「ここではノヴァの研究を行なってる」彼は何処か未来を見ながら話す。
(エンプティ)「ノヴァ?」
俺は聞きなじみがなく、聞き返す。
(オーフル)「見てごらん」
戸棚を開けて、すっと取り出す。
彼の手には透明な輝きを放つ、
エメラルドのような宝石を手に持っていた。
(エンプティ)「これは何?」
俺は気になって尋ねる。
(オーフル)「世界を変える石さ」
オーフルはふざける様子は全くなく、
さも真実かのように言い放つ。
(エンプティ)「石1つで変えられるの?」
俺は当然とばかりに尋ねる。
はっきり言って信じられなかったのだ。
石1つで世界を変えるなどと。
(オーフル)「変えられる、私はそう、信じてるんだ」
オーフルの言葉には力強いものがあり。
とてもじゃないが嘘を言ってるように思えない。
真実かどうかはさておき、彼は本気で言ってるのだ。
(エンプティ)「どうして、言い切れるのさ。
だってそれはただの宝石でしょ?」
俺は誰もが感じるであろう、
疑問を口にする。
(オーフル)「見てほしいんだ、これを」
オーフルは部屋を暗くする。
すると、ノヴァ鉱石が輝いて見える。
(エンプティ)「これは…」
洞窟で見たのと同じ輝き。
その輝きには不思議と魅了される、
何かがあったように感じた。
言葉では言い表せないが、何かがある。
そう、思えた。
(オーフル)「分かるかい、暗闇で光るんだ。
それってつまりエネルギーがあるってことだろ?」
オーフルは饒舌に話し始める。
その様子は穏やかな彼とは少し違い、
興奮した様子だった。
(エンプティ)「エネルギー?」
俺は不思議そうな顔をする。
(オーフル)「あぁ、石油、電気、地熱…あらゆるエネルギーが存在するが、どれも1つの共通点が存在する、それは何か分かるかい?」
(エンプティ)「何だろう…うーん…分からないや」
俺は俺なりに考えたが答えが出ずに諦めてしまう。
(オーフル)「それじゃあ答えを教えてあげよう。
それはね、持ち運べないってことなんだ」
オーフルがそう教えてくれる。
(エンプティ)「持ち運べない?」
(オーフル)「電気は常に放電してるし、石油は液体だからタンクに貯蔵して必要な時に送り出す必要がある、地熱は特定の場所じゃないと利用できないし、不便だろう?」
(エンプティ)「言われてみればそうかもしれない」
オーフルの言い分に俺は一理あるかもしれないと感じ始めていた。
(オーフル)「だけどこれは持ち運ぶことが可能で、しかも、他のエネルギーとは比べ物にならないパワーが秘められてるんだ」
オーフルは熱くなって語る。
顔がずいと前に出るほど、それはすごかった。
(エンプティ)「お、オーフル」
俺は顔が近づきすぎて、少し怖いと感じた。
(オーフル)「すまない。つい、熱が入ってね」
オーフルはさっと引いてくれた。
(エンプティ)「エネルギーが凄いってどうしてわかったの?」
俺は疑問を口にする。
(オーフル)「この光が消えないんだ」
オーフルは答えを出す。
(エンプティ)「光が…消えない?」
俺は不思議に感じる。
光が消えないとはどういうことなのだろう?
(オーフル)「そうさ、何日たっても、何年たっても消えない、それは、それだけエネルギーがあるってことだろ?」
彼は饒舌に語りだす。
さび付いた機械に油をさしたかのように。
(エンプティ)「それは、そうかもしれない」
オーフルがノヴァ鉱石に未来を感じてる。
その理由が少しわかった気がした。
(オーフル)「だから、これを研究すれば、世界に何かしらの影響を、結果を残せるんじゃないか?」
オーフルは結論を出す。
(エンプティ)「そう、だね」
最初に感じたわくわくはこれかもしれない。
ノヴァで何かが変わる。
俺もそのことを少し信じ始めていた。
(オーフル)「やってみる価値、あると思わないか?」
オーフルの目には強い炎が灯っていた。
その火は生半可なものでは消えないと実感した。
(エンプティ)「俺も…俺も大人になったら…オーフルの研究を手伝ってもいい?」
俺は彼の顔を見上げて、願いを伝える。
(オーフル)「もちろんだとも、同じ夢を持ってとてもうれしい気分だ、今日から君は私の仲間だ」
彼は俺に手を差し出す。
その手を受け取ることに迷いは一切なかった。
だが、今になって思えば、
彼の歪んだ狂気はここから…いや…もっと前から始まっていたのかもしれない。
俺はまだそのことに気付くにはもう少し後になる。




