「Leon=Fortunato」
「第二の獣は、獣の像に息を吹き込むことを許されて、獣の像がものを言うことさえできるようにし、獣の像を拝もうとしない者があれば、皆殺しにさせた。また、小さな者にも大きな者にも、富める者にも貧しい者にも、自由な身分の者にも奴隷にも、すべての者にその右手か額に刻印を押させた。 そこで、この刻印のある者でなければ、物を買うことも、売ることもできないようになった。この刻印とはあの獣の名、あるいはその名の数字である。」(ヨハネの黙示録 13章15-17節)
僕はね、ずっと女の子になりたかった。僕は特別な存在だった。でも僕は生まれた時から体が小さかった。身長も小さかった。僕は胸もなかった。
僕は胸が欲しかった。僕は女の子になりたかった。でも体が男と言うだけのことで、僕は女の子にはなれなかった。
女共は僕を馬鹿にした。だから全員皆殺しにした。奴らは報いを受けた。僕は馬鹿な女共が皆嫌いだった。自分の意思で女になった訳でもないくせに、女の体を持っている。いつも虫みたいにギャーギャー騒ぐ。そして女の体で利益を得る。僕はそれが許せなかった。
そう言う連中の存在そのものが僕への冒涜だった。殺すしかなかった。だから殺した。
僕は女になりたいと強く思っている。でもなれない。何故なのか。誰がこれを決めたのか?誰がこれを決める権限を持っているのか?何故僕がそれに従わなければいけないのか?何故僕の苦しみは軽んじられるのか?何故僕がこんな目に遭うのか?これは誰のせいなのか。
それは神、創造主のせいじゃないのか?
僕は手を汚すのは全く気にしなかった。この手で目障りな人間共を始末できるあの快感に並ぶものはない。そんなことよりも問題は別にあった。
僕はどうすれば女の子になれるのかをずっと考えていた。沢山考えた。一生懸命考えた。でもわからなかった。
神を殺せば僕は女の子になれるだろうか?僕にできるのだろうか。僕は悩んでいた。
でもある日、天の父が僕に力を与えてくれた。力だけじゃない、僕の全てを理解してくれるお方、僕が仕えるべきお方を与えてくれたんだ。偉大なる天の父は僕を見捨てていなかった。それどころか僕を選んでくれた。この僕をね。
その方は、僕は女の子になれる、僕こそその美しさと権威に相応しいと認めてくれた。どうすれば女の子になれるのかも教えてくれた。
僕は今まで気がつかなかった。何故気がつかなかったんだろう。女共を全員殺して、僕が完全な女の子になれば良いんだ。生意気で馬鹿な連中からその力を奪えば良いんだ。彼女たちが持っている力も肉体も元々彼女たちのものではないじゃないか。だから殺して良いんだ。これは正義なんだ。とても簡単じゃないか。あの方は僕に真理を教えてくれた。誰がこの世界を支配するに相応しいのかの真理について。
あの方、僕のご主人は僕の考えを喜んでくれた。大きな期待を寄せて貰った。僕はそれがとても嬉しかった。
天の父とあの方は僕に全てを与えてくれた。ただ人を殺すだけじゃない、血とまじないの秘密についてを教えてくれた。
僕は驚いた。とても驚いた。この世界には宗教や目に見えない世界の物事を偉そうに語る人間は山のようにいる。でもこれ程までの力と権威、いけにえと魔術について知っている存在はあのお方が初めてだった。僕は彼が選ばれた人間であることを確信した。彼は神の御子だった。
まじないさえあれば僕は何でも出来た。僕は神のようになれた。でも最も神になるべきお方はあの方しかいない。僕はそれを少しでも支えたい。僕はあのお方と1つになりたい。僕はあのお方と契約をした。
あのお方は僕に沢山の知識と知恵、そして力を与えてくれた。僕は道具も手に入れた。僕は昔よりも最も早く、沢山の人間を殺せるようになった。ただ殺すだけじゃない、生贄を捧げるんだ。これは僕にしかできない、選ばれた人間だけができる神聖で崇高な行為なんだ。
僕は色々なことが何でもできるようになって言った。女を殺してその血を飲めば、その女の体を手に入れられるようになった。空も飛べた。地面にも潜れた。火事も起こせた。目に見えないものも見えるようになった。海を支配する権威も与えてくれた。
僕は天の父と同じように、万物を見通す目を使えるようになった。僕は何でも聞けた。何でも出来た。何でもわかった。誰でも殺せた。楽しかった。
僕は父に仕える霊たちも見えるようになった。彼らは僕らの仲間。僕らはチームだった。あのお方は全ての霊たちにさえ命じる権威を持っておられた。
僕は殺した人間の肉を食べた。美味しかった。どんな肉よりも。人間を食べれば食べる程、僕には力がみなぎった。あのお方も褒めてくれた。僕は嬉しかった。楽しかった。
僕が力を沢山手に入れたと認められると、天の父とあのお方は、僕に父の最終的な計画についても全てを教えてくれた。僕は驚いた。上手く行けば僕は神に次ぐ存在になれる。僕こそが王に次ぐ存在になれる。僕は父とあのお方と同じ夢を見ることにした。
創造主を殺し、我々こそが神に等しき存在になる夢についてね。