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第4話 新しい自分を見つけるために

投稿設定忘れてて焦った……

ということでいつもより遅めの時間帯です




部活が終わる時間が近づくと、部室にいつもと違う静けさが広がる。


たまに、静けさの中に漂う不安や物足りなさが、じわじわと私の心を占めていくことがある。今日はそんな気分だった。



西園寺先輩や凪沙先輩、坂本先輯たちと話しているときはとても楽しいし、何も考えずに笑っていられる。


でも、たまに一人になった瞬間、心の中にぼんやりとした不安が浮かぶ。



部室の隅に積まれた本を見つめながら、私はふと思う。



これから、どうすればいいんだろう?



最後の一冊を読み終えたら、この場所にいても意味がなくなってしまう気がする――。




「栞、何かあったの?」


凪沙先輩の声が、私の思考をふっと中断させる。


私が何も言わずに黙っているのを心配したのか、いつの間にか私のそばに来ていた。


「え?」と驚いて顔を上げると、凪沙先輩が心配そうに私を見ているのがわかった。



「大丈夫ですよ。」


私は無理に笑顔を作って、そう答えるけれど、心の中ではどうしても気持ちがまとまらない。



「本当に?」


凪沙先輩は少し間を置いてから、言った。


「栞、最近ずっと元気がないみたいだけど、何か気になることがあるの?」


「気になること……うーん。」


私は少しだけ言葉を濁した。


凪沙先輩の言葉が、まるで鏡のように自分の中にある不安を映し出したような気がした。



毎日、部活の時間は楽しくて、確かに笑っているし、みんなと話していると元気が出る。


でも、心のどこかにずっと引っかかっているものがある。


読書が好きで、文芸部に入ったことは間違いではなかったと思う。


でも、もう一歩進んでみたい――と思っても、その先に何が待っているのか、私にはわからない。


私はまだ、自分がどうなりたいのかがはっきりしていない。



「実は最近、ちょっとだけ考えていることがあって。」


私はゆっくりと話し始めた。


「本を読むことが大好きだけど、もしかしたらもっと色々なことをしてみたいんじゃないかって、そんな風に思うことがあるんです。でも、どうしていいのか分からなくて。」


凪沙先輩は静かに聞いてくれている。



私はどんどんと自分の気持ちを言葉にしていった。


「本を読むだけじゃなくて、もっと違う方法で自分の思いを表現してみたいって思うんですけど、それが本当に自分にできることなのか、わからなくて…。」


「自分を変えることに恐れを感じてるんだね。」


凪沙先輩が静かに言った。



その言葉に、私は少し驚いた。



恐れているわけではないと思っていたけれど、確かにその通りかもしれない。


私が怖がっていたのは、今の自分から一歩踏み出して、未知の世界に足を踏み入れることだった。



それが新しい可能性を開くことなのはわかっているけれど、何かが不安で、なかなかその一歩を踏み出せないでいた。



「でも、栞なら大丈夫だと思うよ。」


凪沙先輩の言葉は、少しだけ私の不安を和らげてくれた。


「怖い気持ちを持ちながらでも、前に進むことが大切なんだよ。無理に変わる必要はないけれど、少しずつでも、自分の中で新しいことを試してみるといい。」


その言葉に、私はしばらく黙って考えていた。


そして、少しだけ気持ちが軽くなったような気がした。



自分が何か新しいことに挑戦しているとき、不安は確かに伴うけれど、それを乗り越えることで少しずつ成長していける――そんなふうに思った。




その日の部活後、私は少しだけ普段とは違うことをしてみようと思った。


坂本先輩や花先輩が何か楽しそうに話しているのを見て、私は少しだけ勇気を出して声をかけてみた。


「坂本先輩、花先輩、今、何か読んでる本ありますか?」


私は少しだけ緊張しながら話しかけてみた。


坂本先輩がにっこり笑いながら答えてくれた。


「ああ、栞ちゃん!今は『シリウスの星』っていう小説を読んでいるんだよ。」


と言って、指で本の表紙を指し示す。


「それ、どんな話ですか?」


私は思わず興味を持って聞いてしまった。


花先輩が横から


「結構面白いんだよ。登場人物がすごく悩んでいて、それをどうやって乗り越えるのかが描かれてるんだ。」


と教えてくれる。



その時、私は心の中で少しだけ軽い気持ちが芽生えていた。


確かに、本の中で悩む登場人物を見ていると、なぜか自分の悩みと重なる部分がある。


もしかしたら、自分も少しずつその悩みを乗り越えていけるかもしれないと思った。



「私も、読んでみたいです。」


思わずそう言ってしまった。今の自分には、こういう本を通じてもっと色んな世界を知りたくて仕方ない気持ちがあった。


坂本先輩と花先輩が笑顔で、


「じゃあ、今度貸してあげるね。」


と言ってくれた。




その日、部活を終えて帰り道を歩きながら、私は少しだけ胸が高鳴っていた。


何か新しいことに挑戦するのが怖い気持ちもあったけれど、少しだけその不安を乗り越えて、


また一歩前に進めた気がした。



これから、少しずつでも自分を変えていけるかもしれない――



そう感じながら、私は部活の時間を終えた。




最近の肌寒さまだ続くらしいです……

体調管理には十分気をつけましょう

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