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第5話 移り変わる明かり

久々の更新ですみません……

ちょっとずつまた更新してきます………




部活が終わると、いつも通りみんなとおしゃべりをしてから帰るのが習慣だった。




でも、その日は少し違った。


帰り道にふと、坂本先輩から貸してもらった本『シリウスの星』が気になって、家に帰るや否やページをめくり始めていた。



ページをめくる音が心地よく響く。



暗闇の中で、照明の下で本に集中する私の心の中で、何かが少しずつ変わり始めているのがわかる。



「この本、すごく面白い。」


小さく呟きながら、目を凝らしてページを追う。


登場人物たちが直面している問題や、乗り越えようとする姿に、自分の心が何度も揺れた。



特に主人公が一番苦しんでいる場面では、自分の悩みが浮き彫りになるようで、無意識にページを強く押さえてしまう。


「お姉ちゃん、まだ読んでるの?」


と声をかけてきたのは、弟の大地だった。


私はびっくりして顔を上げると、彼が肩をすくめて立っていた。


「うん。だって面白いんだもん。」


私は笑顔を見せながら返すと、大地はあきれたようにため息をついた。


「お姉ちゃん、最近本ばっかり読んでない?部活もあんまり行かなくなったし。」


大地の指摘に、私は思わず黙ってしまう。


確かに、部活では最近少し物足りなさを感じていたけれど、本を読むことでその隙間を埋めていた気がする。


でも、もしかしてそれは逃げているだけなのではないかと、少しだけ心の中で反省した。



「でも、お姉ちゃんも変わったよね。」


大地が続けて言った。


「部活、あんまり行かなくなったけど、その分、何かをしてる感じがする。前よりも静かに、本を読んでる姿がかっこよく見える。」



「変わった…かもしれない。」


私は小さく答えながらも、心の中では少し戸惑っていた。



本を読むことで、私は確かに以前よりも心が安らいだり、悩みを忘れられる時間が増えた。


でも、それだけで本当に満足しているのか、果たして自分は何かをもっと試したいと思っているのか、分からなくなってきた。




その夜は、久しぶりに布団の中で考え込んだ。



「私は、これからどうしたいんだろう?」


本を読むことは確かに楽しい。


でも、それだけでいいのか。



部活を少しサボってでも、新しい挑戦をしてみた方がいいんじゃないか、と思い始めていた。



何かを始めること、変化を起こすことに恐怖を感じていた自分が、少しずつそれを乗り越えようとしている。



そんな気がした。




次の日、部活が終わった後に、私は坂本先輩に思い切って声をかけてみた。


「坂本先輩、あの…私、もっと文芸部に貢献したいと思って。」


自分の言葉に少しだけドキドキしながら言ってみると、坂本先輩は驚いた顔をして私を見つめた。


「貢献って、どういう意味?」


坂本先輩が首をかしげながら聞いてきたので、私は深呼吸をしてから続けた。


「私、もっと文章を書いてみたいんです。部活で本を読むだけじゃなくて、何かを表現してみたいなって。」


言葉にしてみると、自分でも驚くほどしっかりとした決意が込められていた。


坂本先輩は少し考えた後、にっこりと笑った。


「それなら、是非挑戦してみて。私たちも最初はみんな初心者だったけど、やってみてよかったと思っているよ。」


その言葉に、私は胸が高鳴るのを感じた。



坂本先輩がそんな風に言ってくれるなんて思っていなかったから、少し驚いたけれど、同時に安心感もあった。



新しい挑戦が怖い気持ちもあったけれど、今なら少しだけその一歩を踏み出せるような気がした。




その後、家に帰ってから、早速文芸部で何を書こうか考えてみた。



何か特別なテーマが必要だろうか、それとも自由に書いてみる方がいいのか。



初めての挑戦だから、最初は何を書けばいいのか分からなかったけれど、あれこれ考えながらも、少しずつアイデアが浮かんできた。




翌日、部活で本を読み終えた後に、私はみんなに少しだけ自分の考えを伝えてみることにした。


「みんな、私、文章を書いてみようと思って。」


私は少し緊張しながら、でもしっかりとみんなに話しかけた。


「えっ、栞が?」


坂本先輩は驚いた顔をして、でも笑顔を見せてくれた。


「いいじゃん、楽しみにしてるよ。」


凪沙先輩もにっこりと笑って、「栞の作品、きっと面白いものになるよ。」と言ってくれた。


みんなの励ましの言葉に、私の中に小さな火が灯ったような気がした。



その瞬間、私は確信した。


この先、どうなるのか分からないけれど、少なくとも今は一歩踏み出すべき時だと。少しずつ、自分を変えるために。


そして、あの本『シリウスの星』の登場人物たちのように、私も悩みながらも前に進んでいけるんじゃないかと思った。



彼らのように、私も少しずつ自分を見つけていきたい。




かんそうくだs(((((

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