第2話 不安と期待
さて毎日投稿はいつまで続くのでしょうか((
私は文芸部に入ってから、毎日が少しずつ楽しくなってきた。
最初はただ本を読むことが嬉しくて、放課後の部室が唯一の安らぎの時間だった。
でも、最近はその楽しさの中に、少しだけ違和感を感じるようになってきた。
「もう、何かが足りない」
と思う自分がいる。
本を読むことが楽しいのは間違いない。
でも、ただ本を読んでいるだけでは、どこかで物足りなさを感じてしまう。
それは、何かしら自分の中に変化が欲しいという、漠然とした欲求から来ているように思えた。
毎日、同じように本を読んでいる自分を見て、
心のどこかで
『これでいいのかな?』
と疑問を抱くようになったのだ。
そんなある日、部室で本を読んでいた私は、ふと隣の席の睦美凪沙先輩が気になった。
凪沙先輩は部長として、物静かながらもとても頼りがいがあり、私にとっては憧れの存在だ。
彼女はとても優しくて、常に穏やかな笑顔を浮かべているが、私が一番引き寄せられるのは、彼女が本を書いている時の真剣な表情だった。
「栞さん、今日は何を読んでるの?」
凪沙先輩が静かに声をかけてきた。
「これ、ちょっと前に先輩が勧めてくれた本です。」
私は手に取った本を少し恥ずかしそうに差し出す。
凪沙先輩は優しく本を見つめると、にっこりと微笑んだ。
「良かった、栞さんも気に入ったみたいね。でも、栞さんが本を読むだけじゃなくて、何か書いてみるのも面白いかもしれないよ。」
その言葉に、私は驚きと戸惑いが混じった。
書くことなんて、私は本当に苦手だと思っていた。
本を読むのは好きだけど、自分で物語を作り上げるなんて……想像するだけで怖くて仕方がない。
「私が書くなんて、無理です…」
思わず声に出してしまった私に、凪沙先輩は優しく笑った。
「無理なんてことないわよ。最初は誰でも不安だし、うまくいかないこともある。でも、それを乗り越えた時には、きっと自分が変わる瞬間が訪れるわ。」
その言葉が心に残った
正直、書くことへの不安は拭えなかった。
でも、凪沙先輩がそう言ってくれるなら、少しだけ勇気を出してみようと思った。
その日の帰り道、私は自分の気持ちを整理しながら家路に着いた。
何かを始めるのは怖いけれど、挑戦しないと何も変わらないことは分かっていた。
次の日、私は文芸部の部室に入ると、少し勇気を出して言った。
「先輩、私も何か書いてみようと思います。」
その言葉を発した瞬間、胸の中で何かが弾けたような気がした。
きっと、これが私にとっての一歩だ。
これからどうなるか分からないけれど、やってみない限り答えは出ない。
そんな気持ちでいっぱいだった。
凪沙先輩は、少し驚いたような表情を見せた後、にっこりと微笑んだ。
「いいわね、栞さん。まずは短いもので構わないから、自分の思うことを書いてみなさい。失敗しても大丈夫、それが経験になるから。」
その言葉に、私は心から安心した。
失敗しても、経験だと捉えればいいんだ。
そう思うと、少し気が楽になった。
「ありがとうございます。頑張ります!」
私は力強く答えた。
その日から、私は文芸部の部室で少しずつ書き始めた。
最初は何を書けばいいのか全く分からなかったけれど、思いつくままに言葉を並べてみた。
無理にストーリーを作ろうとするのではなく、ただ自分の気持ちを文字にしてみることから始めた。
書いているうちに、少しずつ自分の中のモヤモヤした気持ちが整理されていくような感覚に包まれた。物語を作るのは難しかったけれど、それでも書くことが楽しくなってきた。
その夜、私は一気に書き上げた。
短い話だったけれど、自分なりに精一杯の思いを込めてみた。
「栞さん、どうだった?」
凪沙先輩が私の隣に来て、書いたものを見てくれることになった。
私はドキドキしながらそのページを手渡した。
凪沙先輩はじっくりとその話を読み、何度か頷いた後、私を見つめた。
「良いわよ。最初にしてはすごく良い感じ。あとは少しだけ、自分らしい言葉を加えていけばもっと魅力的になるわ。」
その言葉を聞いた瞬間、私は一気に肩の力が抜けて、嬉しさと安堵が込み上げてきた。
自分で書いたものを、誰かに評価してもらうというのは、こんなにも嬉しいことなんだと初めて実感した。
そして、その日から私はもっともっと書きたくなった。
本を読むだけでは得られない、何かを生み出す喜び。
それを知ってしまった私は、もう後戻りできないような気がした。
文芸部に入った理由は、ただ退屈な日常から逃げたかったから。
でも今、私はもう退屈に戻りたくない。これからは、自分の手で物語を紡ぎ、少しでも非日常の世界に身を投じていきたいと思う。
不安と期待が入り混じる中で、私は新たな一歩を踏み出した。
続き書けてない作品や新作もどんどん更新してきまっす!!((気力が持つまで