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第6.5話 とある傭兵の日記

 5月13日

 俺はついこの間だまでブカーの戦いで傭兵として戦場に赴いた。獣人の顔を拝みたく受諾していたが、ヤバかった。まず体格が俺たちヒューマンとは違う。7尺程の身長があって、肩幅も滅茶苦茶でかい。顔は犬やら猫やら様々だが、歯をむき出せば頬が裂けてるかっていうぐらいに鋭い犬歯が目に付きやがる。手も人間の手なんか簡単に包み込めるほど大きい。あんなもんに男の一物握られたら玉ヒュンだぜ。


 雇用期間中、3度の戦闘にあった。

 1度目は、奴らの俊敏性と運動性が高く、動きに翻弄されてしまった。後ろを突かれ、大敗してしまった。

 2度目は、数を活かし、間合いを囲い込み死角から襲いこむ形で4人の首を取ることができた。

 3度目は、敵味方双方に酷かった。奴らの兵糧と武器を奪い投降を促したら、捨て身で突撃してきた。

 仲間の一人の首を嚙み千切られたり、一物を握り潰され絶命する者もいた。終いには、どこで入手したかわからん爆薬を体に括り付けて神風を仕掛けてきた。本陣の被害は甚大だ。身体能力といい、精神的にも全て奴らが上回っている。ヤバいと思った矢先に停戦が出た。停戦が出なければ危うく俺も死んでいた。



 5月20日

 ここ最近、魔物による被害が増えて依頼は常に殺到している。特に商業ギルドから重要な荷物運搬の依頼が多い。報酬額も割高で、うちらとしてはとても有り難いんだが、家に中々帰れないんだよ。それがとても苦痛で仕方がない。軽く小遣い稼ぎをしようと思ったら、隣の国まで行く羽目になる。行きと帰りで必ず戦闘はあるし、多い時なんか5回もやり合う。追加金は発生しないから割に合わない合わない。そろそろハンターギルドが動いてほしいぜ。


 そんな時にギルドから直々に紹介された。内容は商人の護衛とどの依頼とも変わらないとばかりに思っていた。内容を見る限り、国内で且つ街から村まで距離は短い!報酬金も高い!なかなか良い案件だ!あっしはすぐに参加することを決めた。今回招集される人数は8人だ。近くの村に行くにしては多いし報酬も高いっていうのは何か妙に感じるが…。まぁどうでもいい、俺たちはいつどこで散っても良い命だ。こんなことで怖気づいてしまうようじゃあ傭兵はやってられないぜ。



 5月22日

 ルーシーという年若い姉ちゃんが依頼者だ。商業ギルドの次期ギルド長になるって噂の人物だ。姉ちゃんの腰巾着の男はアーサーの旦那だ。最近見かけなくなったが、良い所に拾われたって感じだな。年にもなれば安定した所に就きたい気持ちはわからなくもない。もしあの人が戦いに来てくれれば勝っていたのに…。移動中に仲間の一人が物騒なことを言ってきやがった。今いるこの森に魔女が出るって話だ。魔女のせいで凶暴な魔物たちが徘徊しているって噂だ。だがその魔女を誰も目撃していない。噂の出どころも怪しいぜホント。


 行きは何事もなく無事に着いた。道中、旦那が異様に警戒しているもんでハラハラしたぜ。クルス村ってガタイの良いおっちゃん達が多すぎる。なんで徴兵されなかったのか不思議過ぎる。前に見た獣人とあまり変わらないじゃねぇか。あいつらと比べると流石に大きくはないが、鍛えている俺たちよりはあるぞ。簡単に牛を抱えているし、積み荷なんか半日近くは掛かる量をものの数分で運び終わった。イカれた村だぜ…。にしても空雲が怪しいなぁ…。今日の天気を確認するのを忘れていた。これは村に泊まることになるかもな。


 魔物たちの夜襲にあった。シンっていう村の青年が気付いたらしいが、敵の情報を伝えずに突然倒れて敵の情報がわからなかった。

 事前に襲撃があるかもしれないと伝令があったため、準備には時間が掛からなかった。

 戦闘中、村人たちに動き回られると邪魔なため集会所に誘導した。奴らなら自分たちで自衛できそうだが、そういった油断は死に繋がる。過去の経験で村人が人質に取られ、身動きが取れず犠牲者が出た。


 簡易的なバリケードを設置して待機していると出やがった。小鬼だが奴らの様子がおかしかった。錯乱しているのか統制が取れてなく、倒すのには苦戦はしなかった。しかし奴らのリミッターがバグったのかパワーがやばい。通常1体程度なら、子供をあしらう程度なのに今回は苦戦した。2体が集会所に行き、犠牲者が出たと思ったがシンって奴が倒しやがった。


 あいつも錯乱していた。鬼神の如く、バッサバッサ!敵に切り込んで行きやがる!旦那に比べたらまだまだだが、もし俺が教官だったなら弟子に取ってやりたいぜ。それぐらいの見込みがある。


 そう思った矢先に雇い主に襲い掛かりやがった。急いで駆け付けたが、こいつも力のキャパが外れて抑えられなかった。ヤバい!って思った時、旦那が間に合い、奴を斬首しようとした。ルーシーの剣幕に旦那が武器を止めた。それに続いてシンも武器を降ろして意識を失った。一応は村の危機と俺らの首も飛ばずに済んだ…冷や汗かくぜ…ホント。



 5月23日

 昨夜の出来事は異常だったなぁ…。あのシンって奴、北方で聞いたバーサーカーのような奴だな。修羅の如く、軍場駆け抜けて玄人2人抜きは流石だった。今後会うことはないと思ったが、なんか訳ありなようで街まで付いてくることになった。帰り道の退屈しのぎには丁度いい、構ってやろう。

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