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第3章 新しい影と新しい人
ある夜、若い拾い手が見つけた影は、薄く震えていた。影は生きてはいなかった。だが、拾い手はそれを食べた。その瞬間、影は消えた。消えたはずの影は、彼の内側でうごめき、やがて彼の影として外へ戻ってきた。それは元の影と似ているようで違っていた。声が混ざり、動きが違う。新しい影は彼の中で生きていた。
それだけでは終わらない。新しい影は徐々に自らの輪郭を太らせ、ついには彼の影の向こうに別の輪郭をつくった。次の朝、通りを行く者たちは誰もが気づいた。角に立つ影が、まるで別の人間のように動いているのだと。
そこから起こったことは、螺旋の常識を揺るがす連続だった。影が独立し、そこから人が生まれ、元の人間はいつのまにか存在の端へと追いやられる。取り込まれたものだけが残る——その世界のルールが静かに書き換えられる音がした。




