「250年間の」
記念式典に向けて、諸外国の人間たちをこの国に招く計画は、前々からそのつもりだった。私がこの国を作った時からずっと。私は相応しい時を待っていた。
対象者の選別の条件、最も重要な条件は、この国の秘密を知るに相応しい、その覚悟があるのかどうかと言うことだけ。私はそれを知るために外界のネットワークに侵入した。ゼルシウムの力を使えば極めて容易かった。そして私は見つけ出した。この国に相応しい魂の存在を。この国のために生まれてきた命を。
オービタルとか呼ばれているまやかしの機械。私はあのようなもの絶対に認めない。あれは敗北者の道具。家畜の道具。私は認めない。
私は夢を夢のまま終わらせないために、戦いに勝つためにここまで来た。そのために全てを生贄にしてきた。私は全てを投資してきた。私の夢のために。
私に逆らう者共は全員処分した。そうするしか道がなかった。生贄を捧げると言うことは価値を証明すると言うこと。だから生贄を捧げた。私は迷わない。役に立たないなら死刑で良い。価値のない連中は全員死刑で良い。そんなことよりも私は未来のことが不安だった。ずっと昔から不安がないときはなかった。これもゼルシウムの力のせいなのかしら。
ルアは賢い子供だった。賢いよりも利己的と言った方が良いかしら。あの子は利己的だった。目を見ればわかる。だから私はあの子を選んだ。私も利己的な人間だった。自分の利益のためなら人も殺せる覚悟を持った目。私はそう言う人間が欲しい。この国の永遠の繁栄のため。
私はあの時、あの場所で、あの子を失った時から、ずっと夢を見続けてきた。250年前のあの雪辱。あの子を生き返らせて、もう一度、私たちの夢を実現させ、永遠に幸せになるあの夢を――。
そのためならば私は何でもやる。誰でも殺す。全てに勝つ。私はそのためにここまで来た。私こそが全ての敵を始末して、永遠に幸せになるに相応しい存在なのだから。